表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/132

報告

会社に戻ると、直ぐに社長室に向かった。


社長室のドアをノックする。

「はい」

返事を聞いて、中に入る。

「失礼します」

俺は、それだけ言って、姉が座る机に向かう。

「どうしたの?遥」

姉が、不思議そうな顔を向けてきた。

「ちょっとね」

俺は、どう伝えようかと考えてた。

「遥の好きにすればいいよ」

思ってみなかった言葉が返ってきた。

「へっ…」

間抜けな声しか出せなかった。

「遥の好きにしていいよ。約半年間の間に遥がどれだけ頑張って会社を持ち直してくれたか、わかってるから…。これからは、自分の思う通りにしていいよ」

って、姉さんが真顔で言う。

「じゃあ……」

「亜耶ちゃんの為に今まで頑張ってきたんでしょ?だったら、向こうに行って、もっと認められるよう頑張りなさい」

笑顔で言う多香子姉さん。

「本当にいいの?」

俺は、確認のために聞き返す。

「まぁ、遥が抜けた部分を補うのは容易じゃないと思うけど、なんとかなるでしょう」

何処か寂しそうな顔をする。

「俺、明日から鞠山財閥の雅斗の付き人を命じられてるから、今日中に今受け持っている仕事の引き継ぎを済ませて行くな」

俺の決意に姉さんも頷いた。

「後任は隼人が適任だと思う。直ぐに遥の部屋に向かわせるわ」

姉さんが、受話器を手にして内線を繋いだ。

そして、俺に片手で出ていけと言わんばかりの素振りを見せた。

俺は、それにしたがい部屋を出た。


フ~。

廊下に出ると息をついた。

姉さんには、お見通しだったみたいだ。

一つずつ厄介なことが片付いていく。

その度に亜耶へとの距離が近付いてきてるように感じる。

俺は、自分に与えられた部屋に戻り、隼人兄さんが来るまで必要最低限の資料を揃え、準備した。




滞りなく引き継ぎを済ますと。

「お前、本当に鞠山財閥にヘッドハンティングされたんか?」

隼人兄さんが、疑わしめな瞳を俺に向けてきた。

「そうだよ。会長直々にされた」

俺がそう答えると。

ハァー。

深い溜め息が聞こえてきた。

「そっか…。遥がなぁ…。まぁ、お前は、家の中じゃ一番自由人だったもんな。何も縛られることなく育って、尚且つ一番優秀なんだ。羨ましいぜ」

隼人兄さんが、毒つく。

確かに何も縛られなかった。

「俺さ。小学校の時から反発しまくってたじゃん。それが、高校に入って雅斗と知り合って、その妹の亜耶に会ってから、がらりと変われたんだ。彼女が居たから、変わることが出来たんだって、今なら断言できるよ」

俺は、彼女に出会った頃を思い出した。

「そっか…。まぁ、仕事の方は、全部俺が引き受けるから、お前は何も心配するな。新しい仕事頑張れ」

それだけ言うと隼人兄さんは、部屋からでていった。



隼人兄さんに応援されるとは、思っていなかった。

けど、この約五ヶ月間、凄く充実してた気がする。

気が付いたら、のめり込んでいたんだから…。


さぁ、机の上を片付けないとな。


俺は、自分が使っていた机の上、中のものを片付け始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ