#006:一言いわせて貰います
質問シリーズは一寸お休み。
楽しみにしている方ゴメンナサイ。
何気にバラすわけには行かないネタってあるよね?
※2010/11/10修正
―――正直、リアル○のの●姫かとおもいましたよ、最初は。
思い返せば、ポストにニワトリが入っていたり、メタボに仕事の流れを崩されたり、鳩にぶつかられたりと何気に不運が多い月だった。うん。
つい湧き上がる怒りに我を忘れたのが悪かったのよね。
道端の自販機に回し蹴りを叩き込むなんて、どこぞの小説の主人公を真似たのが悪かったのよ。あれは所詮作り物の話だもの、まさか倒れるなんて思わないわよ普通なら。
しかも、妙になまった喋りをするニワトリと遭遇なんてフィクション通り越してエンターテイメント?
どこの世界にそんなのいるんだとツッコミたい方は盛大になさって下さいよ。私だってツッコミたいですが悲しいまでにリアルな現実なんですもん。
そしたら変な光に抱き締められて、落下ですよ。紐無しバンジー目隠し付なんて虐めですかと聞きたいですよ。
気がついたら瓦礫の中に埋まっていて、ザカザカ音がしたと思ったら、いきなり光に照らされて、お日様の匂いのする温かさが、ぽすっという感じでお腹に落ちてきたんですよ。
何だと思ってよく見れば、熊かと思うほどの大きな犬? いや、狼ィ!?
「なっ、なんなのよっ。ニワトリの次は狼なんて!」
何の厄日だと思うでしょ。思うわよ絶対に、御祓いに是が非でも行かねばって。
『まうあっ、逢いたかった。ずっと捜していた。まうあっ』
「まうあまうあって、人違いです。私に狼の知り合いなんかいません。つうかあんたもしゃべるわけ!?」
それとも夢でも見てるのだろうか。だとしたら相当いかれた夢だ。動物が喋るなんてどんな意味があったっけ。更に人違いをしてるし最低だわ。
『まうあっ、名前を呼んでくれ、もう誰も呼んではくれないんだ』
「だから人違いですってば。ってドコ触ってるんですかっ、変態なら余所でやってくださいっ!!」
『まうあっ』
夢ならこの恐ろしいまでのリアルな感触は何だ。私の太腿を抱きしめるかのように挟み込むものは狼の前脚か。
ゴツゴツしてるが温かく柔らかい感触は、まるで誰かの腕のようだ。
青味がかった明るい藍色の体毛は、その見た目に沿わず柔らかだがコシがある。こんな色をした犬なんて見たことも聞いたこともない。
体格も大きいなんてもんじゃないが体つきが犬よりもはるかに野性味があり、しなやかで、昔読んだ本にある狼みたいだった。
襲われてるより、縋られてると感じたのは間違いないだろうが、いかんせん。
私は“まうあ”さんではないのだ。
狼にやましい気持ちは無いからだろう。恥ずかしさは感じても、いやらしさは感じなかったから、セクハラもどきなさわり方はみのがしてあげようぢゃないか。
「君、ちょっと‥」
別方向からの声でもう一人誰かが居るのが分かった。多分このセクハラ狼‥もとい、大きな犬の飼い主と断定!
「貴方、飼い主さん? ちゃんとリードを持ってなきゃ駄目じゃない。こんなに大きいペットにいきなり飛びかかられたら驚くのよ。むやみに飛びついちゃダメって躾なきゃ、社会的に迷惑よ」
ろくに顔も見ずにマナー違反を言い切った私。何しろこの犬ったら私よりもデカい。
何とかデカい身体を押しのけ瓦礫から這い出た私の視界に映る景色に固まった。
―――ここ、どこ?
あれ、確か深夜のコンビニに出かけたのよね?
そんで帰り道の自販機を蹴り飛ばしらしゃべるニワトリに逢って、光の帯に抱き締められて、落っこちて‥まさかもう夜が明けたわけ?
どんだけ気を失って‥はっ! 今何時よ?
「‥飼い主って‥」
悪いけど朝ならもう時間がないわ。ここが何処だか知らないけど薄紫色に染まる空なんてもうすぐ日が昇るって事でしょう。
町田に十時って社長から言付け貰って、遅刻するわけにはいかないのよっ!
身をよじって鞄の中をゴソガサと探して見つけた携帯をみると、23時33分。‥あれ?
『まうあっ、俺を忘れたのか?』
背後から非難の声と共に重圧が加わる。くらぁ、飼い主。サッサとやめさせい!
「だからさっきから違うって言ってるでしょ。あたしはハルカ。人違いだって何度も言ってるでしょ、人の話聞いてないわけ?」
言葉はわかるくせに頑固だなあー。私にこんな大きな犬の知り合いは居ませんってば。
「悪いが君の言葉を理解できるように術をかけたのが先程なんだ。古代ゾロフ語なんてなかなか使われない言語だしね」
―――は、今何て言いました?
私、めちゃめちゃ日本語しゃべってますよね? ってかそれしか喋れないし。頭おかしくないですか?
「俺はクラフィス=ディレード。コイツはヘクサ。見ての通り魔獸だが、訳あって俺と契約しているから心配ない」
―――名前からして日本人じゃないくせに日本語上手いわね〜、魔獸って山犬のこと?
だって犬がデカすぎて見えないんだもん。実は今まででかい犬を押し退けるのに必死で飼い主なんざ無視していたわけ。だって押し潰されかけたのに手も貸さないなんて何なのよ。
必死の格闘の末、ようやく離れた犬にホッとして辺りを見渡せば、少し離れた所に佇む男性がいた。
ゴツそうな黒いブーツに丈夫そうなピッタリとした同色のズボン。後は上に羽織っている上着が少し表現しずらいデザインで、ちょっと不似合いな気がした。
なんていうか、こう。スラム街とかで見かけるチンピラが、近未来的なデザインの白いコートを羽織って登場。という感じで、違和感がビシビシくるんですよ。はい。
しかも随分と身長のあるし、鍛えていそうな肉付きでがっしりとした印象を受けたけど微妙に怖いというか、胡散臭い。
顔が色の濃いサングラスみたいな物で覆われている上に、無精ひげで覆われた姿と声と喋り方から三十路ぐらいだろうと思う。
ボサボサの髪を無造作に結わえた革紐にはチャームか何かだろう、小洒落た石が二つ付いていた。髪の毛はキャメルアッシュ系でも、全然若そうには見えないぞ。
「すまないが幾つか質問していいか? これでも遺跡管理者として不審者の確認は義務になってるから」
―――こいつ、コッチに詫びもなく職務質問する気かよ。
うわ、飼い主が飼い主だもの。ペットが駄目犬になってもしかたないか。ある意味似た者同士って訳ね。
「君は何処から来たんだ? この区域一帯は、第二行政区第三室命令で一時封鎖されているはずなんだ。俺達は巡回調査の一端で此処に来たが、君みたいな女の子が独りで来るような所じゃない」
―――なんだって?
警察か検察にそんな名前の部署があるのだろうか。それともどこかの研究施設の名称かしら。
どっちにしても危ない人に違いはないようだ。ヤダヤダ、ここはさっさと立ち去って関わらないようにするのが一番よね。
「それに君、古代ゾロフ語なんてマニアックだね。そんなに遺跡好きなの?」
ぷつっ、と音が聞こえました。
ほほう、ご自身の行動と発言を棚に上げ、ペットの悪行を咎めもせず、初対面の人物を侮辱しますか。
いくら私が猫被っているからって、最低限のマナーも出来ない髭面男にそこまでバカにされるつもりはないっ!!
「えと、クラフィスさん‥と仰いましたか?」
ここまでは猫を被っててあげますね。
「失礼だと思いますが先に申し上げておきます」
―――躾は最初が肝心なんです。上から目線で見下すなバカやろう!
「質問をしたのはこちらが先です。それを無視した挙げ句に職務質問される訳ですね。それが貴方の礼儀と言うなら、私も言わせて頂きます。先ずは」
―――ペット共々躾教室に行って壱から出直してこい!!
「初対面の相手にいきなり押し倒した上に、人違いしてセクハラするペットを、先ずはハーネスに繋ぐなり、ケージに入れるなりした上でちゃんと叱らなきゃ。躾は飼い主の義務ですよっ!!」
髭面と狼が揃ってきょとんとしている。が、言いたいことはまだあるのよっ。
「それから謝罪して、職務質問なりするのが筋だと思うんですけど、違います?」
違うと言うなら聞いてやるわよ? 大人ですからちゃんと筋通してくれればね。
顔を見合わせた彼等は、素直に謝罪してくれた。
まぁ頭の中は一応大人だったようで、常識は通じてくれてほっとした。
…*…
「じゃあその光に包まれてからの事は全くの不明って訳なんだな」
「そうです、そこのヘクサに押し倒されるまで覚えてません」
話してみれば、幾つか不明な単語が出てくるが、彼クラフィスの言い分も分かる気がする。
仕事で調査にきてたら事故に遭って崩壊した訳よね。必死に脱出したら巻き込まれていた人を見つけて、助けたのが私だって云われてビックリよ。
誰かと違って即座に謝罪しましたよ。セクハラって言ってゴメンって。
そしたら途端にキュルルルッって音をたてたのがヘクサで、聞けば朝から食べずに居たって言うし、彼らの荷物は事故に巻き込まれて無くしたらしくて手持ちゼロ。
私の鞄は幸い潰れてなくて無事だったので、さっき買った朝食用のパンと牛乳をお礼代わりにと彼らに渡した。
犬だか狼だかわからないけど、チョコって犬にあげちゃダメでしょ?
食パンなら問題無いだろうし、一袋を買ったから枚数あるし。牛乳も小分けのパックを買っていたので問題なし。
あっという間に食べ尽くしてしまったから、よほどおなかを空かしていたようだ。
「すまない。助かったよ」
‥今度は礼を言われた。散々飼い主としてのマナーが足りないとぼやいたのが効いたらしい。
ヘクサも食べ終わるなり私の隣りを陣取ると、どっかりと脚を乗せてきた。ここまで嬉しそうにされると何も言えませんってば。
「ハルカは魔獸は怖くないのか?」
クラフィスが何かを向けると、ヘクサは狼から犬に変わった。おおぅ、魔法だ。はじめてみたぞ。
しかしヘクサはヘクサだ。だって全然変わってなんかない。頭をがしがしと撫でてこの笑顔だし。
「ヘクサがって意味ならそうだね。最初は驚いたけど、泣いているような切なさで抱きつかれて、無碍には出来ます?」
こっちがつられて笑ってしまう。うん、いい顔だ。
「しかもあんな澄んだ眼で誰かを傷つけるなんて思えませんよ」
これは本当。そう思う。
魔獸って云われてもピンとこないせいかもしれない、最初ヘクサがすごくキレイに見えたんだよね。
澄んだ眼をした綺麗な迷子―――しかも大きな体なのに、小さな子供みたいにまっすぐに私にむかってきた。
彼のホントの本気がわかった気がするから、私もホントの本気で向かい合う。
ただ、それだけのコト。
『ま‥、ハルカ』
「何?」
またまうあって言いかけたな?
『お前はまうあではないと言った。だがお前の気配はまうあそのものだ。それはなぜだ』
「私は私だよ。生まれてから27年、私は私だったから判らないよ。そもそもまうあって何?」
「にっ、27?」
―――なぜ驚く髭面よ。まさかおまえも小学生と言うつもりか?
「クラフィスさん、それどーいう意味です?」
答えによっては怒るぞ私は。
「‥まさか、俺より年上?」
―――ちょっとまて、そのなりで年下かい?
私、かなりショックです。
うん、ショックだろうね(笑)
因みに2010/10/25現在のユニーク200pt越えてました。
‥‥‥間違いでしょう?
前話upした日のアクセス190越え
‥‥過去最高数!? うそっ!
up後の面接落ちた。
‥‥‥過去最速‥‥‥。
うん、楽ありゃ苦もあるさ。