本の一時の戯れ言
月曜日の朝、受験モード一色の中。
オレは、教室で義之達と話していた。
亜耶は、担任に呼ばれて教室には居ない。
「なぁ、悠磨。卒業旅行に行かねぇか?」
突然ふられた。
「いいけど…。親の許可取ってからな」
オレは、そう答えるしかなかった。
「姫。悠磨、行くってさ」
義之が、近くに居た水口に言う。
「本当?後は、亜耶だけだね」
って…。
ん?
後は?
「メンバーは?」
オレは、問いかけた。
「俺と姫、順一、留美ちゃん、悠磨と亜耶だよ」
義之は、平然と言う。
ふ〜ん。
仲間だけで行くのか?
楽しそうだな。
「なぁ、悠磨。亜耶ちゃんと付き合い始めたって本当か?」
順一が聞いてきた。
「えっ、ああ。合格発表の日に告白したら、OKしてくれたんだ」
照れ隠しの笑みを浮かべた、オレ。
「よかったな。やっと報われたんだな」
「長い片想いだったな」
二人が、自分の事のように喜んでくれた。
「そうなんだけど…。なんかシックリこないんだよなぁ」
オレの独り言を水口が拾っていた。
「何が?」
「何がって言われても、言いにくいんだよ」
不思議そうな顔を水口。
そんな所に亜耶が戻ってきた。
「何、皆で集まって?」
亜耶が、不思議そうな顔をして聞いてきた。
「…ん。このメンバーで、卒業旅行へ行こうって話してたの。ほら、悠磨くんと亜耶だけ別の学校じゃん。だから、思い出を作ろうって、話をしてたの」
ああ、そっか……。
オレと亜耶は、学力で選んだから他の奴等と違うんだ。
オレと亜耶、何時も学年順位を争ってたからな。
「…で、亜耶は、行けるの?」
斎藤が亜耶に聞いてる。
「う〜ん。日程次第かな」
あっ、そうか…。
お兄さんの結婚式があるのか…。
「じゃあ、亜耶がダメな日は?」
「卒業式の後の土日は、外してくれれば、後は大丈夫だよ」
って、亜耶が答えてた。
「土日は、混むから平日にって考えてるし…。俺等、卒業式後に受験だから、その後にしか行けない」
推薦組のオレ等と違って、まだこれからだったな。
「そっか。じゃあ、返事は明日するね。泊になるなら、許可を取ってからじゃないと無理だから…」
亜耶が、少し寂しそうな顔をする。
何で、そんな顔をするんだ?
楽しもうって思わないのか?
亜耶は、何を思ってるんだ?
「うん。わかった。行けるといいね」
斎藤の言葉を聞いていた。