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告白阻止



亜耶に追い付いたのは、駅に着いた時だった。

亜耶が、此方に背を向けて友逹と話してるのが窺える。

その後ろに気付かれないように俺はついた。


「亜耶の後ろに居る人は誰?」

と亜耶と話してる子と違う子が、俺に気付き話しかけてる。

その子も、綺麗な子なんだけど、興味ない。

亜耶が此方を振り返って、ビックリした顔して、溜め息を漏らす。

そんな顔も愛しく思う自分が居るんだがな。

「やっと追い付いた、亜耶。」

俺が、ニッコリと笑顔でそう言葉を言えば。

「遥さん……。」

何で居るの? って顔をしてる亜耶。

俺から、逃げられると思ってたの?

やっと久し振りに会えたのにさ、逃がすわけないじゃん。

「えっと、お兄ちゃんの友達の……。」

「高橋遥。亜耶のフィアンセだ。」

亜耶の紹介を待ってるのも煩わしくて、自分から名乗りをあげた。

うん。俺に睨みを利かせてる奴が、約一名居るな。俺もそいつを睨み付ける。

お前なんかに、亜耶は譲らないぜ。

そんな想いも込めてな。

少し視線をずらせば、亜耶が笑顔を固まらせていた。

俺、何か不味いこと言ったか?

ただ牽制しただけなのだが……。

「遥! 何言い出すんだ。」

後ろから、雅斗の焦った声。

何、本当の事を言って何が悪い。

「何を言い出すんですか。私の友達なんですよ。遥さんともう口聞きません!」

般若のような顔をした亜耶の口から絶口宣言。

えっ……。

亜耶と口きけなくなるのか?

そんなの辛すぎる。

そんな事を思ってれば。

「時間がもったいないから、移動しよ。」

亜耶は俺を睨み付けて、歩き出す。

「あ、亜耶……。」

俺の声は、亜耶の背には届かなかった。



その後、雅斗は用事があったらしくその場で別れた(釘は刺されたが、な)。

俺は、亜耶が視界に入る距離で後を追った。



先程の対応を見た限りでは、今の俺のポジションは 悲しいかな "お兄ちゃんの友達" だ。そのポジションを "フィアンセ" にしたいのだ。

その為には、努力を怠りたく無いのだ。



亜耶たちは、図書館に着くと各々に席に着くと思い思い参考書等を取り出して、勉強をし出した。

亜耶に好意を思ってるだろう奴が、亜耶に教えているのを見つつ、


近過ぎだ離れろ!


って、胸の内で叫びまくっていた。

あー。

あいつ。

やっぱり、亜耶狙いだ。

亜耶を見る目が、他の女の子と違い、優しすぎる。

それ以上近付くな。

亜耶が、顔を赤くする度に俺は、ハラハラする。

他の奴等も、二人の事をからかってるし……。


亜耶とのこの距離が妙にもどかしく思えて、仕方がない。

亜耶の隣は、俺のだと堂々と言えないこの辛さ。

歯痒い気持ちを押し殺して、二人のことを見ていた。



やがて、閉館時間が近付いて俺は先に図書館を出て、亜耶たちが出てくるのを隠れて待っていた。

閉館時間たっぷりと使ったメンバーが、出てきた。

そして、バラバラと各々帰路に着く。

亜耶とあの男が残り、二人肩を並べて家路に着く。


俺は、少し距離をとって、その後を気付かれないように歩く。

何もないことを祈りながら……。


俺の思いとは裏腹に、怪しげな雰囲気が立ち込める。

もしかして……。

何て思って二人の背後に足音をさせずに近付く。

「亜耶…。オレ……オレさぁ、亜耶のこと、好きなんだ。だからオレと付き合って……。」

何て言葉がヤツから紡がれ。

やばい!

俺は、慌てて。

「亜耶ーー!!」

ヤツの声を遮るように叫んだ。

絶口宣言なんてこのさえ無視だ。

俺は、走って距離を詰め亜耶の傍に行く。

今しがた来たかの様に装おって。

「迎えに来たよ。」

俺は、口許を上げながら目は奴を睨みつけた。

「あっ、迎えが来たなら、オレはこれで。」

そう言い残して、走り去って行く。

俺は、その後ろ姿を見つめながら。

「亜耶、寒いだろ。さっさと帰るよ。」

亜耶を後ろから抱き締めていた。

亜耶不足を解消するためと、亜耶の温もりと存在それと俺自身の不安を打ち消すために……。



亜耶をお前なんかに渡さない。

そう想いながら……。








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