表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/8

夢の続き

遅くなりました。

もう少し真面目な展開でいくはずでしたが‥‥。

ああ、コレは夢だ。


あの日。

私の人生が狂った日の、夢。


ズキズキと痛むのは、身体か、心か……。


私のお父さんは、人を、殺した。


そこまでに至った理由も、切っ掛けもあるけど。

結局はお父さんは殺人犯として捕まり、私は犯罪者の家族となってしまった。


あの日の夢を、繰り返し見る。


今までは夢を諦めと共に受け入れていた。


だけど今は、無性に寂しさが募って、苦しくなる。


誰か。


私を。


私を、()()



「大丈夫」

男の人の声と共に、そっと頭を撫でられる感触があった。

その声に誘われる様に、ゆっくり意識が浮上し私は瞼をあけた。


「良かった。目が覚めたね。

まだ痛むとは思うけど、気分は悪くない?」


誰だろう?


何処かで見た気もするけど、よく分からない。


深い深い翆の瞳が私を捉えている。頭を撫でていた、大きな手が、そっと宝物に触れる様に私の頬にあてがわれた。

不安そうに、その整った顔が歪む。

「辛かったね。もう大丈夫だから。これからは何があっても、俺が君を守るから」


だから、君の声を聴かせて欲しい………。

懇願するような囁きに、ふと夢から覚めた様な感覚になって、ぱちりと瞬いた。


「ここは………?あの、助けてくださったんですか?」

酷く掠れていたけど辛うじて出た声で問うと、その男性はゆっくり頷いた。

「ここは、俺の家だよ。もうあの奴隷商達はいない。

安心して欲しい」

言いながらサイドテーブルの水差しを取り上げ、コップに注ぐと私をそっと起き上がらせてくれた。


渡されたコップを受け取り、コクリと飲む。

随分喉がカラカラだったから、じわりと美味しさが染み込む。


不思議な感情をその瞳に宿して、その人はもう一度私の頬を自身の手で包み込む様に触れてきた。

今まで私に向けられきた視線は、嫌悪や不快感、よくても憐れみといった感情を含むものだったから、この人の瞳の意味が掴みきれなくて戸惑う。


「俺はね、レイ・ラドラー。レイって呼んで欲しい。

君の名前は?」

「つばめ、です。暁 つばめ。あのレイ様…」

「様はいらない。ただレイ、と」

「……レイさん、でも良いですか?」

他人を、しかも年上と思われる人を呼び捨てにするのはどうにも慣れなくて、そっと彼を見上げて確認する。

と。

レイさんは自分の掌で口元を覆い、凄い勢いで私から視線を逸らした。

あまりの勢いに、びっくりしてレイさんの顔を見つめてしまう。

すると彼はギュッと眼を瞑り、小声で、しかししみじみと呟いた。


「可愛い過ぎる……!」


その言葉で更に意味が分からなくなり、こてんと小首を傾げてしまった。


更に悶絶するレイさんに、背後から冷ややかな声がかけられる。

「レイ様、恐れながらそのままですと、話が1ミリも進みません」

「煩い、ザク。少しぐらい感動に浸らせろよ」

我に返ったレイさんは振り返り、声の主を睨む。

「亜人の皆様にとっては、番様は比類なき唯一の存在と存じ上げております。

その番様が現状が把握できず、不安を感じていらっしゃるというのに、何1人悶絶しているんですか」


ザクさんにビシッと言われ、レイさんは慌てて私へと視線を戻してきた。


「す、すまない、つばめ。不安にさせてしまったね。

今の君の立ち位置や、これからを少し話しておきたいんだけど。大丈夫そう?」

ふと、心配そうに私の左腕に視線を落として、確認される。

左腕には添え木がしてあり、包帯でぐるぐる巻にされていた。多分、骨折でもしていたんだろう。

でも痛みもないから、私はゆっくりと頷きレイさんからのお話を聴く事にした。




読んで頂きありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ