夫婦漫才
「はいはいはい、どうもどうもどうも!こんにちわー!」
「はいはい。こんにちわー」
「初めましての人も居らっしゃるかな。僕ら夫婦漫才してる、トリオ・ザ・テーマパーク言います。よろしくねー!」
「はいはい。なんで2人で出てきたのに、トリオなのか?疑問に思われたかも知れませんねー。その理由言うたってや、お前さん」
「はい!僕ら、もーすぐ結婚するんですよー。あ、ありがとうございますー。それでね。子供何人欲しいー?って話になってですね。まずは1人やろう、それでもっと育てたかったら何人でも作ったらええ!何人でも僕が養うたる!そう言う気持ちを込めてですね。まずはトリオから。そう、ここからなんですよー!」
「えらい長い話ですみませんねえ。じゃ、漫才行きましょかー」
「はいはい。隣の家に囲いが出来たってねえ」
「警察!?マスコミ!?何があったん、囲いって!」
「え?いや、え?」
「囲まれるて、あんた、今日日アイドルかケーサツ沙汰やで。ど、どうする、家が囲まれたら!ちゃんとあたしを連れて逃げてくれる?」
「そ、そりゃ連れて行くよ!ぼくとお前は、いつも一緒の夫婦漫才師やないか」
「あんた・・・!良かった、乗り換えんで」
「ちょ、今、漫才に出来んネタを聞いた気が」
「電車のことよ!ほら、あんたに会うために、何回も遠い道のりを電車で来たやないの」
「あ、ああ、そうやったな。お前と来たら、いつでもぼくのピンチに来てくれて、ホンマに」
「うんうん。あんたの部屋に行ったら、いつでも違う種類の香水に包まれて、まるで夢のような気分やったわあ」
「ああああ、ちちち、違う、それは、そう!ぼくほら営業やってたんですよー。その中にね、化粧品とかもありましたよ。そう!それ!」
「あー、それでかな。あんたの部屋の押入れからサイズ違いの下着が山のように見つかったの。全部、捨てたけどな」
「ぅおほぉっ!いや、あの、下着のセールスもやってましてん・・・」
「まあ、ええ。終わったことや。これからバリバリ子供達のために働いてくれたらいいんや!」
「お前・・!・・・子供達?」
「ああ、いや妹、弟、あたしは大家族なんですよ。だからその子達も養わないとね!っていう」
「へー。お前の薬指にえっらい種類の跡があるのは、気のせいかな?」
「違う違う。ほらあたしも指輪のセールスで」
「へえ。指輪のセールスで、お前は幼稚園の先生、小学校の先生と知り合ったんか。よく挨拶されるでえ。今度のご主人は優しそうで良かったて」
「・・・それは、演技の話や!あたしドラマとか出てたからな。嫌やわあ、そういう話を外に持ち出されたら」
「へえ」
「あんたのは見逃したやないか!」
「そういう問題ちゃうやろ!」
「あんたの甲斐性がないのが悪いんや!」
「お前がどーしようもない女やからや!」
「もう我慢できん。これで縁切りや」
「おお!こっちからお断りや」
「ふん!」
「へん!」
「お母さん!やめたってや!お父さんが可哀相や!」
「一姫!どうして、ここに!」
「あたし、お母さんの仕事見たかったんや。それに、新しいお父さんも」
「だからって・・・あたし、この人にバレたら、また、捨てられるやん。もう・・・どうしたらいいの」
「・・お母さん、ごめんなさい」
「・・・・・・よー分からんのやけど。初めまして一姫ちゃん。ぼく、お母さんとお付き合いさせてもろうてる者です。君の家族の新入りやけど、よろしくね」
「あんた・・」
「ぼくは甲斐性なしかも知れん。お前と付き合ってる間にも他の女に目移りして、部屋に連れ込んで、どうしようもないやつや」
「クズやね」
「うっさい!今から良いこと言うんじゃ!・・・ぼくは甲斐性なしやけどね、君のこと、愛してるんよ。君の愛する娘さんを、ぼくが嫌うわけないやん」
「あんた・・・」
「ねえ。家族になろう。ぼくら好き同士やん。一姫ちゃん、ぼくが一緒に居ってもいいかな。ぼくがお父さんでも、許してくれる?」
「うん!お父さん!」
「ははは!一姫ちゃんは可愛いなあ!お母さんそっくりや!」
「あんた」
「だってぼくら」
「そうやった」
「行くで」
「あいよ」
「はい、どーも、ありがとうございましたー!」
「ここまで、家族漫才、トリオ・ザ・テーマパークでしたー!」