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プレゼント

 翌日の朝。


 目が覚めたら、自分のベッドの上だった。

 あれ?

 いつ、帰ってきたんだろう?

 とりあえず、着替えなきゃ。

 私はベッドから飛び起きて、服を着替える。


 ふと机を見ると、そこには鞄の横に紙袋が置いてあった。

 遥さんに渡すはずのプレゼントがなくなっていた。

 その代わり、見慣れぬ包みが置いてある。

 私は、それを手にして、丁寧に包装紙を開けた。

 そして、中にあった箱を開ける。

 そこには、バラをモチーフにしたチョーカーが入ってた。


 エッ・・・。

 これは一体・・・。

 誰から・・・。

 不思議に思いながら、それを身に付けて部屋を出た。


「おはよう、亜耶」

 部屋から出るとお兄ちゃんとでくわした。

「お兄ちゃん、おはよう」

「それ・・・」

 お兄ちゃんが、私がしてるチョーカを指差す。

 私が不思議そうに思ってると。

「よかったな、亜耶」

 って、ニコニコ笑いながら言う。

 エッ・・・。

「それ、遥からだろ」

 遥さん?

 訳がわからず、首を傾げる。

「違うのか?」

 お兄ちゃんが不思議そうに聞いてきた。

「わかんないの。起きたら、机の上にあったから・・・」

 私は、正直に答えた。

「それなら、間違いなく遥からのだ」

 お兄ちゃんに断言されるものの、私はもらった覚えがない。

「覚えてない?昨日の事」

 昨日?

 パーティーをしてて、遥さんが迎えに来てくれた事までは覚えてる。

 それからどうしたんだっけ?

 首を傾げる私に。

「昨日、遥がお前を背負って帰って来たんだよ」

 お兄ちゃんが言う。

 えっ・・・。 

「泊まっていけって行ったんだけどな。今日も、朝から仕事みたいで、お前をベッドに寝かせて、直ぐに帰っていったんだ」

 遥さんが・・・。

「それから、マフラーありがとうって言ってたよ」

 エッ・・・。

 プレゼントに何も印付けてなかったのに、よくわかったなぁ。

「あっ、そうだ。お兄ちゃん、ちょっ待ってて・・・」

 プレゼントの話で思い出し、私は、お兄ちゃんを待たせて部屋に戻る。

 机の上に置いてある紙袋を手にして、部屋を出る。


「これ・・・。一日遅くなったけど・・・」

 お兄ちゃんに差し出す。

「ありがとう」

 お兄ちゃんが笑顔で受け取ってくれる。

「由華さんと使ってね」

「由華と?」

 不思議そうな顔をして、プレゼントを見るから。

「うん。マグカップなんだ」

 中身の事を伝えた。

「ありがと、亜耶。俺からは、これ」

 お兄ちゃんが包みを渡してきた。

「開けてみ」

 お兄ちゃんに促されて、封を開けると薔薇の形をしたバレッタが入っていた。

「由華と一緒に選んだんだ」

 由華さんと・・・。

「ありがとう。大切にするね」

 嬉しくて、そう言葉が出た。

「貸してみ」

 お兄ちゃんに言われて、手渡すとさっと髪をまとめて、それで、留めてくれた。

「よく似合ってるよ」

 お兄ちゃんが、満足そうに笑顔で言う。

 この二つのプレゼント、セットみたいに見えるけど・・・、まさか、示し合わせた訳じゃないよね。

 何て思っていたら。

「遥にも見せてやりたいな。亜耶、ここで待ってて」

 そう言って、お兄ちゃんが部屋に戻って行ったと思ったら、携帯を構える。

「撮るぞ」

 お兄ちゃんが、携帯で撮ったのを。

「遥に、写メしとくな」

 って、遥さんにメールし出す。

「これで、しばらくは、遥も頑張れるだろ」

 ってお兄ちゃんが言う。

 ?

 なんで?

「ほら、朝ご飯食べに行こう」

 お兄ちゃんに背中を押されて下に降りていく。


「おはようございます」

 リビングに入ると挨拶した。

「おはよう、亜耶。今度、遥さんに会ったら、ちゃんとお礼言いなさいよ」

 リビングに入るなりにお母さんに言われた。

「うん。わかってる。それ、さっきお兄ちゃんに聞いたから・・・」

「そう。それより、時間大丈夫なの?」

 お母さんに言われて、時計を見る。

 塾の時間が迫ってる。

「朝御飯食べてる時間無い」

 私が言うと。

「駄目だよ。ちゃんと食べて行かないと頭、働かないよ」

 お兄ちゃんに咎められて、席に着く。

「いただきます」

 二人で手を合わせて、ご飯を食べる。

 私の場合は、かき込んでた。


「亜耶。今日、塾が終わった後、時間ある?」

 お兄ちゃんが、突然聞いてきた。

「あるよ。何かあった?」

「うん。由華がな、四人で食事しよって言ってるんだが、大丈夫か?」

 由華さんが。

「いいよ」

「じゃあ、六時半に駅で待ち合わせな」

「わかった」

 私たちが話してると。

「亜耶。そろそろ出ないと、本当に間に合わないよ」

 お母さんが言う。

 わーっ。

「ごちそうさま」

 自分が使った食器を片付けて、自室に行き、教科書の入った鞄を掴む。

 その横には、渡しそびれたプレゼントがあった。

 これ、悠磨くんにあげようと思って買ったやつ。

 今日、渡せれたら渡そう。

 そう思い、鞄にしまった。


「亜耶。車出してやるから、早くしな」

 お兄ちゃんが、下から言ってきた。

「はーい」

 慌てて部屋を出て、階段を降りると玄関でお兄ちゃんが、待っててくれた。

「ほら、急ぐぞ」

 私は、慌てて靴を履いて玄関を出る。

 お兄ちゃんが、運転席に滑り込んで、私は助手席に座った。

「シートベルトしたか?」

「うん」

「出すぞ」

 そう言ってお兄ちゃんが車を走らせる。


「ねぇ、さっきの四人って?」

 疑問に思って聞いてみた。

「ああ、俺と由華と亜耶、それから遥だよ」

 残りの一人は、遥さんなんだ。

「由華が、亜耶とショッピングしたがってるんだ」

 由華さんが、私と?

「由華、妹が欲しかったみたいなんだよ」

 由華さん、兄弟いなかったけ?

 私の疑問に。

「お兄さんと弟だから、妹は居ないから」

 そうだったんだ。

「だから、妹ができるって、喜んでる」

 由華さんって、思った通りの人なんだ。

「ほら、着いたぞ。時間厳守だからな」

「うん」

「頑張って、勉強してこい」

「はーい。行ってきます」

 そう言って、車を降りて、走って中に入った。




 教室に入って、席に着くと。

「おはよう、亜耶」

 姫依ちゃんと留美が寄ってきた。

「おはよう。昨日はごめんね。途中で帰っちゃって」

 私が、謝ると。

「いいよ。亜耶の意外な一面が見れたから」

 って、二人がニヤついてる。

 ?

 頭の中で、?が飛び交う。

「あれじゃあ、悠磨くん入る隙ないね」

 えーっと。

 私、何かしでかした?

 私が、半分パニックってると。

「おはよう、亜耶」

 後ろから、悠磨くんが声をかけてきた。

「おはよう。悠磨くん。昨日は、ごめんね」

 私が言うと。

「何の事だよ」

 ぶっきらぼうに答える。

 あれ?

 何か、そっけない。

 やっぱり、私、昨日何かしたんだ。

 どうしよう・・・。

「ほら、席に着け。授業、始めるぞ」


 ちょうど、講師が入ってきて、そこで話が途切れた。

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