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第5話 ○月○日 海水浴!

  奥さんが、二人目を妊娠しました!超嬉しい(*∩∀∩*)

  今回は前と違って、つわりもなくとても順調。

  今日は父、母、妹、奥さんと凪とみんな総出で海水浴。

  凪、可愛い水着を着て、一緒に海で泳ぎました(^ω^)

  将来は一緒に、海に潜りたいな。それが夢です(*´ω`*)


  

「あ、今日もまた、いっぱいコメントが来てる」

 夜、お風呂から上がり、聖君はパソコンを開いた。

「あ、本当だ」

 お父さんもそれを、横から覗き込んだ。


「聖、お弁当載せたんだ」

「うん。ゴールデンウイークに、桃子ちゃんのお父さんやお母さんとピクニックに行ったとき、作っていったお弁当あったじゃん。あれも、ブログに載せたら、すごい反響で」

「そうだったね。そのうち、聖の本の第2弾、幼児のお弁当なんていうのも、出版することになるんじゃないの?」

「え?それも楽しそう。そっか~~。幼稚園に入ったら、俺、毎日お弁当頑張っちゃおうかなあ」


 え?聖君が?

「楽しいよね、お弁当作るのって」

 そう言って聖君、にやけてる。

 わ~。私の夢が…。


 そうなんだよね。ピクニックとか、海水浴、私もお弁当作るのを手伝っているけど、ほとんど聖君が作っちゃうの。何しろ、朝、6時起きで作っちゃうんだもん。私が起きだした時にはほとんどできていて、私はそれをお弁当箱につめる手伝いをしているだけで…。


 結婚する前は、いっぱいのお弁当を私が作って、家族で動物園とかに行って、

「わあ、桃子ちゃんのお弁当美味しい」

なんて聖君が言って、子供達と喜んで食べるって、そんなのが夢だったのになあ。とことん、結婚前に妄想していたことが、叶わなくなっていっている。


 海では、凪を赤ちゃん用の浮き輪に乗せて、聖君とお父さんが凪を連れて泳ぎに行っていた。杏樹ちゃんはやすくんとずっと一緒に泳いでいた。


 私はお母さんと、パラソルの下にいた。お母さんも泳ぎは不得意らしく、あまり浜辺に来ることもないらしい。

「桃子ちゃん、つわり、本当に大丈夫なの?」

「はい。今回はそんなでもないんですよねえ」

「でもまだ、3ヶ月なんだし、あんまり無茶はしないようにね?」

「はい。それはもう、聖君にうるさいくらい監視されてるし」


「あはは。そうよねえ。ちょっとでも重いもの持ってると、怒ってるもんねえ。ほんと、聖は過保護よね」

「そうなんですよね。凪を妊娠した時もそうでしたけど」

「洗濯物干すのも、今、ほとんど聖がやってるんでしょ?」

「はい。伸びをするのも、重いものを持って2階にあがるのもしちゃダメだって」


「くすくす」

「凪も聖君の隣にいて、なんか手伝ってるんですよ。私が見る限りだと、邪魔しているようにしか見えないんですけど、凪は手伝ってる気まんまんみたいで、とっても嬉しそうなんです」

「目に浮かぶわ。聖もどうせ、にやけまくってるんでしょ?」

「はい。凪、お手伝いとっても上手~~って言って、褒めまくってます」


「あはは。本当に親バカよね。でも、褒めると育つって言うし。ああ、だから、お風呂でもタオルを洗ってみたり、パンパン叩いてみたりしてたのね、凪ちゃん」

「そうなんです。洗濯している気でいるんです。お父さんとお母さんと一緒にお風呂入っても、してますか?凪」

「してる、してる。爽太がそれ見て、可愛いねえ、上手だねえって褒めまくってる。爽太もジジばかよねえ」


 お母さんとそんな話をして盛り上がった。

 そんなことをしていると、聖君とお父さんが、凪を連れて戻ってきた。

「凪、全然海を怖がらないんだ」

「こりゃ、すごいスイマーになるかもな」


「父さん、凪とはスキューバするんだからさ」

「そうだな!早くみんなで潜りに行きたいな」

 そんな会話を繰り広げながら、お父さんと聖君はシートに座った。


 凪は、私に抱きついてきて、私の膝の上に座った。

「凪、疲れたの?」

「ジュー」

「ああ、喉が渇いたの?ジュース飲む?」


 凪は、幼児用のポカリを飲んだ。

「凪、お腹すいた?早いけど、お弁当にしようか」

「まんま?」

「そう、まんま」


 凪はめちゃくちゃ嬉しそうな顔をした。本当に凪は食べるのが好きだよねえ。

 そして、お弁当を広げて、みんなで食べる前に、まず、聖君が写真を撮った。それを今日のブログに載せたのだ。


 凪のお弁当は、めちゃくちゃ可愛い。おにぎりも小さくて、クマやウサギさんになっている。それからタコさんウインナー、卵焼き。全部、聖君が作った。

 それから大人用のお弁当は、唐揚げ、一口ハンバーグ、コロッケ、ポテトサラダや、果物、おにぎりもいろんな種類が並んでいる。


 でも、今日は私も頑張った。ポテトサラダと唐揚げは私。あと、サンドイッチも並んでいるけど、それは杏樹ちゃんの手作り。やすくんのために頑張っていた。

 コロッケはお母さん、ハンバーグは聖君、おにぎりは、聖君とお父さん。とまあ、みんな揃って作り上げたお弁当。さすがは、れいんどろっぷすのお弁当って感じ。


「弁当って楽しいよなあ」

 まだ、聖君が言ってる。

「れいんどろっぷすでも、出す?」

 聖君がお母さんに聞いた。でも、すぐさま断られた。


「でも、まじですごいですよね。お弁当が豪華って、すげえ嬉しいっす」

 やすくんは、めちゃくちゃ嬉しそうだ。

「サンドイッチは?」

 杏樹ちゃんが聞いた。

「超ウマイ!」

 やすくんが、嬉しそうにそう言った。


 杏樹ちゃんが、顔を赤らめて喜んでいる。この二人も、いつまでも初々しくって可愛いカップルだ。

「そういえば、やす。お前推薦で行けそうなの?専門学校」

「ああ、はい。だから、バイト大丈夫ですよ、シフト増えても」


「悪いわねえ。いきなり、絵梨ちゃん、辞めちゃったから」

「彼氏できたんでしたっけ?でも、それでれいんどろっぷす辞めちゃうっていうのも、びっくりっすよね」

 やすくんが、お母さんに聞いた。


「聖目当てで働いていたからなあ。でも、桃子ちゃんに二人目ができて、いい加減諦める気になったんじゃないの?すぐに彼氏作っちゃったし」

 お父さんがそう言って、ハンバーグを食べようとしたら、凪に手を掴まれていた。

「凪ちゃん、ハンバーグ食べたいの?」

「は~い」


「じゃ、小さく切ってあげるから待っててね?」

 凪は、口をあんぐりと開けたまま、待っている。ほんと、食いしん坊だよなあ。ずっとお腹ぽっこりのままだし、太っちゃったりしないかしら。


「はい、凪ちゃん」

「あ~~ん、モグモグ」

「美味しい?」

 凪はにっこりとしながら、うなづいた。


 凪の両隣は、聖君とお父さん。お弁当を広げだしたら、私の膝からすぐに降りて、二人の間に行ってしまった。ちょこんと二人の間に座っている。

「パ~~パ」

 今度は、聖君の手元にあった果物を指差した。


「あれ?もうデザート?って、凪のお弁当空っぽだね。じゃ、デザート行きますか?」

「は~~い」

 凪は嬉しそうだ。そして、果物を口に入れると嬉しそうに聖君を見て、聖君の膝に抱きついている。


「よだれ垂らすなよ、パパの膝に」

 なんて言いながら、聖君はにやけている。

 ああ、最近聖君の膝は、凪専用になっているなあ。


「でも、夏休みでもっとお客も増えるし、もう一人バイトの子入れたいわねえ」

 お母さんがそう言いながら、おにぎりを食べた。

「そうだな。誰かいないかな」

「麦ちゃんに頼んだけど、桐太の店手伝うって言ってたしなあ」


「あ、桐太君、お店任されたんだって?店長でしょ?」

「うん。店長がもう1店舗店を出したから、今までの店は桐太が任されたんだよね。あいつ、すげえ頑張ってるよ」

「だから、麦ちゃん、手伝ってるのか」


 お父さんがそう聞くと、聖君は、

「そのまま、結婚して一緒にあの店やっていくんじゃないかなあ。そんな雰囲気だよね」

とニコニコしながら答えた。


「募集しようかしら、バイトの子」

 それは心配だ。聖君目当てでまたやってきたりしないかなあ。

「でも、俺も大学夏休みだし、昼間も店出れるんだから、なんとかならない?」

「だけど、桃子ちゃんが手伝えなくなるでしょ?」


「あ、私ならつわりもないし、全然大丈夫です」

「そう?じゃあ、どうにかなるかしら。土日の昼間は、桜ちゃんが出るって言ってるし」

「桜ちゃん、家にいても暇だって言ってたもんね。旦那さん、水曜休みだっけ?」

 聖君が聞いた。


「そうそう。旦那さんも、サービス業してるからね。平日の昼間も、忙しかったら呼んでくださいって、桜ちゃん言ってたから、どうにかなるかな」

「桜ちゃんは、赤ちゃん、どうなのかな」

 お父さんが、そうお母さんに聞くと、

「欲しいみたいだけどね」

とお母さんがそう答えた。


 そう。桜さんは、今年の春に結婚した。ずっと同棲していた彼氏と。彼氏が定職に着き、ようやく結婚をする気になったらしい。

 それまで、桜さんはれいんどろっぷすと他の仕事をかけもちでしていた。どっちかっていうと、れいんどろっぷすが副業だった。

 でも、結婚してもう一つの仕事を辞めたので、けっこう暇らしい。


「私も部活ないとき、店手伝えるよ」

 杏樹ちゃんがそう言った。

「ああ、杏樹の場合は、やすのシフトの日だけだろ?」

 聖君がそう言うと、杏樹ちゃんは真っ赤になり、

「そ、そんなことないもん」

と頬を膨らませた。


 杏樹ちゃんは、今年高校2年。165センチにまで伸びた背と、スラッとした長い脚、それから伸ばしだした綺麗なストレートの髪、日に焼けた肌、それが全部魅力的な女の子になった。

 体はスレンダーだ。それが杏樹ちゃんにとっての悩みらしいが、そこがとってもかっこよくって、どうやら学校でもモテているらしい。


 それに明るく、気もきくし、目鼻立ちもはっきりとしていて美人さんだし、モテないわけがないって感じだ。

 だけど、杏樹ちゃんは、やすくん一筋。


 やすくんも高校3年になり、茶色にしていた髪も黒に戻し、真面目な青年って感じになった。大学に進学はせず、専門学校に行ってパソコンの勉強をしたいらしい。推薦で入れるということで、れいんどろっぷすでのバイトは続けられるとやすくんがそう杏樹ちゃんに言うと、杏樹ちゃんは本当に嬉しそうだった。


 このふたりは、初々しいけど、順調に進展もあるようだ。聖君には内緒にしているけど、杏樹ちゃんはよく私にだけは話してくれる。

 ふたりが結ばれるのも、この夏かも…なんて、私は他人ごとながらドキドキしている。だけど、これは絶対に聖君には言えそうもない。


「パ~~パ」

「ん?」

 食べ終わってみんなでシートに座ってのんびりしていると、凪が聖君の腕を引っ張った。

「泳ぎに行くの?」


 聖君がそう聞くと、凪は首を横に振った。

「遊びたいの?」

 そう聞くと、コクンとうなづいた。


「お砂で遊ぼうか?凪」

「は~~い」

 凪、めちゃくちゃ嬉しそうに、聖君の手を掴んで引っ張っている。

「ちょっと、行ってくるね」

 そう言うと、聖君は凪に引っ張られながら、波打ち際に行ってしまった。


 そして二人で、砂で遊んだり、波で遊んだり。

「きゃ~~~きゃ、きゃっきゃ!」

 凪の高い笑い声が聞こえてくるなあ。


「あの人、カッコよくない?」

「でも、子供連れだよ?」

「妹とか、親戚の子じゃないの?それにしても、超かっこいいよ」

という声が聞こえた。ああ、毎度のことだけど。


「あの、私もちょこっと凪と遊んできます」

 そう言って私は、大きな帽子をかぶって、聖君と凪のところに行った。だって、逆ナンされたら、嫌だもん。

 なんて思いながら近づいていくと、すでに聖君に声をかけている女の子がいた。

 あちゃ。遅かったか~~。


「パパ!パ~~パ!パパ、パパ!」

 凪が、思い切り聖君に抱きついた。

「え?パパ?」

「あ、俺の娘だけど、何か用ですか?」

 聖君は立ち上がって、凪を抱っこして、その女の子にクールに聞いた。


「パパ、ママ!」

 凪が私の方を指出してそう言った。

「え?奥さんですか?」

 女の子も私の方を見た。すると、

「ママ。ママ~~~」

と、凪が思い切り私を呼んだ。


「桃子ちゃんも来たの?大丈夫?炎天下は妊婦にきついよ?」

「妊婦さんですか?」

「あ、お腹に二人目が…」

 聖君がそう言うと、その女の子は青ざめ、苦笑いをしながら去っていった。


 そして、凪は私の方を見て、ドヤ顔…。ああ、そうか。パパから女の子を追っ払ってくれたのね。

「パ~~パ」

 凪は嬉しそうに聖君の首に両腕を回して、ニコニコした。それから私が隣に行くと、

「マ~~マ」

と言って、私をニコニコしながら見た。


「ありがとう、凪」

「え?何?」

 聖君はキョトンとした顔をした。

「今、女の子からパパを守ってくれたよね?」

「へ?」


「追っ払ってくれたんだよね?凪」

「は~~い」

「あ、そっか。それでいきなり、パパパパって言って、抱きついてきたのか。わざとらしく」

「は~~い」


「凪がいてくれたら、パパ、他の女の子に取られないで済むね」

 私がそう言って、聖君にぴったりと寄り添うと、

「あのね、俺、別に他の女の子に取られたりしないから、安心してよ」

と聖君は苦笑いをした。


「ほんと?」

「浮気でもすると思ってる?」

「だって今、聖君、私に手も出せないでしょ?安定期までは…」


「でも、今は凪に夢中だし、他の子なんて目に入らない」

「え?凪に?私のことは?」

「あ、うそうそ。桃子ちゃんにも未だに夢中だよ?メロメロだよ?」

「……」

 そうかな。最近、ほっておかれている気もするけど。


「私、二人目は男の子がいい」

「なんで?」

「女の子だったら、また聖君夢中になって、私のことほっておくもん」

「そんなことしないって」


「男の子だったら、私がその子に夢中になって、メロメロになるの」

「へ?!」

「聖君なんて、ほっておくんだ」

「……浮気しちゃうよ?そんなことしたら」


「…い、いいよ。したかったらしたら?」

 私がちょっとむっとしてそう言うと、聖君は本気で青ざめてしまった。

「う、浮気してもいいの?そんなに、俺のこと、どうでもよくなっちゃうの?」

「…」

 ちょっと何も言わないで、違う方を見ていたら、聖君は私の顔を覗き込んできた。


 あ、嘘。顔まだ青い。それになんだか、オロオロしてる?

「桃子ちゅわん。俺、桃子ちゃんのこと大事にしてるよね?」

「…」


「あ、あれ?桃子ちゃん。俺、桃子ちゃんのこと、愛してるよ?」

 何言い出すの?こんなところで。

 びっくりして聖君を見た。すると、まだ顔が引きつっていた。


「じゃ、浮気するなんて言わないで」

「うん」

「凪だけにメロメロにならないで」

「う、うん」


「聖君?」

 顔、今度はにやけた?

「もう、桃子ちゃん、いじけてただけか。可愛いんだから!」

 そう言って聖君は、片手で凪を抱き、もう片方の手で私の腰に手を回してきた。


 ああ、周り、人がいっぱいいるのにな。こんなところで、ラブラブになっちゃってもなあ。でも、嬉しい。

「もしかして、あの子娘で、あの人奥さんだったりして?」

「え~~?結婚してるってこと?がっかり!」

 そんな声が後ろから聞こえた。


 あ、さっき、聖君を見てかっこいいって言ってた女の子達だ。

 良かった。べったりくっついておいて。


 聖君、これからもモテちゃうのかな。でも、私と凪とでべったりとひっついていようね。他の人に素敵なパパを取られないように。


 夜、凪が寝てから聖君は、私に優しくキスをして抱きしめてきた。

「愛してるからね、奥さん。だから、赤ちゃん生まれても、俺のことも構ってね?」

 もう~~。聖君も可愛いんだから!私もむぎゅって、聖君を抱きしめた。



 


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