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プロローグ

「あーやー!!」

バン!!

部屋のドアが勢いよく開いた。

そして、背後から抱きすくめられる。

あ~、鬱陶しいヒトが来た。

毎度の事ながら、こうも鬱陶しい存在は居ないいと思う(私に対してだけなのだろうか?)。

って言うか、大の大人が女の子の部屋にノックも無しに入ってくるのってどうなの?

「ちょっと、いきなり何するんですか!」

私は、前に廻ってる腕を無理矢理ほどき、目を吊り上げて振り返る。

「亜耶、遊ぼ。」

満面な笑みを浮かべて言う、目の前の男性。

ハァ~~。

盛大な溜め息を吐いき、少しだけ怒りが軟化する私。だってね、満面な笑みで言われたら、気が抜けるでしょうよ。

それでも、いきなり来て遊ぼって……一体全体どういう思考してるんだか(半分呆れてしまう)。

しかも人の予定は、気にしないって……。

自分ありきだよ。

「亜耶くらいの年の子は、もっと遊ばないとね。」

って、ウインクしてくる(イケメンのウインクは脱帽しそうだけど……)。

しかし、彼の中では一体私は幾つなんだろうね。

「だから……。」

私が考え込んでいる内に手を引っ張って部屋から連れ出そうとしだす。

「ちょっと、待ってください。私、これでも受験生なんです! 明日から期末テストが始まるんです。遊んでる暇なんてないんですってば!」

と足を踏ん張り抵抗するが。

「え~。別に受験なんかしなくても、俺のところに嫁に来ればいいじゃん」

って、真顔で言ってくる。

今時中卒でお嫁さんも無いでしょうが。

「だ・か・ら! 何でそうなるんですか?」

声を荒げて言う私に対して、冷静に彼が。

「だって、亜耶は俺のフィアンセ……。」

言葉を言い切る前に思いっきり顎に拳を叩き込んだ。

だって、認めたくないんだもの。

この年で、フィアンセがいるなんて……。


誰にも言えないよ。




約八年前の夏休み前の事。

私は、未だ小学校一年生だった。

何時もは、帰りの遅いお兄ちゃんが珍しく早く帰ってきた。理由なんてその時は、何も知らなかった。

私は、ただお兄ちゃんに遊んでもらおうとお兄ちゃんの部屋のドアを勢いよく開けて。

「遊んで、お兄ちゃん。」

と言おうとしたら、知らない人達が、五・六人居て、戸口で固まってしまったのだ。

あっ、どうしよう。

お兄ちゃんに迷惑かけちゃう……。

どうしたらいいのかわからず、オロオロしてると。

「何? 雅斗の妹? 可愛いじゃん」

って、声は聞こえてくるものの誰が言ったかなんて、わかりもしない。この時は、動揺しまくってて何も入ってこなかったんだ。

「名前、何て言うの?」

問われても答えられず右往左往して居る私に。

「亜耶。後で遊んでやるから、向こうで待っててくれな。」

お兄ちゃんが優しい声音で言うからコクリと素直に頷くと、戸を閉めてリビングに戻ったんだけど。

何時も優しく微笑んでる姿しか見てなかったから、真顔で眼鏡をかけた姿のお兄ちゃんが珍しかった。

その場に彼が居たんだ。

この時から、彼が執拗にまとわりつくようになった。



毎日のように家に来て、声をかけてくるは、学校の行事(運動会・学芸会)には必ず顔を出してくる。

運動会の時は、大きな声で応援してくるから、恥ずかしくて仕方がなかった。

だから。

「あの人、学校に来ないように言ってくれる、お兄ちゃん。」

と頼むぐらいだ。

中学に上がってもそれは変わりなくて、部活の試合にまで顔を出す始末。

メチャ格好いい部類に入るから、何時も注目を浴び てしまう。だから、先輩にまで紹介しろと言われること数十回。

まあ、お兄ちゃんには劣るけどね。

で、気が付けば、家の両親を丸め込んでて婚約者になってたんだよね。

お兄ちゃんは、苦笑してるし……。

何で、こんな取り柄もない私なんだろう?

もっと相応しい女性ひと居ると思うんだけどなぁ。

私も、年相応のひととお付き合いしたいよ。


あー、もう本当に頭痛い……。





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