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気まずい想い

今日は、楽しみにしていた四人と会う日。

この間と同じように悠磨くんが迎えに来てくれた。


玄関を明け出ようとしたら、

「亜耶。今日は、早く帰ってくるのよ。お兄ちゃん達とご飯食べる約束してるからね」

ってお母さんの声。

「はーい」

私は、素直に返事を返した。

久し振りにお兄ちゃん達と食べれるんだ。

「もし遅くなるようなら、お兄ちゃんに電話してね」

追加の言葉。

「わかった。行ってきます」

私はそう言って、玄関を出た。


お兄ちゃんと夕食。

うん、楽しくなりそう。

心なしか、ウキウキし出す自分が居た。


待ち合わせ場所の駅に向かう間、私達はたわいの無い話をしていた。

もちろん手を繋いで…。


駅につくと悠磨くんが、周りを見回す。

私もそれに釣られて周りを見るが、まだ四人の姿はなかった。

あの四人も相変わらずだね。

「なぁ、亜耶の暮らす、球技大会のメンバー決まった?」

悠磨くんが、唐突に聞いてきた。

「うん。うちのクラス、その日のうちに決まったよ。龍哉…もう一人の委員の子が、放課後少しだけ残ってもらって、ものの十分程度で決まった」

あの時は、本当に早かった。

仕切るのが上手いんだよね、龍哉くん。

「そいつ、凄いな」

悠磨くんが、感心したように言う。

うん。私もそう思う。

「うん。クラスの中心的な存在だからね、彼は…」

クラスの事を思い出す。

「亜耶は、そいつの事、好きなのか?」

突然な言葉に驚いた。

好きって…。もしかして、妬いてるのかな?それとも不安なのかな?

「何言ってるの?彼には、ちゃんと同じクラスに彼女居るよ。その彼女も物凄く優しい娘だし、毎日イチャイチャ見てるよ」

龍哉くんは、クラスの人気者だけど、ちゃんと彼女を大切にしてる。

目の前で繰り広げられるイチャ付きには、見てて呆れるほどだけどね。

でも、幸せそうな彼女を見てると嬉しいと思いながら、ちょっと寂しいって思ってしまうのは、何故なんだろう?

悠磨くんの顔を覗き見るとさっきまでの険しい顔付きから、安心した顔付きになっていた。

「もしかして、妬いた?」

「…えっ、まぁ、少しだけ…」

歯切れの悪い言葉が返ってきた。

ふーん。

「悠磨くんでも、嫉妬するんだね」

嬉しいのかな?

まぁ、自分の頬が緩んでるんだから、嬉しいんだよね。

「当たり前だろ。好きな娘に男が絡むのを見て嫉妬しないわけ無いだろ」

頬を脹らませてそっぽを向く悠磨くん。

「悠磨くん…可愛い」

って、つい口から溢れた。


それから暫くして。

「よっ、相変わらず早いな二人供」

って声がかけられた。

「遅いよ、お前ら」

悠磨くんが、怪訝そうな顔をして答えてる。

「久し振りだね、亜耶」

姫依ちゃんと留美ちゃんが、ニッコリと私の前に現れる。

「うん。元気にしてた?」

私の質問に。

「勿論。亜耶も元気そうだね」

何時もと変わらない笑顔で返してくれた。

あっ、そうだ。

「二人にお土産。これお揃いのストラップ。的場くんと相馬くんと使って」

って、二人にそれぞれ渡す。

「「ありがとう」」

二人が同時に受け取ってくれた。

「ここじゃあなんだから、場所移動しよう」

相馬くんの声と供に予定の場所へ移動した。



受付を済まして、部屋に入るとソフトドリンクと食べ物を注文した。


「取り敢えず、悠磨が一番な」

「あー。何でオレが…」

的場くんに仕切られて、嫌そうにする悠磨くん。

「いいじゃん。と言うことで、はい」

って、ニッコリ笑顔の相馬くんからマイクと曲の入ってるファイルを出されて、渋々受けとり、ファイルを捲っていく悠磨くんを見ていたら。

「何見てるの?そんなに悠磨くんがカッコいい?」

って、姫依ちゃんが私の隣に来て言う。

う~ん。

「確か悠磨くん、唄苦手だった気がしたから、一番手で大丈夫かなって、思っただけ」

思ったことを口にすると。

「なんだ、心配してたのか…」

瑠美ちゃんが姫依ちゃんと反対側(私を挟むよう)に座り、つまらなさそうに言う。

「ねぇ、亜耶と悠磨くん、どこまでいったの?」

突拍子もないことを聞かれて、戸惑ってしまう。

「どこまで…って」

「チューッした?」

チューって…キスだよね。

顔が次第に熱を帯びてきて、首を横に振る。

そんなこと、出来るわけ無いよ。

「ハァー。キスもまだか…」

姫依ちゃんが大声で言うが、悠磨くんが歌っていてそれほど注目されることはなかったけど…。

「う…うん。そんな雰囲気になら無いし…。同じ学校には通っているけど、クラス違うし、なかなか…ね」

言葉を濁しながら、俯くしかなかった。

「悠磨くんって、意外とへタレだったんだ」

その言葉に顔を上げると留美ちゃんが、悠磨くんを軽く睨んでた。

「亜耶は、悠磨くんに触れて欲しいって思ったこと無いの?」

触れて欲しい?

私の疑問を感じ取った姫ちゃんが。

「じゃあ、悠磨くんにもッと触れたいって思ったことは?」

質問を変えてきた。

悠磨くんに触れたい?

私が、触れたいって思ってるのは、遥さん。

抱き締めて欲しいって思うのも、遥さんだった。

これって…。

可笑しいのかなぁ?

悠磨くんの事好きだったのに…。

何故かわからないけど、傍に居て欲しいって思うのは、ただ一人だった。


「亜耶。一旦外に出ようか」

突然、悠磨くんに声を掛けられて、何でと辺りを見渡す。二組のカップルが、イチャイチャモードに突入していた。

目のやり場に困り、悠磨くんに誘われるまま席を立ち外に出た。



「あの四人、何がしたかったんだ」

外に出ると悠磨くんが呟いた。

「さぁー、何だろうね?」

さっきのを思い出すと顔が火照りだす。

両手で、パタパタと顔を扇ぐ。

そんな私を悠磨くんは、何も言わずに見つめてくる。

早く、収まれ。

この沈黙が、恥ずかしい。

暫くして。

「そろそろ戻るか…」

顔の火照りが納まったところで、悠磨くんが口にした。

「うん」

素直に頷いた。

悠磨くんが、私の肩を抱きながら、部屋に戻る。

肩を抱かれる理由って、何かあるのかな?

何て思いながら、されるままでいた。


「お前ら二人、何処に行ってたんだよ」

部屋に戻ると、的場くんがニヤリと意地悪く笑ったかと思ったら、そんなことを聞いてきた。

「お前らのせいだろ!」

悠磨くんが、珍しく怒鳴った。

まぁ、確かに貴方達のせいで、居場所がなくなったんだけど。

「お前ら、いくらなんでもピュアすぎだろ」

相馬くんが、呆れたように言う。

「仕方無いだろう。オレらまだそこまでの関係じゃないから…」

何て、言い訳をする悠磨くんだけど、その眼は揺らいでいた。

そこまでの関係って、どんなの?

何て思っている。

何かを四人が悠磨くんに言っているが、私のところにまで聞こえない。

その言葉を聞いて、悠磨くんが不貞腐れた。

それが可笑しくて、クスクス笑っていたら。

「あのさぁ、亜耶も当事者だよね」

って、眉間にシワを寄せて、軽く睨んでくる。

ん?

私も…なのかなぁ?

取り合えず。

「ごめん。でもさぁ、恋愛って、人各々の歩みがあるんじゃない。私達は、ゆっくりでもいいと思うけど…ダメかな?」

一言謝ってから、悠磨くんを見上げた。

「…う…うん」

頬を少し赤らめて、頷く悠磨くん。

「悠磨。将来、亜耶の尻に敷かれるな」

的場くんが苦笑を漏らしながら、悠磨くんの肩を組む。

「うっせいよ 」

悠磨くんは、そう言って誤魔化していたけど、将来本当に悠磨くんと一緒に居るって保証あるのかなぁ?

何て、思ったりしていた。



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