見合い
ハァー。
結局、スーツに着替えさせられ、見合い会場に連行させられた。
「遥。こちら細川商事の社長令嬢のゆかりさん」
多香子姉さんが紹介してくれた。
「どうも、遥です」
俺は、適当に挨拶する。
「細川ゆかりです。お目にかかれて光栄です、遥さん」
ウゲッ……。
俺の苦手なタイプじゃん。
「悪いけど、俺は君と婚約するつもり無い。それに遥って呼ぶのやめてくれないか」
俺がそう言うと。
「何故ですか?私、遥さんに何かしましたか?」
不思議そうな顔をして言う。
「俺、婚約者いるし。それに今日は、多香子姉さんに言われて来ただけで、お見合いだなんて聞いてなかったし」
俺は、そのままの思いを伝えたが。
「それは、嘘ですよね。多香子お姉さまからは、特定の人は居ないって聞いてます」
って、笑顔で返された。
ハァーー。
そりゃ、まぁ姉さん達には、ついさっき話したばかりだからなぁ……。
姉さんが知らなくても仕方無いが……。
「居ると言うのなら、どちらの方ですか?」
あーあ。
ここまで突っ込まれるのか……。
ごめん、亜耶……。
「鞠山亜耶。鞠山財閥のご令嬢です」
俺は、馬鹿正直に答えた。
「……はっ、あんな中学生と婚約してるんですか?彼女よりも私の方が、年齢が近いですよ」
って、馬鹿にした言い方。
あんなって……。
お前に亜耶の何がわかるんだよ。
俺にとっては、唯一の癒しなんだぞ。
「年なんか関係ないだろ。俺は、亜耶としか結婚しないって決めてるんだよ」
亜耶が、傍に居てくれればそれでいいんだ。
「そんなの私だって、遥さんの事をお慕いしていました。幼い頃から……。遥さんのお嫁さんになる為だけに頑張ってきたんです!」
って、語尾を強めて返してきた。
ハァ?
頑張る?
何を?
俺、ゆかり嬢の事何も知らないぞ。
ここで、会ったのが初めてだと思うが……。
「ふーん。…で、俺は、君の事何も知らないし、知るつもりもない。それに…」
「それに?」
「俺は、亜耶だけしか愛さない。亜耶だけを愛してるんだ。君が入る余地など無い」
俺は、言いきった。
「じゃあ、融資の件は、無かったことにして良いんですね?」
と言い出した。
は?
融資?
何、それ?
融資って、どういう事だ?
俺、何も聞いてないぞ。
俺は、多香子姉さんを見た。
多香子姉さんが、罰の悪そうな顔をする。
まさかだけど……。
「本当、遥は感が鋭い。そのまさかよ」
多香子姉さんが、諦めたように言う。
「さぁ、どうしますか、遥さん?」
と息巻いてくるゆかり嬢。
うーん。
「姉さん。何で、それを先に言ってくれなかったんだよ。俺って、頼りになら無いのか?」
俺は、姉さんに詰め寄る。
「そうじゃないのよ。遥は、家を出て行った人間でしょ。だから、頼っちゃいけないと……」
姉さんが、申し訳なさそうに言う。
「それに、鞠山家と繋がりがあるなんて思ってなかったから……」
「わかった。経営が経ち行くまで、俺が手伝うよ。後、鞠山財閥に交渉を試みるよ」
俺は、それだけ言って部屋を出る。
「待って、私も一緒に…」
ゆかり嬢が、後を追って出てきたかと思ったら、腕にすがり付いてきた。
あー、鬱陶しい。
「ちょっと、遥。待ちなさい!鞠山家に電話する気なの?」
多香子姉さんまで追ってきた。
「家には掛けないよ。鞠山財閥の社長に直接電話するんだよ」
俺は、姉さんに振り返りそう告げた。
今回、凄く悩みました。
これで良いのかどうか……。
それでも、必要なのかとかずっと……。
手探り状態なので、また長くあくかもしれませんが最後までお付き合い宜しくお願いします。m(._.)m