光と影
あなたの中にもう一人の人格がいるとしたら…。これは実話です。
「君は誰…」
「俺は俺だ…」
僕は時々記憶がなくなる。僕が僕でない時があるようだ。
僕って一体誰なんだろう…。
僕は普通の高校生で外見も何一つ他の人とかわらない。
ただ、時々他人には性格が変わったように見えるらしい。
二重人格?
わからない…僕って。
ある年の夏の暑い日…僕にとって衝撃的な出逢いがあった。
僕はよくチャットをしていた。
ある夜、行きつけのチャットで僕一人だけの時話した人。
「こんばんは。初めまして。」
チャットならではの初対面で話す光景。
その人のHNはシルク。僕のHNがナイト。
シルクさんは、話題豊富だったため僕が会話に困らなかった。
楽しいひとときはいつのまにか過ぎそろそろ落ちようとした時…。
シルク
「ホムペにきてくださいね。またお話しましょう」
ナイト
「わかりました。」
約束を交わした。
それが全てのはじまりだった。
僕は数日後、教えられたとおり、少し迷ったが、無事シルクさんのホムペにたどり着いた。
ナイト
「こんにちは。もしかしたら先日××ホムペのチャットでお話しましたシルクさんですか?
もし人違いでしたらすみません。」
シルクのホムペ経由のメールにはいってきた。
シルクはすぐに返事をした。
「そうですよ。あの時の私です。本当にきてくださってありがとうございます。」
僕たちはメールをするようになった。
シルクは僕より年上だ。メールをするうちに仲良くなり、何でも話せるようになっていた。
僕は期待をされる長男だったので甘えが許されず生きてきた。だが、唯一甘えられる存在ができた。僕は姉がほしかったのでシルクさんはお姉さんかな…。
僕は学校にいっても休み時間の度に、シルクさんにメールをした。
それが僕がシルクさんに出逢って二学期スタートからの日課となった。
僕はシルクさんの事をお姉ちゃんと呼んだ。シルクさんは僕のことを呼びすてでよんだ。
ここからはシルクさんのことをお姉ちゃんと呼ぼう。それが自然な姿だから。
僕には暗い過去があって…。
夜になると暗闇が寂しさが襲ってくるんだ。
怖くて独りじゃ居られなくなるんだ。
そんなときお姉ちゃんにメールをしてきもちを紛らわせる。
「どうした?眠れない?」
ただ怖いだけ寂しいだけなんだ。
「寂しいです(;_;)」
お姉ちゃんはそんな時、夜中でもメールの相手をしてくれた。
僕は毎晩寂しくなるし過去のトラウマでうなされる。
ある日…
「なんかあったの?私で良かったら話してみて」
僕は今まで口を開くことがなかった過去を話し始めた。
母親が小学生の時、突然家を出ていった事。
そしてお姉ちゃんに僕の中にもう一人居る事を話した。
怖かった。
自分の思い込みと捉えられるかもしれない。僕にとっては真実なのに。
『色々あったんだね。大変だったね。お母さんの事。お母さんにも事情があったのだろうけど、母親として子供を残して出ていってほしくはないよね。どんなに子供にとって母親が必要なのか。お腹からの絆があるから。同じ女としては悲しいよ(T_T)。自分の中に二人いるって私は理解してるよ。
人には二つの人格くらいはあるけれど、はっきり個々の人格になっていて意識ないってこと。私は受け止めるよ。』
僕の中で何かがはじけた。
この人に話してよかった。
話していて数日後、僕の中のもう一人の人格の話になった。
「もう一人の僕を呼ぼうか?ちょっと話し方もちがうし性格だって違うけど」
…
「こんばんは。初めまして…だな。いつもは表の方が姉さんと仲良くしてるようで、俺とはこれが初対面だな。基本的には変わんねぇんだ。話し方が違うみたいだがな。こんな俺だけどよろしくな」僕らはお互い話をすることはできた。
僕はお姉ちゃんと話していると落ち着くんだ。
お姉ちゃんどうして傍にいないの?(;_;)
「姉さん…」
僕と裏人格はお姉ちゃんと心で触れあうことで癒されたんだ。
お姉ちゃんがつらい時 よく夜中にメールがはいってきて
話をきいた。
そんなときに限って裏人格だった。
「…だな。でも安心しな。俺は姉さんの味方だからな。」
『ありがとう(;_;)』
裏人格も姉さんと話すと落ち着く。
「最近俺が俺らしくないんだ…」
『どんな意味で?』
「毎日平和で…喧嘩が当たり前だったのに穏やかで…
俺は闇が好きなんだ」
『平穏が一番いいよ。暗い所がおちつくんだね。司のおちつく場所だね』
(僕の名前は(司)。お姉ちゃんは司とよんでいた。)
裏司は自分の存在の意味をよく考えるのだった。
「姉さん…
俺の存在ってなんなのだろうか…」
『司の中にいて、司自身。消える必要なんてないよ。元から君たちは一人の人なんだから。どちらかがいなかったら司ではなくなってしまうでしょ』
「そうか…」
そんな会話を何度しただろう…。
どれだけ自分がいることでこの世に必要なのか…
あの日から耐えてきた日々の中何度、裏人格で過ごしてきたか。自分が自分らしいのか、どれがほんとの自分なのかを考えれば考えるほどにわからない。
はっきりと二人に分かれてしまっていること以外は。いつか僕の中からどちらかが消えることになるのかな…。
大抵は僕が占めるのだけれど。
記憶のない部分は裏がにぎっている。
その記憶と僕の記憶を合わせないと全ての記憶にならないのかもしれない。
本当の僕は一体どっちだろう。考えれば考えるほどに答えが出せないでいた。
共通していえるのは護りたい存在、お姉ちゃんがいることだけ。
あの日から何年も耐えてきた日々は消えないが、お姉ちゃんと出会ったことで少しずつその傷んだ心が癒えていくだった。
話を聞いてもらううちにあの日々は埋めれないが、これから先の不安を抱えた僕に暖かな光を差し込めてくれた。
裏がいる、暗く深い闇の世界にも やわらかい優しい光が差し込む。
「姉さん…愛してる…。護りぬきてぇ。愛してるぜ…」
何度いっだろう。
俺は喧嘩や世の暗い部分しかみれなかったのに…。姉さんは…姉さんはこんな俺を認めてくれた。
姉さんと生きたい…。
だが俺はきえちまぅ…。
俺はそう遠くもないうちに…。
最近、忙しいせいもあって身体が思うように動かない。
裏でいてもすぐに僕に変わる。
僕の中の俺、俺の中の僕。
姉さんがいってた日がすぐそこにきているのは間もなかった。
ある日
バイト帰りに姉さんと電話で話をした。
rururururu………
カチャ
「姉さん…すまねぇな。こんな俺のために…ありがてぇ。はぁはぁ…」
『体調悪そうだね…ゆっくり休んでよ』
「あぁ…悪りぃな」
これが裏司とはなした 最後の電話になった。
いつかどちらか消えることはわかっていた。それがいつなのかこんなに早くくるとはおもっていなかった。
裏司はわかっていた。もう自分が消えることを。眠りにつくときがそこまできていることを。
だから自分の気持ちを姉さんにだけは伝えたかった。
『姉さん‥‥俺がいなくなっても‥‥俺は姉さんを愛し尽くすから‥‥‥』
これが最後にした会話だった。
姉さんにはわかっていたかもしれない。俺が消えるのを…。
その日は数日後やってきた。
「姉さん今まで姉さんと出逢えてよかった。本当にありがとう。また来世であえたら…な…。」
最後に送られてきた裏司からのメールだった。
それから二度と裏司としては現れることはなかった。
もう消えてどこにもいなくなってしまったのか…。
寂しい…。
裏司…(T_T)。
翌日…
「おはようございます! じゃ…頑張ってくるぜ」
裏司は一人としては現れなくなったけれど、たしかに司の中に居る。
それが時々でる言葉でわかる。
ここに居るんだ…。
あの日から僕の日々は自分が二人にわかれたつらく苦しいものだった。
でもお姉ちゃんという人と出逢えて、生きていてよかったと思えるし、お姉ちゃんと出逢えてなかったら、僕らは一生二人の自分のままだったかも知れない。
僕たちが一人の人格に戻れたのも… お姉ちゃんがいたからだね…。
ありがとう…。
僕はあんな想いをしない為にも、自分は二度と親と同じ過ちを繰り返さないように頑張るよ!
いつまでも見守っているよ…。
嫌な事は自分からは二度と繰り返さないように…。
向かってくる未来に君の中の二人が歩みだお姉ちゃんがいたからだね…。
ありがとう…。
僕はあんな想いをしない為にも、自分は二度と親と同じ過ちを繰り返さないように頑張るよ!
いつまでも見守っているよ…。
嫌な事は自分からは二度と繰り返さないように…。
向かってくる未来に君の中の二人が歩みだすのを見守っているから…。
…end
人は何かのきっかけで無意識の人格が増えることがあることをここに記します。そして元に戻れることも。