合格と拒絶
今日は、合格発表の日。
悠磨くんと一所に掲示板を見上げた。
えっと…。
順番に番号を見ていく。
あっ…あった。
私の番号。
口許が綻ぶ。
「悠磨くん、あった?」
私は、優真くんの方を向く。
「あったよ。亜耶は?」
悠磨くんが、嬉しそうに言う。
「私のもあったよ。4月からも宜しくね」
飛び切りの笑顔で言う。
「こちらこそよろしくな」
悠磨君が、にっこり笑顔で言う。
4月から、一緒に通うことが出来ると思うと、嬉しかった。
「亜耶。ちょっと寄り道いいかな?」
悠磨くんからのお誘い。
私も、何となくこのまま帰るのが忍びなかったから。
「いいよ」
って答えてた。
悠磨くんの後を着いて辿り着いたのは、家の近くの公園。
その中にあるベンチに悠磨くんが座った。
私も、それに習うように隣に座る。
周りには、誰もいない。
私たちだけ。
「亜耶…」
悠磨くんが、静かに声を出す。
「何?」
悠磨くんが、何を言おうとしてるのか?ドキドキしながら次の言葉を待つ。
「亜耶。オレ…亜耶の事が好き。オレと付き合ってください」
って…。悠磨くんからの告白だった。
えっ!
悠磨くん、私の事を好きだったの……。
そう想ったとたん、顔が熱くなって。
「…悠磨くん。私こそ、お願いします」
って、肝心の“好き”とは言えなかったけど、どうにか言葉を出した。
「やったー!」
悠…悠磨くん…。
その喜び方に、思わずビックリしちゃった。
普段クールな彼が、叫ぶとは思わなかったから…。
少し落ち着きを取り戻したところで、悠磨くんが。
「亜耶。明後日の土曜日、映画でも行かないか?」
って、言ってきた。
私は、迷うことなく。
「うん。いいよ」
って、答えたんだ。
「じゃあ、十一時に駅で待ち合わせな」
「わかった」
その後、少し喋ってから家まで送ってもらった。
「ただいま」
玄関を開けて、中に入る。
「お帰り。で、どうだったの?」
お母さんが、心配そうにキッチンから顔を出して聞いてきた。
「合格したよ。悠磨くんも一緒だよ」
って、笑顔で報告する。
「おめでとう、亜耶」
って、リビングからお兄ちゃんが顔を出す。
何で居るんだろう?仕事が忙しいって言ってたのにと思いながらも。
「ありがとう」
って、答える。
「4月から、亜耶も高校生か…。早いな。遥かいも知らせないと…」
お兄ちゃんが言う。
「遥さんの事、私の前で話さないで!それから、合格祝いも要らないって言っておいて!」
語尾を強めた。
私の言い方にお兄ちゃんが驚いた顔をする。
「それから、金輪際。私の前に現れないでって、言っておいて」
それは、私の決意。
そう。
遥さんに会ったら、自分が自分じゃなくなるような気がしたから…。先手を打つことにしたんだ。




