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遥さんへの想い

披露宴会場の中。

私は、お爺様とお父さんに挟まれるように座た。


無意識の内に遥さんを目で探す。

見つからない。

落胆してる自分がいる。

「亜耶、どうしたんだ?」

お爺様が、声を掛けてきた。

「何でもないです」

何て言いながら、目の前の料理を見ていた。



『……ここで、新郎新婦のご友人二人にお祝いの言葉を頂きたいと存じます』

って、司会の人の声がマイクを通して聞こえてきた。

『新郎のご友人で、高橋遥様。よろしくお願いします』

えっ……。

遥さんが、代表スピーチだったの?

私は、司会席の横に設けられてるマイクスタンドの方を見る。

そこに遥さんが、立とうとしてた。


遥さん……。

気付けば近くて、遠い存在の彼を見つめてた。

ちゃんとした姿を見るのは、久し振り。

卒業式に来てくれてたけど、一瞬だったから……。

マイクを通して、遥さんの声。

久し振りに聞いた声に、胸がキュンってなる。

こんなの初めてで、どうしたらいいのかわからない。

自分から避けるようになったのに、何でこんなに苦しいの?

遥さんの事嫌いになれればいいのに……。


どんどん想いが溢れてくる。

ヤバイなぁ。

涙まで溢れそうだよ。

同じ空間内に居るのにこんなにも遠い。

この苦しい気持ちもあの人の為にも忘れないといけないよね。

罪悪感に捕らわれてる自分が居る。

忘れるんだって、自分に言い聞かせた。



披露宴も終わり、ロビーに出る。

その間もお爺様が、私の傍から離れてくれない。

遥さんと話したい。

それが無理なら、遠くからでも見ていたい。

お爺様の目を盗んで、遥さんを探す。

…が、見つからない。

何処に居るの?

この中に入るのは、わかってるのに…。

何で、何で見つからないの?

もう一度、あの日々に戻りたいって、思っちゃダメなの?

私にとっては、充実してた。

遥さんが居た日常が、今はとても懐かしい。



ねぇ、遥さん。

遥さんに彼女が居ても、あなたの事想っていてもいいですか?

この想いは、絶対に口にしないから……。

想うだけなら、許してくれますか?


応えの無い返事を待つ自分が滑稽に思えてくる。





さあ、暗示を掛けよう。

私は、悠磨くんを愛すると……。







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