こいつが悦ぶ失言を、やばっ!
(上手くいかないどころか、サイテーとか言われてめげそう……)
心にダメージを負った美久がげっそりしていた。
「美久……そこの彼はどちら様?」
間園が牛原のことを尋ねてくれたので、少しでも脈があるかなと思って聞き返す。
「え!? 牛原のこと……興味を持ってくれたの?」
まだ希望が持てるかなと、少し美久の表情が明るくなる。
「うん」
肯定してくれたはずの間園の声が重かった。
「悪人との戦い、美久のつっこみさえも持って行こうとする嫌な男……」
何なのあいつは? 途方もないくらい邪魔なことをしてくれたし。そんなやつが私に声をかけるんじゃないわよって感じで牛原にかなり悪印象を持ってしまっているようである。
「牛原くん、殴っちゃってゴメンね!!」
潤んだ瞳から涙が流れている事も気にせず、美久が謝罪した。
「謝るの遅くないスかね?」
どうしても間園と草士をくっつけたい美久は、草士のことをすすめる。
「無理とか言わないで。仲良くしてあげようよ」
だが、間園は消極的だ。
「あり得ない。こいつがいたら快感の機会をほぼ全て取ってきそうじゃない」
間園の気を引くために美久が大声を発した。
「あー、もう。それなら」
一度言葉を止める美久。その後でとりあえず間園が喜ぶことを告げておけば話を聞く気になるでしょと余計なことまで口走ってしまう。
「足りなかったら後で私が痛いのをあげるようにする。これで文句ある!?」
間園が両手を広げて笑顔で歓迎の意を表している。
「美久、大好き」
今気付いた美久だったが、後の祭りだった。
(自分の好感度あげちゃったよ。やること違~っ)
間園が素朴な疑問を美久に聞く。いつもならそんな回りくどいことをせず、もう近づくな的なことをお願いしてくるので不思議に思っても仕方がなかった。
「でも美久がそういう約束をしてくれるなんて……」
「私にだって事情があるの」
面倒そうに美久が応える。
「もしや夢! ちょっと叩いてもらえない!?」
当たり前だが美久は断る。
「はぁ!? イヤよ」
美久の肩に手をやって、間園がせまってきた。
「いいでしょいいよねお願い!!」
迷惑なので美久が間園を強めにおしのけた。
「ええぃっ、しつこい!!」
「あぁん」