お兄ちゃんと…②
店員さんに案内されて、席に着く。
「亜弥耶の好きなの頼んでいいぞ」
お兄ちゃんが、笑顔で言う。
うーんと…。
私は、メニューとニラメッコを始めた。
勉強で疲れたから、甘いものは、外せない(ただ、食べたいだけだったりして、エヘヘ)。
うーんとうーんと…。
シーフードピラフとシーザーサラダ、それから……。
あっ、これ、美味しそう。
目に入ってきたのは、バニラアイス挟んで上下にイチゴをふんだんに使われたパフェ。
でもなぁー。
こんなに食べれないかも…。
「何、悩んでるんだ?」
向かいの席で、私の百面相を可笑しそうに見て笑ってるお兄ちゃんが聞いてきた。
「うんとね。デザートにこのイチゴパフェが食べたいんだけど、全部食べれるかどうかわからなくて…」
「ん?パフェ以外に選んだのは?」
お兄ちゃんがメニューを覗き込む。
「えっと、このシーフードピラフとシーザーサラダ」
私は、メニューを指す。
「食べれそうにないなら、俺が食うから、安心して頼みな」
お兄ちゃんが言う。
「いいの?」
「当たり前だろ。食べたいのを食べろって…。もういいな、呼ぶぞ」
お兄ちゃんが、ブザーを押した。
ピンポーン。
音と同時に電光掲示板に番号が表示された。
それを見た店員さんが、やって来た。
「ご注文をどうぞ」
「シーフードピラフとシーザーサラダ、イチゴパフェとカプチーノで」
お兄ちゃんは、すらすらと注文する。
「ご注文を繰り返させていただきます、シーフードピラフを一つとシーザーサラダを一つ、イチゴパフェを一つ、カプチーノを一つ。以上で、よろしかったでしょいうか?」
「はい」
「パフェは、いつ頃お持ちいたしましょう?」
「食後で」
「かしこまりました」
そう言って、店員さんは、行ってしまった。
さっきの別れ際の遥さんの様子がおかしかったことを思いだし、お兄ちゃんに聞いてみることにした。
「お兄ちゃん」
「ん?」
お兄ちゃんが、不思議そうな顔をする。
「今日の帰り際の遥さんの様子が、ちょっとおかしかったから…」
「気になるのか?」
お兄ちゃんが、ニコニコしながら聞いてきた。
「少し…」
「そっか。遥。今日はお兄さんたちに呼び出しされてるんだよ」
お兄ちゃんが言う。
お兄さん?
私、遥さんの家族のこと、何も知らない…。
「ねぇ、お兄ちゃん。遥さんって、どんな家庭で育ってきたの?」
思ったことを口にした。
「どんなって…。それは、遥から直接聞けばいいだろ」
と返された。
それは、そうなんだけど…。
「亜弥耶が聞けば、遥は全部答えると思うぞ」
真顔で答えるお兄ちゃん。
えっ…と……。
それは…。
「まだ、わからないのか?遥は、゛亜耶から聞かれたことは、全て自分の口から話すから、雅斗は言うなよ″と釘を刺されてるんだ。気になることがあるなら、直接本人に聞いてみな」
意地悪な笑みを浮かべるお兄ちゃん。
「わかった。今度会ったときにでも聞いてみる」
「そう、そう」
と頷くお兄ちゃん。
「お待たせしました」
店員さんが、注文したものを持ってきた。
「あ、ありがとうございます」
つい、お礼を言ってしまった。
「ぷっ…」
お兄ちゃんが、吹き出す。
私は、頬を膨らませた。
「何で、お前は、そんなに素直なんだよ」
って……。
素直?私が?
「顔に出てる」
そんなに分かりやすいかな?
「そんなところに遥は惹かれたんだろうな」
うーん。
「ほら。腹減ってるんだろ?食べな」
お兄ちゃんに言われて、手を合わせた。
「頂きます」
元気に言う。
「……ったく。いつまでたっても。子供だな」
って、お兄ちゃん。
そんな私を目を細めて見ている 。
そりゃあ、お兄ちゃんからみたら、お子さまですよ。
そんなお子さまを好きになってる人が、いるんですからね。
って、口に出さずに目の前のものを口に運んだ。