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緊張感

あれから、遥さんに対する想いをがんじがらめにし、奥の方に閉じ込めた。


受験日まで、解らないところや面接の練習をお兄ちゃんに付き合ってもらった。


「亜耶。そろそろ出ないと…。悠磨くんと待ち合わせてるんでしょ?」

って、お母さんの声。

「うん」

私は、もう一度忘れ物がないか鞄の中を見る。

受験票、筆記用具、教科書、問題集……。

よし、忘れ物はないね。

私が部屋を出ると。

「亜耶。駅まで一緒に行くか?」

スーツ姿のお兄ちゃんが声をかけてきた。

「うん」

私は、お兄ちゃんの申し出を素直に頷いた。


駅に向かいながら、お兄ちゃんが。

「亜耶。緊張してないか?」

って、聞いてきた。

「ちょっだけ…」

そう言って、自分の手を出す。

手が、小刻みに震えている。

「緊張が解れるように駅まで、手を繋いで行くか?」

お兄ちゃんが、クスリと笑う。

「もう、私は小さな子供じゃないよ」

って、拗ねて見せた。

「そうだな。自分で考えて、行動が出来る子供だな」

眼を細めて言う。


こう言うときは、何時も思う。

私は、何時まで経ってもお兄ちゃんの中では、子供なんだって…。


「亜耶。亜耶なら絶対大丈夫だ。自信を持って受けてこい!」

お兄ちゃんが、真顔で言う。

「うん。頑張る」

笑顔で答えた。



お兄ちゃんと別れ、改札口の近くで、悠磨くんが来るのを待つ。

その間も単語帳を捲って、勉強する。


ふと、視線に気付きその方をみると、悠磨くんがこちらに向かってくるのが見えた。

「おはよう、悠磨くん」

微笑んで見せる。

「おはよう、亜耶。相変わらず早いな」

悠磨くんが、真顔で言う。

「…うーん。そうかな」

ちょっと、答えに困った。

偶々なんだけどね。


最近、悠磨くん髪を切ったみたいで、クールさが増してる。

「悠磨くん、どうしたの?行くよ」

私は、ボーッとしてる悠磨くんに声をかけた。

「あっ、うん」

悠磨くんが、生返事を返してきて、二人並んで学園に向かった。




テストの方は、思ってたよりも簡単だった。

本当言うと、お兄ちゃんが言っていたところの応用問題が、所々に出てて、何度も解いていたお陰だと思う(お兄ちゃん、ありがとう)。


さて。

面接の方が、問題だ。

ちゃんと答えることが、出来るのか…。

一様、お兄ちゃんには、合格点はもらってるんだけど…。

やっぱり、緊張する。

どうしたら、震えが止まるんだろう?


そんな時だった。

遥さんの笑顔が、脳裏に思い起こさせる。

私が緊張しないように、何時も笑わせてくれてた、遥さん。


……って、何で今更出てくるのよ!


それでも、遥さんのバカな行動を思い出したら、自然と震えが止まっていた。





面接も、難なく答えることが出来た。


帰りは、悠磨くんと正門で待ち合わせていた。


教室を出て、下駄箱で靴を履きかえ、正門に向かう。

正門に近づくにつれて、女の子達が、遠巻きで悠磨くんの事を見ているのがわかった。

そんななかに私は、素知らぬ顔をして、中に入っていく。


「悠磨くん。待った?」

私は、悠然と声をかけた。

もちろん視線は、痛いですけど…ね。

「大丈夫だよ」

悠磨くんが、平然と言ってのける。

この人、気付いていないの?

まぁ、いいか……。

「悠磨くん、どうかした?」

私は、百面相をしてる悠磨くんに声をかけた。

「…いや、何でもない。帰ろ」

「うん」

そんな悠磨くんに笑顔で答えた。


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