お兄ちゃんと… ①
10日振りの投稿です。
読んでいただけるだけで、嬉しいです。
さっきの遥さん、様子が可笑しかったけど、何かあったのかな?
コンコン。
部屋のドアがノックされた。
「はーい」
私は、席を立って、ドアの所に行き開けた。
「亜耶、遥は?」
お兄ちゃんが、部屋を見渡して言う。
「エッ…。帰ったよ。何か用事があったみたい」
私が、そう答えると。
「そっか…」
残念がるお兄ちゃん。
「まぁいいや。後で電話するか。勉強、わからないところがあれば、いつでも聞きに来いよ」
それだけ言って、部屋に戻って行くお兄ちゃん。
「何だったの?」
私は、もう一度勉強に集中した。
集中し過ぎて、気付けば午後一時半を回っていた。
お腹すいたなぁ。
そういや、まだお昼ご飯食べてないや…。
私は、部屋を出て、階下に降りた。
「あれ、亜耶。居たの?てっきり、遥さんと出掛けたと思ってた」
お母さんが言う。
エッ…。
それって……。
「私のお昼は?」
恐る恐る聞くと。
「居ないと思って、準備してないわよ」
って、にこやかに言うお母さん。
やっぱり…。
「どうした、亜耶?」
お兄ちゃんが、顔を出す。
「お昼、食べそこねた」
私が言うと。
「外に食べに行くか?」
お兄ちゃんからの申し出。
「いいの?」
「いいよ。遠慮するな。準備しておいで」
お兄ちゃんに笑顔で言われて、部屋に戻って支度した。
支度を済ませて、玄関に行くとお兄ちゃんが待っていた。
「お待たせ」
「うん。歩いて行くか…」
二人で、玄関を出た。
「なぁ、亜耶。遥の事、どう思ってるんだ?」
お兄ちゃんが聞いてきた。
「どうって?」
聞き返す。
「うん。好きだとか、面白い人だとか、あるだろ?」
って……。
「うーん。わかんない…」
私は、そう答えるしかなかった。
「わかんないって…」
お兄ちゃんが苦笑いしてる。
「なんかね。今までは、ただただ鬱陶しい人だなって思ってたんだ。だけど、最近は、違うと言うか、見方が変わってきたって言うか…」
私は、思ってることを上手く言えないでいた。
本当につい最近までは、“何で、私なんかに構うんだろう?遥さんなら、モテルのに“って思ってた。
でも、昨日の遥さんを見たら…。
何時もと違う一面を見たら、なんかキュンって、胸が締め付けられたって言うか……。
「そっか…。亜耶の中では、遥の存在が、変わってきてるんだな」
お兄ちゃんが言う。
そうなのかなぁ?
でも、私が一番気になってるのは、悠磨君なんだけどなぁ…。
「…で、亜耶の心の中には、誰が居るんだ?」
って、お兄ちゃんが、核心をついてくる。
「エッ…と…」
答えられず、どもってると。
「あの、渡辺悠磨か?」
お兄ちゃんが聞いてきた。
「エッ…、あ、うん。そう悠磨くん」
「そっか…」
お兄ちゃんが、残念そうな顔をする。
何で、そんな顔するの?
私は、不思議に思いながら、お兄ちゃんを見た。
「どうかしたか?」
「ううん…」
どうかしたか?は、私が聞きたかったんだけど…。
「ほら、着いたぞ」
そう言って、お兄ちゃんが、ドアを開けてくれた。
「ありがとう」
私は、そのドアを潜る。
「いらっしゃいませ!」
元気のいい店員さんの声が聞こえてきた。




