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お兄ちゃんの結婚式

今日は、お兄ちゃんと由華さんの結婚式。

朝から家の中が、バタバタしてる。

とかく、私も慌てていて。

「亜耶。起きてるの?早く仕度して下りてきなさい」

お母さんが下で叫んでる。

取り合えず、着替えをして鞄とドレスの入ってる袋を持って、下に下りる。

もちろん、プレゼントも持参する。


「おはようございます」

私が、リビングに顔を出すとお父さんとお母さんが、準備万端で待っていた。

「おはよう、亜耶。ドレスは?」

お母さんが、聞いてきた。

「うん。向こうに着いてから着替える。汚すといけないし…」

「あっ、そう。じゃあ、行きましょう」

お母さんの言葉で、玄関に向かった。


お兄ちゃんは、一ヶ月前から新居に由華さんと暮らしてる。

タクシーに乗り込み式場に向かった。


式場に着くと控え室に入りドレスに着替えた。

淡い水色のフンワリとした膝丈のドレス(ドレスの事、あまり詳しく無いから上手く説明できないよ)。

これを選んでくれたのも由華さんだった。

『亜耶ちゃんには、ピンク系よりブルー系の方が似合うよ』

って、笑顔で言ってくれたの。

その笑顔が、とても綺麗で見いってしまってた。

そして、由華さんになら、お兄ちゃんを任せられるって、改めて思った。

「宜しければ、髪を結わせてもらいますが…」

って、スタッフさんが声をかけてくれた。

私は。

「お願いします」

って、口にしてたんだ。

スタッフのお姉さんは、あっという間に私のセミロングの髪を結ってくれて、ドレスに会う髪型になってた。

どこをどうしたら、こんなに上手に結えるの?

って、疑問に思いながら。

「ありがとうございます」

ってお礼を言って、部屋を出た。


部屋を出るとお母さんが待っていてくれて。

「亜耶。由華さんのところへ行くんでしょ?」

そう声をかけてくれたから。

「うん!」

って、頷いて、お母さんの後に着いて由華さんの控え室に向かった。



コンコン。

お母さんが、ドアをノックする。

「はい」

内側から由華さんの声。

少し緊張してるのかな?

お母さんが、ドア開けた。

中に入ると純白のドレスに身を包んだ由華さんがドレッサーの前に座っていた。

鏡越しで目が合う。

とっても綺麗で、目が奪われてしまっていた。

「亜耶。何固まってるの?」

私の横にいるお母さんが声をかけてくれたお陰で、我に返り。

「由華さん、おめでとう!凄く綺麗で、見とれちゃった」

って、笑顔で言葉を紡いだ。

由華さんが、立って振り返る。

「亜耶ちゃん。ありがあとう。亜耶ちゃんもそのドレスメチャ似合ってるよ」

って、ニコニコしながら言う由華さん。

「…ありがとうございます?」

ちょっと照れちゃう自分がいた。

「由華さん。雅斗の事、よろしくお願いします」

って、横でお母さんが言う。

「こちらこそ、よろしくお願いしますお義母さん」

由華さんが、頭を下げた。

「由華さん。これ、使ってください」

って、私は鞄からプレゼントを取り出して、渡した。

「ありがとう、亜耶ちゃん」

由華さんが、笑顔で受け取ってくれた。

私もニッコリと笑顔を浮かべた。

「私たちは、先にいってますね」

お母さんが由華さんに告げると部屋を出る。

「お義姉ちゃん。お兄ちゃんの事お願いします」

私はそう言って頭を下げ、お母さんが待つ廊下に出たのだった。



式場内に入り、辺りをキョロキョロ見渡していた。だって、ステンドグラスに嵌め込まれてる窓が凄く綺麗で、他にはないのかなって、探してたの。

「亜耶。少しは落ち着きなさい」

って、お父さんに言われて取り合えず正面を見ていた。

何時入ってきたのかわからないけど、気づいたらお兄ちゃんが前にいた。

そして。

「遥、一番後ろの席にいるよ」

って、ニコニコしながら私に耳打ちしてきた。

私は、思わず振り返った。

すると。

お兄ちゃんが言った通り、一番後ろの席に遥さんの姿を見つけた。

遥さんは、お兄ちゃんの一番の親友だもんね。

…でも、遥さんは、私を見てない…よね。

あんな綺麗な女の人が居たら、私なんか…子供の私は…要らないよね。


私は、前を向いた。

今だけでいいから、遥さんを感じたい。

一緒にいる空間を堪能したい。

それだけで、私は満足だから……。

そして、また明日から頑張るから…。

遥さんへの想いを封印して…頑張るから…。


悠磨くんには悪いと思いながらも、式の最中ずっとそんなことを考えていた。




外に出ると直ぐにブーケートスが始まった。

「亜耶も混じってきたら」

って、お母さんが背中を押すから、輪の中に入っていく。

その背中を彼が見てるとも思わずに……。


「それじゃあ、いくよー」

由華さんが、背を向けて掛け声かけて、ブーケーを投げた。

私の回りをキャーキャー言いながら、ブーケーに手を伸ばしてる。

私は、その凄まじさにただ見てるだけしか出来なかった。


ブーケーを手にした人が、凄い喜んでいたけど…。



その後、披露宴会場に移動しながら、遥さんの姿を探すが、見当たらなくて、寂しさを感じていた。

「亜耶。どうしたの?」

お婆様が声をかけてきた。

「何でもないです」

そういいながら、笑顔を浮かべる。

ぎこちない笑顔だったのだろう。

お婆様の顔が、歪んでいたから。

「亜耶。あなたは、誰を思ってるのかしらね」

って、苦笑を浮かべるお婆様。

「あなたの想い人が、近くにいますよ」

って……。

意味深な言葉を告げられた。



披露宴ん会場では、指定された席についた。

私の右隣はお爺様で、左隣はお父さん。

遥さんは……。

私は、キョロキョロと辺りを見渡す。

友人席でもあり、会社関係でもある位置に座っていた。

少し遠いな…。

遥さんを近くで見たい。

それは、叶わないのかなぁ。


そんなことばかり考えていた。





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