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どMをご褒美で釣ろうとしたら?

 吹き飛ばされた勢いも含めて。間園が悦んでいる。

「気持ちいい(いたくない)! やっぱり夢かも!?」

 微妙に間園も美久がしそうにない事をしてくれたから混乱しているようである。

「ユナの場合、気持ちよく感じるなら現実だから」

 普通の人なら痛さで手でぶつかった箇所を抑える強さで押しのけたので、間園に快感を覚えるくらいなら現実だとツッコんだ。


(どうにか接点は作れたわね……)

 草士と会話してくれるように話がついたので、美久は草士を間園の元に連れてきた。嬉しそうに会話をしてはいるのだが草士だけで――――。

 だけど間園の様子がどこかおかしい。心ここにあらずといった感じでそわそわしているように見えた。


(結奈、なんか落ち着きないような)

 こっそりと結奈の背後に行って、美久が彼女の服を軽くひっぱって気付かせた上で小声でささやく。

「結奈。約束! 牛原くんと仲良くしてよ」

「え……うん」

「?」

 

 草士には、美久が間園に何を言ったのかわからなかった。

「うん……わかってはいるのよ。でもご褒美のことを考えちゃって集中できないの」

 間園がつい思考がそっちにいってしまうと告白してくる。

「やっぱり前払いにしてくれない? その方がしっかり出来ると思う――」


 すでにお願いしている頃から間園が快感を求める表情をしていた。美久は今、そんな事をする気がないのに彼女におさえられてされるがままになっている。

「だからお願い。今、気持ちいいのちょうだい」

「ちょっ、何を言ってんのよ! それよりその顔で近づいて来ないでちょうだい」

 美久の動きを抑制するために、間園が彼女の腰に手をやるその仕草は(しかも妄想で恍惚こうこつしているような表情なので)勘違いされて当然状態だ。


「もうっ、離れてよね。こんなの見た人がいたらまた変なウワサを広めちゃうでしょ」

 ここで美久は近くからの視線を感じた。

「ぐわあっ」

 そういえば草士が一番思い込んでもおかしくない位置にいたし、後にどうごまかそうかと困る。

「……この状況ってどういうことなんスか。デマを信じなくていいって言ったくせに……」

 迷惑な間園の行為を利き手で止めならがも、草士から顔をはなせない。涙を流し始めてしまった草士に訴えかけられてしまった。




 最終話の予定は金曜日です(予約投稿)

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