二人の結末
「で、結局どっちから旅止めようってなったの?」
「ママだよぅ」
「だっていつまでたっても都に着かないんだもの。ママ疲れたの。ママ綺麗だけど根性ないから」
「三年も身代わりで幽閉されてたのに根性ないの?」
「アニー。ママ偉いだろ?パパ、ママのことホント尊敬してる。俺なら身代わり投獄とか耐えられない。ママホント偉い。偉人。美人」
「ねぇ、パパはいつまでママの聖女って嘘を信じてたの?」
「ママが結婚するっていうまでホントに信じてた」
「ママはパパが信じてるって思ってたの?」
「思ってた。だってパパ、ママのこと信じ切ってたし。ママとんでもなく綺麗だったから。多分あの頃なら世界一だった」
「今でも世界一綺麗だよ」
「ありがと」
「二人とも嘘つきぃ」
「あら、そういえばホントねぇ」
「でも嘘つき二人揃わなかったら私達生まれてないわよ。エミリー」
「ねえ、じゃあ二人はママが結婚しようって言うまでお互いの名前すら知らなかったってこと?」
「そうだよぅ」
「でも今思えば毎日結構楽しかったかも」
「ママもそう思う?俺も毎日楽しかった」
「もう聖女歩けないって言ったら貴方おぶってくれたしね。今はもう全然だけど」
「今はもう無理だよ。アニーがいて、エミリーがいて、オーブリーがいてエドガーがいてハリーがいるんだから」
「まあいいから今日はもう寝なさい。明日から旅行なんだから」
「道案内は俺に任せてね。ママ」
「一生貴方に任せるわ。私、方向音痴だから」




