胸の内
今回は、短いです。
教室に戻ると。
「亜耶、何処に行ってたの?」
梨花ちゃんが、聞いてきた。
「ん。彼のところだよ。一緒に帰れないって、一言言いに行ってきたの」
「あっ、そうか。亜耶、彼居たもんね。ごめんね、急に頼んで」
申し訳なさそうに言う梨花ちゃん。
「大丈夫だよ。私も復習し直さないとって、思ってたしね。教えながらの方が、確認しやすいし…」
教えながら、どう説明したら理解しやすいかって、考えるからかえって頭の中が整理されて、私はいいんだけどね。
「違う違う。せっかく二人でイチャラブ出来る時間を奪っちゃって、ごめんって事なんだけど…」
イチャラブ…って…。
えっ…あっ、そっちなのね。
戸惑って、返事を返すことが出来ずにいる私を不思議そうに見てくる。
「そっちも、大丈夫だよ」
苦笑を浮かべながら答えた。
「本当に?」
「うん」
梨花ちゃんには、本当の事を伝えたいけど、今はまだ言える状態じゃない。
それに、悠磨くんと一緒に居てもイチャラブって雰囲気にはなったことがない。
どちらかと言えば、遥さんとの方が多いと思う。
遥さんとのジャレアイって、気付いたら周囲が呆れるほど赤面してるんだよね。私も、ふとした瞬間に赤面してる時があるし…。
「亜耶。やっぱり、何か悩みごとがあるんじゃないの?話した方が、スッキリすると思うよ」
梨花ちゃんの鋭い指摘。
「今は、まだ言えない。ちゃんと決着が着いたら言うね」
そう伝えるしかなかった。
悠磨くんとの関係が崩れることに、恐れている自分がいる。
「そっか。まぁ、何かあったら話してね。私たち親友でしょ?」
梨花ちゃんの目が、寂しそうにしてる。
そんな目で見ないで欲しいな、口にしてしまいそうだよ。
「うん。ありがとう、梨花ちゃん」
私は、ニッコリと口許を上げて、そう告げた。
この後と、全て打ち明けることになるとは、この時は思わなかった。