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パーティー

今回は、悠磨目線です。

 塾が終わり、皆で合流して、その流れでコンビニへ。

「なぁ悠磨。亜耶に何かあげるのか?」

 順一が声をかけてきた。

「一応、準備はしてあるが、渡せるかどうかわからないけど・・・」

 そう言いながら、亜耶を見る。

「そっか・・・。俺達が、時間を作ってやるか・・・」

 義幸と順一が、何やら相談し始めた。

 亜耶が、リーダーらしく振る舞ってる。

 コンビニを出て、順一の家に向かってる途中で。

「ねぇ、その紙袋何?」

 斎藤が、亜耶に聞いていた。

 オレも、気になってたことを聞いてくれるとは・・・。

「えっ、ああ。お兄ちゃんにね」

 って声が聞こえてきた。

 お兄さんに・・・。

 亜耶は、オレの事は考えていないってことなのか?

「亜耶、何してるんだ?」

 オレが、考え込んでると聞き覚えのある声がした。

 オレもその方を向く。

 背広姿の自称、婚約者がいた。

「何って、これから皆でパーティー・・・」

 亜耶の言葉が途中で途切れた。

 顔色も少し、曇ってる。

「パーティー?」

 訝しげな顔を見せる、婚約者。

「大丈夫、直ぐに帰るから・・・」

 亜耶が、そう言ってるのが聞こえてくる。

 亜耶は、途中で帰るつもりなのか?

 それとも、何か理由でもあるのか?

 頭の中で、悶々と考える。

 ・・・が、答えは出るはずもなく。

「亜耶。さっきの人って、この間の?」

「うん。そうだよ」

 亜耶は、顔色を強ばらせたまま答える。

「へぇー。凄い、心配性だね」

「そうかなぁ・・・」

 亜耶が、照れ笑いしてる。

 あんな顔、オレ見た事がない。

 亜耶は、婚約者あいつが好きなのか?




「お邪魔しまーす」

 順一の家に着くと、そのままリビングに雪崩こんだ。

「適当なところに座って」

 順一はそう言いながら、ダイニングに行く。

「相馬くん。何か手伝うよ」

 亜耶が、率先して言う。

「ほんと、助かる」

 順一が、ホッとした顔をする。

「じゃあ、コップと取り皿を運んでもらおうかな」

「OK」

 亜耶は、ダイニングから取り皿とコップをリビングに運んでくる。

「順一。このピザとかチキンって・・・」

 オレが訪ねると。

「ああ。うちの親から。パーティーするなら、これぐらい出してやるって言ってくれたんだよ」

 すまし顔で言う順一。

「いいの?」

 水口が聞いてる。

「いいんだって。両親は、その分外で旨いもん食ってくるっていってたからさ」

 笑って答える順一。

「そっか。じゃあ、コップにジュース淹れるぞ」

 義幸が、場の空気を変えるように言う。

「・・・という事で、悠磨。よろしく」

 順一が振ってきた。

 何が、よろしくだ。

 この場で、何をいえって言うんだよ。

「今日は、受験勉強の息抜きってことで、乾杯」

「乾杯!」

 それぞれのグラスが、重なりあい小さく澄んだ音をたてる。

「ねぇ、亜耶。亜耶って、悠磨くんの事どう思ってるの?」

 斎藤が、亜耶に詰め寄って聞いている。

 オレも、それ知りたい。

 って、その声に聞き耳をたてる。

「そんな事、今聞くの?」

 そんな事とは、ないじゃないか。

「そんな事って・・・」

 水口も、オレと同じことを思ったらしい。

「うーん。何て言えば良いのかなァ・・・」

「どうした悠磨?亜耶の事が気になるのか?」

 義幸が、オレの脇腹を肘で突っついてきた。

「まぁな・・・」

 気にならないわけないだろ。

 中一の時からずっと、思ってたんだから・・・。


「コクらないのか?」

 いつの間にか、順一も横に来ていた。

「コクったよ。だが、流された・・・」

 オレが言うと。

「マジか!」

「それって、亜耶ちゃんに他に好きな奴が居るってことじゃ・・・」

 義幸が、嫌なことを言う。

「オレの事より、お前らはどうなんだよ」

 オレは、二人に詰め寄る。

「俺等は、なぁ」

「おうよ。上手くいったに決まってるじゃん」

 二人は、ニタニタ笑いながらお互いを見会う。

 一体、いつの間に・・・。

「義幸。何、男だけでこそこそしてるのよ」

 水口が義幸に言う。

「別に、何でもないよ」

「本当に、順くん」

 斎藤が、順一に聞く。

「うん。たんなる恋話だよ。るうちゃん」

 順一が、斎藤の横に行き肩を抱いてる。

 なんと・・・。

 二人とも、上手くいってるんだ。

 って、オレだけ取り残されてる。



「おい。プレゼント交換しようぜ」

 義幸が言う。

「いいね」

「賛成!」

 各々プレゼントを出す。

「このままプレゼント回すのもあれだな・・・。そうだ。これに一度入れて混ぜて、一人ずつ引いていこうぜ」

 順一が、大袋を指して言う。

「そうだな」

 全員が、袋にプレゼントを入れたのを見て、かき混ぜる。

「じゃあ、順番決めようぜ」

 義幸が、がさごそとくじを作り始めた。

「ほら、一枚づつとれ」

 テーブルの上にそれを置く。

「よっしゃー!俺、一番」

 順一が、大きな声で言う。

「私が二番だね」

 亜耶が、苦笑交じりで言う。

「三番だわ」

 水口が言う。

「俺、四番」

 義幸が、残念そうに言う。

「五番だよ」

 斎藤が、仕方ないって顔をする。

「オレが、最後か・・・」

 まぁ、残り物には福があるって言うし・・・。

「順番が決まったから、引いてくな」

 順一が、袋に手を入れて、プレゼントを引く。

 皆が、順番に引いていく。

 それぞれが、手にして封を開けた。

「何だよ、これ・・・」

「これ、可愛いー」

 次々に声が上がる。

「なぁ、悠磨。亜耶ちゃんにプレゼント渡してこいよ」

 順一が言う。

「だが・・・」

 オレは、亜耶を見た。

 亜耶が、嬉しそうな笑顔の裏に眠たそうな顔が覗いてる。


 ピンポーン。


 こんな時に来客?

 順一を見ると、首を振ってる。知らなそうだ。

「はい」

 インターフォン越しに順一が出る。

『高橋だが、亜耶を迎えに来た』

 高橋って・・・。

 何で、あの人が来るんだ。

 順一も驚いてる。

 そのまま、渋々玄関に向かう。

「どうぞ」

 順一が、招き入れてあいつは、リビングに現れた。

 そのまま亜耶のところに来ると。

「亜耶・・・帰るよ」

 半分寝ていたのだろう。

「遥・・・さん?何で・・・居る・・・の?」

 寝ぼけ眼の亜耶。

 何て、そんな声であいつを呼ぶんだ。

「うん・・・。帰・・・る。遥さん。ありがとう」

 亜耶が、甘えるような声で、あいつに言う。

 いつもと違う亜耶が居る。

 こんなに甘えてる亜耶、見たことがない。

 他の四人も固まってる。

「亜耶。荷物、これだけか?」

「うん・・・」

 二人のやり取りが、まるで恋人どうしに見える。

「じゃあ、帰るぞ。皆に挨拶して・・・」

「ごめんね。先に帰るね。お休み」

 亜耶は、言われた通りに挨拶する。

 あいつの腕にすがるように立つと歩き出す。

「邪魔して悪かったな」

 大人の対応をしながら、亜耶を支えながら出ていく。

 玄関の戸が閉まったのを気に皆が、それぞれ動き出した。

「悠磨。頑張れ」

 二人がオレの肩を叩いた。

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[一言] この時点で遥キモすぎ
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