表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/132

距離感

散々楽しんだカラオケ(途中変な雰囲気になったが…)を出て、近くにあるファミレスに入った。

六人掛の場所に案内をしてもらい、互いの彼の前に座る。

私の右側に姫依ちゃん、左側に瑠美ちゃんが座る。

メニューを見ながら、何にするか考えた。


そう言えば、今日はお兄ちゃんと食べに行くって言ってたっけ…。だったら、ドリンクだけの方がいいか…。

何て思いながら、捲っていくとデザートのページに辿り着いた。フと目についたのが、季節のフルーツタルト。フルーツが、これでもかってふんだんに盛ってあって、食べてくださいって言ってるみたいで、誘惑に負けそのタルトと紅茶を頼むことにした。


各々決まったようで、店員さんに注文すると喋りだした。


「亜耶。学校での悠磨くんってどう?」

姫依ちゃんが聞いてきた。

「どうって?」

逆に聞き返しちゃったよ。

「中学と同様で、人気あるでしょ?」

う~ん。

「今のところわかんないな。クラスかなり離れちゃったし…。唯一の接点が、委員会と部活ぐらいだから…」

私の言葉に二人が驚いた顔をする。

そんなに驚くこと?

「今度の球技大会でわかるんじゃないかなぁ?」

クラスでは、誰も悠磨くんの事言う人居ないし…。

「ちょ…、亜耶。そんな呑気に構えてていいの?」

姫依ちゃんが焦りながら言う。

なんで、焦る必要があるんだろう?

「別にいいんじゃない。悠磨くんが亜耶大好きなの一目瞭然なんだし…」

留美ちゃんが姫ちゃんに言う。

ん?

そんなにベタ惚れしてる?

私には、わかんないや。

「部活って、陸上?」

「…うん。マネージャーだったんだけど、今回だけリレーの選手」

私は、そう二人に告げる。

「今回だけって?」

「ん。女子部人数足りなくて、出ることになったの」

渋々だけど。

「亜耶、足早いもんね」

留美ちゃんが思い出したように言う。

「うん。そういやそうだったね。混合リレーやスウェーデンリレーに選ばれてたもんね」

姫ちゃんも思い出したように言う。

うん。そうだったね。気付いたときには、リレー枠に入ってた。

そういや、あの時の体育祭の時、お兄ちゃんに無理言って百メートル走に出てもらったっけ(遥さんも道連れで)…。

あの二人、必要以上に人を引き付けていたっけ…。


思いに耽っていた。

「亜耶。さっきから携帯鳴ってる」

留美ちゃんが小声で言ってきた。

「…あっ」

私は、慌てて鞄の中を探って携帯を開く。

ディスプレイには“お兄ちゃん”と表示されていた。

私は、それを手にして。

「ちょっと外すね」

店の外に出た。


外に出ると着信が切れて、直ぐにかかってきた。

「もしもし」

私は、そのまま通話ボタンを押して出た。

『もしもし、亜耶?今何処に居るんだ?迎えに行くから、場所教えて』

お兄ちゃんの優しい声。

「駅の近くにあるファミレス。前、お兄ちゃんと行った場所だよ」

私がそう言うと。

『あそこか…。今、近くに居るから準備しとけよ』

お兄ちゃんはそれだけ言って、通話を切った。

私は店の中に戻り。

「ごめん。私この後、用事があるから、先に帰るね」

椅子に置いておいた鞄を掴んで、財布を取り出して、自分の分の支払いをテーブルに置く。

「じゃあ、また遊ぼうね」

一言だけ言って店を出た。


店を出ると入り口で由華さんが立っていた。

「亜耶ちゃん。久し振り」

元気な声と笑顔に迎えられた。

「お久し振りです、お義姉さん」

私も笑顔で返した。

一瞬驚いた顔をして、抱き締められてた。

「何。この可愛い娘」

って、頭をワシャワシャとメチャクチャに掻き回された。

「由…お義姉ちゃん…」

由華さんにされるままで居る私。

「由華。いい加減やめてやれよ」

苦笑交じりでお兄ちゃんが言う。

「えーっ。もっといじりたい」

由華さんが、駄々をこねる。

「うん。わかってるけど、ここ店の入り口だからね、移動しよ」

「はーい」

由華さんは、素直に頷いて、私の腕に絡み付く。

「行くよ、あやちゃん」

って、引っ張り出す。

私は、目でお兄ちゃんに助けを求めたけど…。

“ごめん、無理”って口パクで言ってきた。

うっ…。

また、由華さんに振り回されるのか…。



心の中で溜め息をついた。





76話 割り込み投稿してます。

そちらも見てくださいませ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ