どMが去ったかと思ったら!?
助けてもらって何だけど、美久はここまでされてもどこか喜んでいる感のある間園に呆れている部分もある。
「だ……大丈夫なの? いつもよりボロボロだけど」
いくら間園とはいえ女性。体にアザや傷が残ったりしないかと心配した。
「やっぱり美久はいいなー。アホな不良どもにからまれてくれて助けがいがある」
間園がとても良い表情で不良を連れてきてくれるのはありがたいとのたまってくる。
「心配してソンした!! 人の苦労で恍惚な表情とか!」
「助けたお礼かしら!?」
心配を無駄にされた美久が木製バットで思いっきり間園を打つ。そんなマネをしたからか、「ああん」とあえいでいた。
「くっ」
快・感という表情をしている間園に、美久は言葉を失う。
(下手なツッコミはこいつを悦ばせるだけだった。今のままじゃ付きまとわれちゃうかも。ここは……)
美久はしっかりと自分の意見を伝えることにした。
「はっきり言わせてもらうけどね」
助けてもらった恩はある。だけどそれとこれとは話が別だ。本気でこれ以上彼女と関わっていたくなかった。自然と本気で迫力のある表情になる。
「あなたみたいなマゾ変態ともう関わらせないで。ということで二度とそんなキモい顔を見たくないってことだから!!」
どうも間園には通用しなかったようだ。
「言葉責めしてくれるの? ありがとう」
「伝わってよ、私の思い!!」
悦んでしまっている。それは間園の瞳から変な輝きが発せられているように見えたからわかった。
「うわああぁ!」
その後でそんなに遠くない場所から、男子生徒と思われる何か不測の事態があったと思われる悲痛な声が聞こえてきた。
「悲鳴!?」
その声のせいで美久の話は中断されてしまったことになる。
「私にとって良いことありそうな声、行こっと」
何かを確信したかのようにどこかウキウキした気分で間園が走り去っていく。
「ちょ……話が終わって……嬉しそうにそっちに行くとかー」
しかも、これ以上関わってほしくないという意見を無視されたかのようでショックを受ける。それでもポジティブな考えを美久は持つことにした。
「……まあいいか。これで一時的にでも解放されるんだから」
美久はどこかから見られている気がして、そちらに目を移す。
「いっ」