表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/132

対面

雅斗の運転で、鞠山財閥本社に到着。


「お爺様は、部屋で待ってるから…」

「ちょっと待て。それって、俺だけで会えってことか?」

俺の疑問に。

「あぁ。お爺様は、お前と直接会って決めたいんだそうだ。それに俺、これから会議があるしな」

真顔で答える雅斗。

マジか…。

会議じゃしょうがないか…。

「…と言うことで、これ渡しておくな。重役しか入れない場所だから、これが無いと行けないから…」

渡されたのは、セキュリティロック解錠用のカードキー。

「それ、遥専用だから、無くすなよ。じゃあ、検討を祈る」

雅斗は、それだけ言うとさっさと行ってしまった。


ハァー。

気が重いが、行くか…。

エレベーターに乗り込んだ。

最上階に昇るためのキー。

しかも俺専用って……。

期待していいのか?

そんなことを考えてたら。

『これより上に向かうには解除キーの挿入をお願いします』

と音声案内が流れる。

あぁ、雅斗から貰ったカードキーか…。

俺は、言われた通りにカードキーを差し込んだ。

すると、停まっていたエレベーターが動き出した。



最上階に着き、カードを抜き取り廊下に出た。

部屋の扉には、それぞれの役職のプレイートが掲げてある。その中でも一番重厚な戸の前に立つ。


俺は、大きく深呼吸する。

そして、戸をノックした。

「誰だ?」

戸の向こうから、重圧がある低い声が聞こえる。

「高橋遥です。会長がお呼びだと雅斗さんから伝え聞いて、来ました」

緊張からか声、震えてないか俺。

情けない。

そう思いながら、苦笑する。

「入れ」

何か、怒ってないか?

俺、悪いことしたか?

そう思いながら、戸を開けて。

「失礼します」

一礼をする。

緊張感半端無い。

顔を上げるとそこには、穏やかな顔をした御大の姿があった。

エッ…。

驚きを隠せない俺。

「遥くん。取り合えず、こちらに来て座りなさい」

戸の前で突っ立ていた俺に御大は、笑顔で言った。

困惑しながらも俺は、勧められた黒皮張りのソファーに腰を下ろした。


「遥くん。此度の無理をよくこなした。それを踏まえて、君に新たな試練を与えたい」

真顔で言ってくる。

「試練……ですか?」

俺の間抜けな声が溢れた。

「そうだ。それをクリアしたら、晴れて亜耶との婚約を認めよう」

それって、俺に有利なのか?

「どうだ。君は、亜耶の事諦めるのか?」

亜耶を諦める。

そんなこと、出来るわけ無い。

だが、試練の内容を聞いてからでもいいんじゃないかと思った。

「試練とは、何ですか?」

俺の声が、普段よりも一層低くなってるのがわかる。

「遥くんが、うちの社員になって、三ヶ月の海外研修を終えてくること。その間、亜耶と会うことも禁止だ」

三ヶ月も、亜耶と会えないのか…。

海外だと、街で偶然彼女を見かけることもなくなる。

でも、それを終えれば、亜耶と堂々と会えるし、婚約も出来る。

だったら、答えはひとつしかない。

「わかりました。それ、受けます」

俺は、その試練を受ける事を承諾した。

「遥くんなら、そう言うと思ったよ。色々と準備が必要だろ?来月からの海外研修、宜しく頼むな」

にこやかな笑顔を向けてくる御大に。

「こちらこそ、宜しくお願いします」

俺も笑顔で、そう口にした。

「取り敢えずは、雅斗の付き人として、明日から働いてくれな」

全く急な話だが、俺は頷いた。



その後、少しの世間話をして部屋を後にした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ