第1幕 初めの街
二人用 フリー台本
配信・声劇などでお使いください。
※自作発言・二次創作はおやめ下さい。
不思議な双子と謎の国
-初めの街 編-
ルナ:お嬢様言葉を使う平民の女の子。
口調が強く、気も強い、たまに毒舌。
「幼いからと人を見下すなんて最低なゴミ屑野郎ですわね」
ソル:眉目秀麗な元貴族の男の子。
口調は弱々しい、朗らかで大人しめ、勘が鋭い。
「それはルナの大切な物だから返して」
-古い時計の前に座るルナとソル-
ルナ:チク…タク…チク…タク…
ソル:チク…タク……カチッ…
ルナ:ボーーーン
※同時なら2回言う
ソル:ボーーーン
(0時を知らせる金が鳴る)
ルナ
「開きますわよソル」
ソル
「う、うん。開くねルナ」
(突如現れた扉がゆっくりと開く)
間
ルナ:不思議な双子と
ソル:謎の国
間
-森の中-
ルナ
「有り得ないですわ…
どうして森の中なんですの!?」
ソル
「ルナ、大丈夫?」
ルナ
「ムッ!…だ、大丈夫に決まってますわ!
さっ!行きますわよ!ソル!」
ソル
「ま、待ってルナ…」
ルナ
「何をモタモタしていますの?
森を侮っては行けませんわ!」
ソル
「うん…でも、僕…向こうの方に行きたい」
ルナ
「何を言っていますの?
そっちに道はありませんわよ?」
ソル
「うん…」
ルナ
「…分かりましたわ
少々暗くて歩きにくそうですわね?
ソル、手を繋いでくださる?」
ソル
「うんっ
森を抜けるまでちゃんと握っててね」
ルナ
「もちろんですわ」
間
ソル
「あ」
ルナ
「な!なんですの!?」
ソル
「え?…
あそこの花、すごく綺麗だけど土が乾いてて周りには草一つないから毒花かなって思って…」
ルナ
「・・・そ!そのようですわね!」
(再び歩き出す)
間
ソル
「お」
ルナ
「キャアッ!」
ソル
「…ル、ルナ?」
ルナ
「・・・ちょっ、ちょちょちょちょ、ちょっとつまづいただけですわ!」
ソル
「そう?大丈夫?」
ルナ
「こ、このくらいなんてことないわですわよ!」
ソル
「う、うん…?
(見たことないくらい大きい何かがこっち見てる事は言わないようにしよう…)」
ルナ
「それにしても、全く外の景色が見えませんわね」
ソル
「うん…木が大きいから今がお昼か夜かも分からないね」
ルナ
「うぅ…っ」
ソル
「どうしたのルナ?」
ルナ
「夜なら森の中がこんな風に明るく見えているのはどうしてですのよ…」
ソル
「あ、あー…それはあの光る苔?のお陰じゃないかな?」
ルナ
「・・・…っ!そ!そんな事は分かっていましたわ!
ソルは少し静かにしていて下さる!」
ソル
「うっ…ごめん…」
ルナ
「・・・やっぱり…何か話してほしいですわ」
ソル
「それじゃあ、不思議な扉の物語りはどう?」
間
-森の外-
間
ルナ
「森を抜ける事ができましたわね」
ソル
「うん…ルナ、怪我してない?」
ルナ
「平気ですわ
それよりもお腹がすきましたわ」
ソル
「あ、街があるよ」
ルナ
「ええ、そこで食事に致しましょう」
間
-街の中-
間
ソル
「わぁ〜、賑やかな街だね?」
ルナ
「そうですわね?…早く行きますわよ。人が多くて酔ってしまいますもの」
ソル
「そ、そうだね」
間
(暫く街中を歩く二人)
間
ルナ
「おかしいですわね…」
ソル
「ルナも気付いた?」
ルナ
「えぇ…ここまで歩きましたのに…
食べ物が一つも売られていませんわ」
ソル
「うん…レストランもないみたい」
ルナ
「仕方ないですわね…誰かに聞いてみましょう」
ソル
「ま、待ってルナ…!」
ルナ
「またですの?」
ソル
「ルナ、一度街を出よう」
ルナ
「もう、なんですの?流石に我儘が過ぎますわ…」
ソル
「そ、そうだよね…ごめんねルナ」
ルナ
「ンンー…仕方ないですわね…そうですわ!
私がこの街の謎を解き明かす探偵になって見せますわ!」
ソル
「え?」
ルナ
「さ!行きますわよ〜!」
(サッサと歩いて行くルナ)
ソル
「ルナ待って〜〜〜」
間
ルナ
「おじ様!これはなんですの?初めて見ますわ…
香水…この花の香りとてもいい匂いですわね」
ソル
「ルナ?」
ルナ
「フゥ…ここは異常ないですわ!さ!次に参りますわよ!」
間
ルナ
「あら!綺麗な装飾品ですこと…
お一つおいくらかしら?……う〜ん、足りませんわね…」
ソル
「ル〜ナ〜」
ルナ
「まぁ!あちらにはアンティークがありますわ!」
間
ルナ
「香り付きの食器だなんて!お洒落ですわね!あら!動物の絵がとても可愛らしいですわ」
ソル
「ルナァー」
ルナ
「それにしても少しお高めですわね…次は向こうの方に参りますわよ!」
間
ルナ
「ここは…お子様が多いですわね?…ま!このお洋服とっても可愛いですわ!こちらはソルに似合いそうですわね!…安いですわ!ここに売ってるものならお店ごと買えてしまいますわ!」
ソル
「ルナ!」
ルナ
「ハッ!…しょ、少々はしゃぎ過ぎてしまいましたわ」
ソル
「ルナ…」
間
-街に唯一あった珈琲店-
間
ルナ
「・・・メニューがありませんわ…それより…」
ソル
「珈琲しか売ってないみたい」
ルナ
「本当にここはなんなんですの?」
ソル
「宿もあって、飲み物はある…けど、食べるものが1つもない…」
ルナ
「何もおかしな所はありませんでしたのに…食べ物がないというのはおかしいですわよ」
間
(誰かが倒れ、お店がザワつく)
間
ルナ
「どうしましたの?」
ソル
「ルナはここに居て…!」
間
ソル
「(この人、顔色が悪いし、やけに細い…それに、誰も特に気にも止めてない…気味悪いな…・・・あれは…)…すみません。僕たちは旅をしている者なのですが、ここ以外に街はありますか?」
(倒れた男を抱えるマスターに尋ねる)
間
ルナ
「な!なんなんですのソル!?
お店を出るなり突然走り出して!」
ソル
「うん…」
ルナ
「そ、そんなテキトーな返事では分かりませんわ!
1度止まって話を!…キャアッ!」
(ルナが人とぶつかる)
ソル
「ルナ!!!」
ルナ
「うぅぅ…」
ソル
「ルナ、ごめん!…でも、もう少しだけ頑張って」
ルナ
「ソル…ウッ…大丈夫ですわ」
(ルナは立ち上がりまた走り出した)
間
-初めの森-
間
ソル
「ルナ…もう少し頑張れる?」
ルナ
「さ、流石に限界ですわ」
ソル
「そ、そうだよね…少し休もう…」
ルナ
「・・・いい加減話してくださる?」
ソル
「…あのお店の珈琲は…偽物だった…」
ルナ
「え…どういう事ですの?」
ソル
「倒れた男が持っていた珈琲…あれは珈琲なんかじゃない…珈琲の香りが付いたただの紙だよ…」
ルナ
「どうしてそんなものが…」
ソル
「あの街には空腹とか食べるとかの概念がない…
倒れた人はやけに細くて栄養不足みたいだった…」
ルナ
「でも、それだけならあんなに走って逃げる必要はなかったと思いますわ」
ソル
「あの街は僕達には合わなかった…ただそれだけだよ…
行こうルナ…」
作者の雑談
森には毒花に見た事もない化け物…
聞くだけなら少し怖いけど、気にしなかったら大した事はないよね?
え?そこも気になるけど初めの街について聞きたい?
これは後に胡散臭いおじさっ…お兄さんに会ったらわかる事だけど、この国は「概念が欠落」しているんだ。
初めの街がその1つ。
ソルが言ったように初めの街は「空腹の概念」がない。
お腹は空くし喉も乾くけど、概念が存在しないから生きるのに必要な栄養とかを摂取出来ない。仕方も分からない。
唯一あった珈琲屋?
あそこは元々ちゃんとレストランだったよ?
あっ…これ言っちゃいけなかった?
う〜ん…まぁいいか!
それに、アンティークのお店があったでしょ?
食器とか調理器具も売ってるお店もね!
けど、ここは空腹のない街!
つまり、特に意味を成さないただの飾りってこと!
人の様子が可笑しい?そうだった?
そう見えたなら君から概念が失われ始めていたのかもね?
倒れた人はー…余所者…たまにあるんだよ?
他所からやって来て空腹のない街で何も食べれず、その内空腹のあまり珈琲屋の香り付き和紙食べるんだから?
僕は絶対に嫌だね
話はもうこの辺で良い?
続きが出来たら「ピエトロ」を尋ねると良いよ
それじゃ!またね!