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新な始まり

翌日。

俺は、雅斗の会社に赴いた。ビルを見上げ。

今日から、俺はここで働くんだ。

そう意気込んでいると…。

「おはよう、遥」

後ろから声をかけられた。

「あぁ、おはよう雅斗」

って返すと。

「ここでは、副社長と呼べよ」

苦笑する雅斗。

まぁ、確かに新参者が、馴れ馴れしく副社長に話し掛けるものでは無いが…。

「副社長、今日からお世話になります高橋です。よろしくお願いします」

俺は、雅斗に頭を下げた。

すると。

「プッ…」

吹き出した雅斗。

「ちょ…。俺の決意無駄にするなよ」

俺は、小声で言う。

「まぁ、改めて自己紹介する必要ないだろ」

それは、そうだが他の社員さんは?

「周りの奴は、知らないだろう?」

俺の言葉に。

「嫌。お前の事殆どの社員は知ってるから…」

ハァ?

何故?

「会長直々にハンティングされ、秘蔵っ子の孫娘の婚約者候補だと言われてるんだよ」

アハハ……。

そっちですか…。

「…で、今日の俺の仕事は?」

俺の言葉に。

「取り敢えず、会社役員の挨拶。それが、終わったら俺と一緒に外回りだな」

雅斗が、淡々と告げる。

外回りか…。

「それから、亜耶。陸上競技大会に出ることになった」

突然、雅斗からもたらされた亜耶情報。

ハッ…。

何で?

「まぁ、亜耶がとりただされる事はないと思うが、念の為に必要最低限の情報以外は、外に出ないように押さえると思うが…」

雅斗も心配なんだろう。

たった一人の妹だしな。

しかも、こんな大きな会社の孫娘だ。

とりたたされたら、亜耶に危険が及ぶのは、目に見えてる。

しかも、俺は傍に居てやれない。

自分が居ない間に何かあったら、それこそ肝が冷える。

「遥。研修前に亜耶に会った方がいいんじゃないか?」

雅斗が心配そうに言う。

「やめておく。亜耶に会ったら、俺研修に行きたくなくなる」

そう。

絶対って言えるほどだ。

だから、こっそりと亜耶の勇姿を見て、研修に行った方が、自分のためにはいいと思う。

「そうか…。昨日、久し振りに亜耶に会ったんだが、何時もの元気がなかったんだ。今日は、由華が亜耶を誘って買い物に行くって言ってた。それで、元気になればいいんだが…な」

雅斗はそう言いながら、寂しそうな顔を見せる。

何で、そんな事を俺に言うんだ?

「なぁ、遥。俺からのお願いだ。研修に行く前に亜耶に会ってくれないだろうか?お前の決心が鈍るって言うなら無理にとは言わない。ただ、亜耶を元気にさせられるのが、お前だけな気がするんだ」

真顔で言う雅斗。

「確信はないが、でも遥に会わなくなってからの亜耶の表情が、前と変わってきたのは、わかるんだ」

雅斗のとんでもない発言。

俺とか関わらない方がいいんじゃ…。

「亜耶はさ、同学年の男と付き合い始めてる。けど、物足りなさを感じてると思う。そりゃあそうだよな。何だかんだ言っても遥、お前が傍に居たんだ。普段、亜耶を楽しませようとしてるお前は、亜耶のためならって何でも叶えてやろうとする。それが男だって言わんばかりの事を亜耶にやってるんだ。同級生の男に同じことをされても頼れないと思う。それぐらい、遥の存在が大きいんだよ」

第三者からの言葉って、何でこんなに素直に受け取れるんだろう?

「なぁ、雅斗。それって、亜耶が俺に気があるって遠回しに言ってるのか?」

俺は、雅斗の目を見て言う。

「あぁ。兄として妹の事を見てるとそうとしか思えないんだよ。昨日も中学の時の仲良しメンバーで遊んでたみたいだけど、なんか楽しそうって感じじゃなくて、少し困った顔をしてたんだよな」

仲良しメンバーって、アイツの他は、クリスマスのときのメンバー四人か…。

「亜耶。今付き合ってる男とは、何も出来ないんじゃないかって思う」

雅斗の言葉に俺は、ハッとした。

まぁ、亜耶のファーストキスは、俺が随分前に頂いたけど…。

亜耶は、知らないんだよなぁ…。

「雅斗。少しだけ、考える時間くれ。亜耶の事もっと考えるから…」

「あぁ。そうしてくれ。会長は、遥以外の男は考えていない筈だ。だから、亜耶の事はお前に任す」

雅斗が安心した声で言う。



昨日、亜耶に会った雅斗が何かに気付いたんだろう。

それが、俺絡みだったために今言ったのであろう。



亜耶の元気の源が俺だったら良いのにって、今まで思ってきたが、現実味に成ってきてることに驚きながら、競技会までに会うかどうか決めるしかないか(競技会には行くが)…。

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