表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/132

俺の想い(遥)

 亜耶を家まで背負って送る。

 俺の背中でスヤスヤ眠る亜耶。

 気持ち良さそうに・・・。


 しかし、さっきの亜耶、可愛かった。

 あんなに甘えてきたの久し振り、いや初めてかも・・・。

 その姿をあいつらに見せつけられただけでも牽制、出来たんじゃないかって思う。


 こんなにも毛嫌いされてる俺に、甘えた声を出す亜耶が、可愛い。

 亜耶の中にある、俺の存在が少しずつ大きくなってるなら、それでいい。

 だが悠磨あいつの存在が大きいのなら、俺は・・・。


 って、今、考えることじゃない。

 俺は、自分で待つって、決めたんじゃないか。

 亜耶が、俺の事を好きになってくれることを・・・。

 今は、同年齢のやつが、気になる時期だってこともわかってる。

 だけど、そんな亜耶を見るのは辛い。


 亜耶。

 早く気付いてくれよ。

 俺の想いを・・・。


「は・・・るか・・・さん・・・」

 亜耶の声が、耳に届く。

 夢に俺が出てきてるのか?

 一体、何の夢を見てるんだか・・・。


 俺は、鞠山家の玄関を開けて中に入る。



「まぁ、遥さん。重たかったんじゃありません?」

 亜耶の母親が、リビングから出てきた。

「いいえ、大丈夫です。これぐらい・・・」

 俺は、亜耶の靴を脱がして、玄関にあがる。。

「このまま、亜耶の部屋まで運んじゃいますね」

 俺は、亜耶を背負ったまま部屋に向かう。

「お願いします」

 俺は、階段を昇り亜耶の部屋に入ると、ベットの上に亜耶を寝かす。

 荷物は、机の上に置いた。

 

 その荷物の中にプレゼントが三つあった。

 一つは、雅斗のであろう。

 もう一つは、悠磨あいつのか?

 だとしたら、これは?

 俺は、その一つを手にして包装をとく。

 ちゃんとした箱に入っていたのは、マフラーだった。

 これ、どう見ても俺のだよなぁ。

 そう思いながら、自分の首に巻き部屋に置いてある、ドレッサーに目をやる。

 やっぱり、俺のだ。

 確信持てた。

 亜耶が、俺のために選んでくれたんだ。

 それだけで、嬉しかった。


 あっ。

 俺も、本当は、直接手渡したかったんだが、仕方ないか・・・。

 鞄から、包装されたプレゼントを取り出し机に置いた。

 今日、渡せるとは、思わなかったけど。

 亜耶、気付いてくれるかな。


 そう思いながら、俺は亜耶が寝てるベッドに近寄る。

 邪魔な前髪を払い除け、額に口付けた。

「お休み、亜耶。いい夢を・・・」

 俺は、そう言って亜耶の部屋を出る。

 ちょうど、雅斗も部屋から出てきた。

「ありがとな、遥」

「何が?俺は、俺がしたいようにしただけ・・・。お礼が言いたいのは、俺の方だ」

 って、雅斗に言う。

「どうせ、亜耶の事だから、半分落ちてただろ」

 雅斗が、苦笑してる。

「ああ。あんな顔、あいつに見せられないしな。早めに行ってよかった」

 まだ、完全に落ちてなかったことに感謝だ。

「遥さん。今日は、もう遅いですし、泊まっててください」

 お義母さんが言ってきた。

「気を使ってもらって、ありがたいんですが、明日も朝早くから仕事なので、帰ります」

 俺は、接待の途中で抜け出してるから、明日は、その埋め合わせをしないと・・・。

「そうですか・・・。体だけは、気を付けてくださいよ」

 逆に心配される。

「ありがとうございます」

 俺は、玄関に向かう。

「雅斗。亜耶にマフラーありがとうって言っておいて」

 玄関まで送ってくれた雅斗に言う。

「ああ。どうせなら、直接言ったらどうだ」

 雅斗が、何を思ったのか知らないが、そう言い出した。

「明日の夕方六時半に駅で待ち合わせな」

 突然、言う。

「何だそれ。俺の都合は、お構い無しなのか?」

 不貞腐れるように言うと。

「そうだよ。お前、無理にでも約束しないとこないだろ?」

 あ、はは・・・。

 長い付き合いだからか俺の性格は、把握されてるし・・・。

「わかったよ」

 渋々了承する。

「メンバーは、俺と由華と亜耶とお前だからな」

 沢口が来るのか・・・。

「わかった。じゃあな、お休み」

 俺は、そのまま家に帰った。





 翌朝。

 雅斗から写メが届いた。

 そこには、俺がプレゼントしたチョーカーを身に付けた亜耶の笑顔の写真。

 亜耶、気付いてくれたんだ。


 “亜耶、嬉しそうに着けてたぞ

 雅斗“



 雅斗からの一言が、添えられてた。

 俺は、その写メを待ち受けに設定して、疲れた時に見ようと思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ