二人への思いの違い
何で、今日に限って、委員会何てあるのよ。
何て、心で嘆いていた。
昼休み。
「亜耶ちゃん。行こう」
同じクラス委員の龍哉くんが、声を掛けてきた。
昼食もそこそこに教室を出る。
「何で、昼休みなんだか…」
横を歩いてる龍哉くんが呟いた。
それに便乗して。
「そうだよね。せめて、放課後にして欲しかった」
って、私もつい愚痴ってしまう。
「取り合えず、急ごうか。時間ギリギリ」
龍哉くんの言葉に足早に集合場所にの教室に向かった。
教室に入ると悠磨くんの姿が飛び込んできた。
朝以来だ。
そんな彼に。
「悠磨くん」
って、声を掛けたんだけどもう一人の委員の娘とのお喋りに夢中で、気付いてもらえない。
仲が良いんだなぁ。
「亜耶ちゃん。席に着こ?始まるみたいだ」
龍哉くんに言われて、クラス毎指定されてる席に着いた。
席に着くと直ぐに始まった。
内容は、球技大会についてだった。
これって、クラス委員じゃなくて、体育員の仕事じゃ…。
って思ってたんだけど、生徒会が言うには、クラスの親睦を深めるための行事だから、纏めるのは、委員長の仕事だからとか…。
う~ん、上手く擦り代えれてる気がするのは気のせいかな?
「ハァー、めんどくさ」
そう呟いたのは、横に座ってる龍哉くん。
そう言いながらも、ちゃんと耳を傾けて聞いてるんだよね。
そういうところが、いいのかも…。
何て思いながら、悠磨くんを見る。
悠磨くんのクラスの方が前に座ってるから、私の位置から後ろ姿の悠磨くんしか見えない
。けど、同じクラス委員の娘とまだ何か話るみたい。
とっても仲良しなんだね。
そんな二人を見ても、何とも思わないの。
遥さんの時は、胸の奥がズキッて痛んだのに…。
悠磨くんに対しては、それが訪れない。
この差って、何なの?
「亜耶ちゃん。終わったよ。教室戻ろ?」
龍哉くんが、声をかけてきた。
気付けば、皆バラバラと教室を出て行ってる。
うわー、最後の方、全然聞いてなかった。
「うん…」
私も席を立ち教室を出る。
「龍哉くん。最後の方聞いてなかったから、教えてもらってもいい?」
私は、龍哉くんに訪ねると。
「珍しいな。いいよ」
って、苦笑しながら答えてくれる。
教室に戻りながら、龍哉くんに教えてもらった。
「なるほどね。男子は、サッカーかバスケで、女子がテニスかバレーで、経験者は各二名までなんだね」
「そう言うこと。で、俺は、バスケの経験者って言うかバスケ部員だから、バスケのリーダーを引き受けるよ。で、亜耶ちゃんは?」
って、潔い龍哉くん。
「ん?私は、どっちもあるよ」
って私の返事に。
「じゃあ、テニスの方をお願いしても良い?梨花にバレーのリーダーを任せたいから…」
龍哉くん、何気に決めるの早い。
「うん、いいよ」
「後は、サッカーのリーダーなんだが…」
そう言って、何か考えてる。
って言うか、思い出してるのかな?
サッカーの経験者を…。
何て、のんきに歩いてたけど、私、呼び出しされてたんだっけ…。
「ごめん。私、職員室に用事あるから、先に戻ってて…」
「あっ、あぁ。わかった」
龍哉くんも私の言葉に少し戸惑いながら、そう返事を返してくれた。
「じゃ…」
私は、背を向けて職位員室に向かった。
部活の事で、顧問の先生に呼び出されていることを忘れてるなんて…。
昼休みも残り少ない。
急がなきゃ。
職員室のドアをノックし戸を開けて。
「失礼します」
と声を掛け、顧問を探す。
顧問が、私に手を軽く挙げてる。
先生の側まで行くと。
「鞠山。お前、リレーの選手な」
いきなりの言葉に。
は?
ってなるのは、誰でも一緒だと思う。
だって、私は、マネージャーであって、選手ではないのだから…。
「先生。私はマネージャーですよ。選手じゃないですよ」
って、おどけた風に言ってみた。
「そんな事は、解ってる。ただ、女子部の選手が足りてなくて、他の部から助っ人を頼もうとしたんだけどな…」
何て、歯切れの悪い言い方。
「お前。中学でも陸上をやってただろう。だからさぁ、今回だけでいいから選手として、出てくれないか?頼む」
先生が、手を合わせて頭を下げる。
中学の時は、テニス部ですよ私。陸上は、駆り出されてただけなんです、本当は。
「わかりましたから、頭を上げてください」
承諾してしまった。
「本当か?助かる」
満面の笑みを浮かべる先生。
「…ということで、今日から練習よろしくな」
上機嫌な先生。
「はい」
なんか、行き当たりばったりだな。
まぁ、いいか…。
何て思いながら職員室を後にした。
教室に向かってる最中、階段の踊り場で行くてを塞がれた。
「何ですか?」
私は、目の前の腕の主を見上げた。
「君が、鞠山亜耶さん?」
「そうですが…」
誰?
自分の名前を名乗らずに人の名前を呼ぶなんて、礼儀知らずな人だ。
って言うか、そこ退いてくれないかな。
授業が始まっちゃうよ。
職員室を出る時にに予鈴鳴ってた。
こいつ(ごめんなさい。名前知らないから)、気付いてないの?
なんか、上から下へと変な視線が行き来してるし…。
何なの?
「俺と付き合え」
何、この上から目線な言い方。
こんなのと付き合ってられない。
「嫌です。名前も存じ上げない方と付き合う義理なんて、これっぽちもありません!」
私は、ハッキリと断った。
すると、見る見る内に顔を赤くしていく彼。
怒るような要素、どこにあったんだろう?
私は、一般的なことを言ったまでだけど…。
「俺を知らないなんって、あり得ないんだけど…」
何て、呟く彼。
知らないもんは、知らないもの。
「急ぐので、これで失礼します」
私は、彼の横を通り過ぎようとして腕を掴まれた。
「何?」
私は、彼を睨み付けた。
「お前、高橋遥さんって知ってるか?」
突然の質問。
でも、何で遥さんの名前がここで出てくるんだろう?
「その顔は、知ってる顔だな。高橋さん、俺の姉貴と婚約してるんだよ!」
意地悪な笑みを浮かべ、私を見る。
エッ…。
遥さんが、婚約…。
ウソ…。
でも、ありえるか…。
私は、遥さんにとっては、お子さまだもの…。
「だから何?私には、一切関係ない!」
私は、彼の手を振り切って教室に向かった。
後で知ったことだけど、彼は細川修平って言って、細川商事のご子息なんだそうだ。
まぁ、私には関係ないことだと思っていた。
思いたかった。
彼がこの後何かとちょかいを出してくるようになった。