雨恋
外は雨、まるであたしの心のようだ
…なんて、ドラマの台詞みたい
あいつの心は今、どうなってるんだろう
あたしと同じで、こんなふうに雨が降ってるかな?
もしそうなら、少し嬉しい
気持ちがすれ違ったから、離れたけれど
離れても心は同じ
…また台詞みたいになっちゃった
でも、そうだったらいいな
もう、あたしを好きじゃなくなっても
あたしと同じように、別れて悲しいって
そう、思ってくれてたら…
はぁ、雨やまないなぁ。あたし、傘持ってないんだけど
あいつが突然言い出した。傘は持たなくていいって
雨の日は、一緒に学校に行って、一緒に帰ればいいからって
2人でひとつの傘させば、一緒にいる時間も増えるって
今考えたら、あたしってバカだな
それを聞いて、別れるなんて考えなくなってた
ずっと一緒なんだって…疑わなくなっていた
でも、好きだったから。信じたいって、素直に思ったから
ほんと、バカだなぁ
さて、この状況どうするかな
外は雨、あたしは傘なし。バス停までは歩いて10分ほど
…気合でなんとかなるかな?なんて考えながら、教室を出た
昇降口をでて、さらに気分が落ちた
外に出てみたら、雨は思った以上に降っていた
…これは、まずいかな
そんなこと考えながら立ち尽くしていると、後ろから聞き慣れた声が聞こえた
振り向くと、あいつがいた
…あたしがいつもいた隣には、知らない子
それを見て、全部わかってしまった
こいつの心は今、あたしと同じじゃない
雨が降ってるのは、あたしだけなんだ
お前、傘もってない…よね?
うん、まぁね。ま、バス停まで走るよ
いや、結構雨強いし…この傘使うか?
…やめて
いやいや、そしたらあんた濡れちゃうし!それに隣の子も…
いや、大丈夫。こいつの傘…2人で使うから…さ。だから、使っていいよ
そっか…じゃあお言葉に甘えて使わせてもらおうかな。ありがと!
うん…これさ、その…返さなくていいから
…うん、わかった。それじゃ2人も気をつけてね、バイバイ!
うん、また明日な
あたしはその傘をさして、歩きはじめた
…ほんとバカだ、あたしは
勝手に気持ちが同じとか思って。そんなわけ、ないじゃん
ただ現実を受け入れるの、避けてただけじゃん
この傘だってもう…特別なんかじゃないじゃん
傘をたたんで、全身に雨を受けた
頬をつたう雨につられて、涙が出た
…またドラマの台詞みたいに、なっちゃった
でも、これはドラマじゃないよね
あたしが思う、理想の展開なんてない
あいつが傘を持って来てくれるなんてない
もう一度やり直そうとか、言ったりしない
狙ったように雨が止むことなんて…ない
降り続く雨が、教えてくれる
もう、あの頃には戻れないと
ありがとうございました




