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出逢い

今回は、遥さん目線です。





俺は、高橋遥。

今日まで残業と接待の日々で、疲れが一向にとれずにいた。

この疲れをとるには、愛し(俗に言うフィアンセ)に会いに行くしかない。

ということで、二週間ぶりの休日を彼女を目の保養にしようと朝から、準備して家を飛び出した。



彼女に会ったのは、高校二年生の夏頃。

偶々、親友の雅斗に声をかけられて(テスト勉強と言う面倒な名目だったが)、家に行った時だった。

勉強に身が入らずに、雅斗の部屋を物色してた時だった。

「遊んで、お兄ちゃん。」

いきなり部屋の戸が開き、子ども特有の高い声が、室内に響いた。

俺は思わず戸の方に目を向けた。

そこには、黒髪を腰まで伸ばし、目のクリクリした可愛い女の子が立っていた。

「何? 雅斗の妹? 可愛い。」

俺は、誰よりも先にそう口にしていた。

えっ、何でこんなに気になるんだ?

目が離せずに見ていれば、何時もと違う雰囲気だったためか、オロオロとし段々と涙目になってきている。

あ~、もう可愛すぎ。

「大丈夫だよ。」

って言って、抱き締めてあげたい。

そんな妄想に囚われてる時に。

「後で遊んでやるから、向こうで待っててくれな。」

雅斗の優しい声音が耳に聞こえてきた。

俺は驚いて雅斗を凝視した(他の面々も同じ顔だ)。声音だけではなく、目許も何処と無く優しく見える。

普段学校で見るのは淡々とした冷たい(特に女子)対応なのに、妹にはそんな態度では無いとは、これは一体なんだ。

これは所謂シスコンってヤツか?

俺が雅斗に目を向けてる間に女の子は居なくなってた。

怪訝な顔で見る俺に対して。

「何だ? って言うか遥、勉強しないのか?」

不思議そうな顔をして聞いてくる雅斗。

「しなくても大丈夫。それより、今の妹だよな?」

俺は疑問に思ったことを口にする。

「そうだが……。」

「年、離れてないか? どう見ても小学生だよなぁ。」

「ん? あぁ、十離れてるからな。今、小学一年生。」

俺の質問にも淡々と答える雅斗。

へぇ~、小学一年生ねぇ。

将来楽しみだな。嫌、違うよ今から囲っておかないと捕られるだろう。

そうなれば、俺は……。

って、何考えてるんだ俺。

だけど、あの姿が目に焼き付いて仕方ない。

彼女の笑顔が見たいと思ってしまうくらい、頭に残ってしまった。


それから、毎日のように鞠山家に通った。


亜耶の学校行事には全て参加し。

「亜耶からの伝言、 "来ないでくれ" だって。」

彼女が迷惑がってる事を雅斗から聞いていても迷わず行ってしまう。

その時その時の表情を写真に納めたいと思うのは当然であろう(笑顔もだが悔しそうな顔も見たいと思うんだから仕方ないだろう)。

疎まれても、俺の癒しとなってるので会わずにはいられない。

一日会わないだけで、どうにかなってしまいそうな程だ。

社会人になってからは、中々会えずにやっと時間ができても、最近では部活で忙しい亜耶に会えずすれ違ってばかりだ。



だから、俺は鞠山会長(亜耶の祖父)に直接会い、亜耶のフィアンセとして名乗りを上げていたのだ。

そして、ご両親には。

「亜耶が、高校を卒業したら、嫁に下さい。」

と前以て伝えていた。


俺の想いは、亜耶にしか向かないと自負しているのだから……。






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