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水族館デート①…悠磨編

さて。

久し振りのデート。

何着るか……。

白のTシャツの上に空色のパーカー、黒のダメージジーンズにスニーカー。

うん。

こんな感じで良いか……。

服装が決まり、只今洗面所を独占中。

今日は、兄貴も妹も朝から出掛けてるから、何も言われることもなく準備できる。

う~ん。

何時も前髪を下ろしてるから、たまには上げるか…。

兄貴が使用してるワックスをほんの少しだけ拝借して、髪を整える。

よし、これで良いか。

オレは、自分で納得して腕時計を見る。

丁度良い時間だな。

一度、部屋に戻って、財布と携帯を手にして家を出た。




亜耶の家の前に着くとインターフォンを押すか、携帯に電話するか迷った。

…が、インターフォンを押した。

ピンポーン…。

家中に響く音。

…カチャ。

『はい。どちら様でしょう?』

亜耶の母親の声。

「渡辺です。亜耶さんいますか?」

ちょっと緊張気味な声のオレに対して。

『あっ、悠磨君。ちょっと待っててね』

優しい声で言う母親。

暫くすると玄関が開いた。

「おっはよう、悠磨くん」

亜耶が、飛びきりの笑顔でオレの前に現れる。

「おはよう。じゃあ、行こうか」

オレも笑顔で亜耶に言う。

「うん。行ってきます」

亜耶が、振り返り家のなかに向かって言った。



駅に向かうなか、何時もと同じように手を繋ぐ。

っても、指は絡めてないけど…。

連休だから、混んでるのが当たり前だ。

だから、はぐれないように手を繋いでいた。



中学の時と違う、亜耶。

少し、大人っぽい彼女。

急に雰囲気が変わった彼女にオレは、ドキドキと戸惑いが入り混じる。

服装のせいなのか?

「悠磨くん。どうかした?」

亜耶が、心配そうにオレの顔を覗き込んでくる。

「…ん。どうもしないよ」

何て答えながら、他の男共の視線を集めてる亜耶に嫉妬してるなんて言えるわけない。

ハァ……。

なんだろうなぁ……。

隣に居るのに遠く感じるのは……。

「悠磨くん。ボーとして、どうしたの?らしくないよ」

亜耶は、不思議そうな顔をしてオレを見ている。

「そうか…」

そんなに急いで大人にならないで…。

オレは、そう思うことでしか彼女に伝えられなかった。





水族館のある最寄り駅で下車。


駅から水族館まで十分程歩き。

周りは、家族連れやカップルでごった返していた。


もう少し、大人だったら車でこれるのに……。

何て嘆いても、仕方ない。

今は、亜耶と一緒に居られるだけで充分。

この関係が、長く続くとは、思っていない。

いつ、壊れるか、ヒヤヒヤしてるんだ。


「悠磨くん。イルカショーやるって。見たいんだけど、良い?」

亜耶が、案内板を見つけて訪ねてくる。

その上目使いは、ヤバイからやめて……。

と思うものの。

「良いよ。亜耶が見たいと言うなら。時間まで他の水槽を見て回ろう」

オレは、亜耶の手を引いてゆっくりと歩き出した。


悠々と泳ぐジンベイザメや磯巾着に隠れるようにして姿を見せるクマノミ。水蛸やクラゲ、ありとあらゆる水に関する生物を見て回る。

「ねぇ。悠磨くん。鯨の骨の標本だって」

興味津々で亜耶がオレの顔を伺う。

見たいのだろう?

オレの手を引っ張る亜耶。

いつもと違う亜耶の姿が見えるのは、とっても新鮮だった。

「見ていくか?」

オレが、声を掛けると嬉しそうに頷く亜耶。

ゆっくりと見てると亜耶が。

「凄いね」

って、小声で呟くように言う亜耶。

「確かに…」

オレも気付けば、そう呟いていた。

鯨の骨と一緒にイルカの骨も展示されてて、比較できるようになってた。

「亜耶。そろそろ時間」

食いいるように見てる亜耶にそう声を掛けた。

「えっ…あっ、本当に」

我に返った亜耶の慌てようにちょっとビックリしながら。

「うん。じゃあ、行こうか」

そう言って、亜耶の手を引いて展示室を出た。



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