亜耶との関係
翌日は、部活があり亜耶と一緒に登校した。
「じゃあ、また後で…」
オレが口にしたら。
「ごめん。今日は、帰り、一緒に帰れない」
って、亜耶が申し訳なさそうに言う。
何で?
オレの顔に出ていたのか、亜耶が。
「お義姉ちゃんと約束してるから、ごめんね」
理由を言ってくれた。
そっか、それじゃあ仕方ないか…。
「うん。わかった」
それだけ言うと部室に入って、着替えた。
帰りは、一人か…。
たまにはいいか。
何て考えながら、グランドに向かった。
グランドでは、各々ストレッチをしたりして、身体を解していた。
オレも、ストレッチを開始した。
「おはよう、悠磨」
そこに透が声を掛けてきた。
「おはよう、透」
オレが答えると。
「何、朝から沈んでるんだ?」
透が苦笑してる。
そんなに落ち込んでるように見えるのか?
「別になんでもないが…」
オレは、感情を現さないように言い放つ。
「ふ~ん。まぁ、いいけど…。なぁ、鞠山さんって、足速いのな」
透の目線を追うと亜耶がトラックを走っていた。
「まぁ、亜耶は、何をやらせても、大抵の事はこなすよ」
オレは、得意気に言葉を返す。
中学三年間、何のスポーツをやっても亜耶が一番だったし…。
「なぁ、俺、鞠山さんの事気になるんだけど、悠磨仲が良いなら、紹介してくれないか?」
突然の透の申し出に。
「亜耶は、オレの彼女だし…」
優位にたった気分で言うと。
「えっ。悠磨は、泉と付き合ってると思ってた」
透が、驚いた顔をする。
ハァ?
「泉は、ただのクラスメートだよ。オレと亜耶、ここに合格した時から付き合い始めたんだ」
オレは、透に説明する。
亜耶は、中学の時から人気があった。
だが何時も隣にオレが居たから、学校では公認のカップル扱いだったから、誰も亜耶に告白した奴はいなかった。
でも、今は違うのか。
亜耶の隣に常に居る訳じゃない。
だから、オレと亜耶がカップルだなんて思われていないのかもしれない。
「そっか…。じゃあ、諦めるか…。だが、友達としてでも良いから、紹介してくれないか?」
透が、眉を下げてオレに言う。
「良いよ。友達として紹介する分にはな」
オレの言葉に笑顔で。
「サンキュー」
透が笑顔でそう言うと、自分のトレーニングに移った。
透が離れていったところで、自分のトレーニングに移った。
「渡辺。お前、リレーに出れるか?」
突然のコーチの言葉にオレは、一瞬驚いた。
オレよりも速い先輩方が居るにも関わらず、オレに声をかけてくるから……。
「先輩達を差し置いて、出るなんて出来ません」
そう口にすると。
「ん?あぁ、その事なら気にするな。アイツラがお前を推しててるんだ」
コーチが、ニコヤカに言う。
先輩たちが、オレを推すって…。
「お前、二百一本だろ?だから、スタミナのある奴が出る方がいいって、他の選手との折り合いを見て、お前が適任だと思ったんだよ」
コーチが、真顔で言う。
そこまで言われたら、引き受けないわけにはいかない。
「わかりました。やります」
オレの返事にコーチが満足気に頷いた。
「じゃあ、バトン練習もしといてな。向こうでやってるから」
コーチが、視線を向けた。
「わかりました」
オレは、そう言うとバトン練習を行ってる場所に向かった。
「あれ、悠磨なんでここに?」
透が不思議そうに聞いてきた。
「コーチに言われて。で、バトン練習してこいって…」
「ふ~ん。そっか…」
聞いておきながら、興味無さそうに言う。
「渡辺。お前、アンカーかスタートかどっちがいい?」
部長が聞いてきた。
「オレは、スタートの方がいいです」
自分の意思を伝える。
「ん、わかった。じゃあ、スタートを渡辺で、二番走者が湯川、三番走者がオレで、アンカーが篠崎な」
淡々と順番が決まった。
亜耶と同じリレーに出るとは、思ってなかったが…。
取り敢えず、やるしかないな。