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ほらふきのイデア  作者: カナマナマ
第 0章 『血と水』
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0-7 断罪者

オアシスの宴会場にまたきた。

オアシスの入り口には警備がある。


「ナセルさま、どうしてこんな時間に?」


「なくしたものがあるのにこの中に落としたようだ。」


「なるほど。」


今回も何の疑いもない。

簡単にオアシスの中に入る。


ただし、注意は必要だ。

防音魔法はここでは使えない。

他の使用人や警備兵が動き回るかも知れないから。

防音魔法を使えば彼らの言葉まで防いでしまうだろうし、そうすればすぐに異変に気付くことになる。



そして昨日ナセルが遊んでいた所へ行く。

そこには印章が置いている。


「お、印章かっこいいな。これも貰おうか?」


印章を周りにあった空の紙に押してみる。


「うーん、撮る感じが俺の好みじゃないな。これは要らない。」


紙をポケットに入れてナセルに再び印章を渡す。

前もって作成しておいたオアシスの譲渡書を取り出す。


しばらく悩んでいるようだったが、印章を押す。

意外と抵抗なしに押った。


「水源地を教えてあげるからついて来い。」


ついて行くとオアシス中の隅に大きな穴があり、穴は鉄柵で塞いでおいた。

あれが水源地なのか。

このオアシスのもとになるところ。


その時ナセルが水に飛び込む。

そして何かを穴に入れる。


「何してるんだ?」


「さぁ、また始めてみようか?!」


ナセルが水から出るとともに水の色が変わってきている。

これはまさか…


「毒か?」


「正解だ。反乱に備えて買っておいたものだったが、こんなに使うことになるとは知らなかったな。」


オアシス全体の色がだんだん緑色になって行く。


「どれだけひどい毒を入れたわけで、こんなありさまなんだ…」


「アンデハジャク砂漠のサソリと蛇で作った毒だ。

どっちも極悪な毒で有名だ。」


「そして解毒も大変な...

はあ, 何の仕業だ?」


「さあ、私を殺せばこのオアシスの解毒は不可能だ。

私は毒の解毒剤を持っている。

私だけが知っている、秘密なところに隠されている。


交渉してみようか。

言っておくがもう拷問と脅迫は通じない。

お前たちにもこのオアシスが必ず必要だということを私も知っているから。」


「…欲しいものは?」


「奪ったものを全部返せ。

いくらお前たちが偉くても一生水を供給するのは無理だろう。

その時になってこのハードセルを滅ぼしたくないならわたしにまたよこせ。

そうすれば少なくとも水の値段くらいは正常に戻せるようにしてあげるから。」


「断ったら?」


「一人も残らずに死ぬんだ。

私も、このハードセルの人全部も。

ほかに離れることも不可能だ。

この砂漠を水なしで横断するのは不可能だから。


すぐにはてめえの魔水晶のおかげで去れるが。

しかし、日常と故郷を捨てて離れようとする人が何人いるだろうか。」



…大胆ながらも頭もいい。

何度も感じたが、運だけで大商になったのではないのは確かだ。

こんな妙案をその瞬間に考え出したのか。

毒はたぶん金庫から鍵と権利書を取り出すとき、いっしょに取り出したんだろうね。

この能力を善良に使ったらよかったのに…


ため息をつく。


「アンデハザークサソリと蛇の毒か。

解毒薬を作る材料も時間も製造法もとんでもない毒。」


「そうだ。だから素直に…」


「ルメナ、あの時作ったもの、取り出してくれる?」


「いくつ?」


「2つで十分だよね?」


「たぶん。」


ルメナが懐から清涼な緑の色の水薬、ポーションが入った瓶を取り出す。


「はあ!一般的な解毒剤で解毒可能な毒じゃない。

普通な蛇の毒より何万倍も強い毒なんだ!」


ナセルを無視したまま、ポーションを受け取ってオアシスへ歩いていく。


「水魔法で道を作ってくれ。」


ルメナが手を伸ばすと、水が割れ、水源への道ができる。

そこに歩いて、水薬を注ぐ。

そしてまた戻ってくる。

俺も、ナセルも静かに水原を見守る。


そして、水は再び清涼な透明な色を取り戻している。


「何んの?!」


最後の手段がぶち壊されたナセルが驚く。

俺は淡々と話す。


「悪いけど、こういう状況もある程度予想した。

多くのものを奪われた人が、あほらしい考えをしてしまって、残忍なオニになってしまうのをたくさん見てきてさ。

オアシスというのを聞いて、あらかじめこういう状況への備えもしておいた。

気の『毒』だね。」


すでに俺たちがいるところまで水が透明になった。

水を手で直接一杯すくって飲む。


「涼しいな。」


「どうして…どうして…」


体の力を失って、座り込んだナセルに話してあげる。


「一応魔法使いと紹介はしたが、中でも特技は錬金術分野なんだ。

この程度の毒の解毒剤はいくらでも作れる。」


「だと言えどうやってアンデハジャクのサソリと蛇だと分かったんだ?!

何よりも2種類混ざった複合毒なんだ!」


「だから総合解毒剤を作った。」


「はあ…?」


「おれが使ったのはアムリタ。

回復ポーションの王エリクサー、魔力ポーションの王シャングリアと共に状態異常解除の王と呼ばれる伝説のポーション。」


「アムリタ…? 嘘つくな!

今、この世にそれを作れる錬金術師が残っているはずか!?」


「信じようが信じまいが、お前の自由さ。

そしてなかったわけではない。

3年前まではたった一人だったから。」


すでにオアシスは元の色を取り戻した。

最後のあがきは失敗した。


「では精算をやり切るようにしようか。」


「何がまだ残っているんだと?!」


「二つ残った。

一つは今使ったアムリタの値。

もう一つはさっきオフィーリアに刀を向けた値。

最も高い二つが残っている。」


「うわぁぁぁぁ!誰でもいいから私を救え!」


ついに全部諦めたか。

さっきのような次の手段のための逃亡ではなく、残った手が逃亡しかないので選んだ逃亡だ。


「エリゼ、近付いてくる人いる?足音は何人くらい?」


「5人ほど。」


「やっぱりばれたな。あんなに大声を出すとは。

ならうるさくなる前に…」


ワープ(瞬間移動)


転移魔法を使ってたちまち外へ出た。

人跡のない路地。

もちろんナセルも一緒だ。


「さあ、借金が増えたけど、支払いをどうするつもり?」


「どうか…命だけ…」


この言葉に笑いが出てしまう。


「なら命の代を払え。

お金にならない存在は人間として見なくてもいいんじゃない?

死んでも構わない存在だろ?」


唾を飲み込むナセル。


「お前の家と金庫は俺が持つ。これがアムリタの値段だ。

それでもまだオフィーリアを脅かした値が残っているな。」


「これ以上何が欲しいんだ!いったい何が必要なんだ!」


「金だってば?金になるものを出せ。」


「はぁ…やめましょう。クリスさん。」

オフィーリアが割り込む。


「君のことよ?大丈夫?」


「こんなに生き残ったから大丈夫じゃないですか。

そして彼女という言葉を聞いて少し嬉しかったんですよ。

私は許してあげても構いません。」


「…お前は優しすぎて問題なんだ。

本人がそういうね。

借金一つ減ったな。


じゃ、行ってみろ。

手ぶらでまた始めるのさ。」


「行く…?どこへ…?」


「それはあんたのすきにしろよ。

ただ、あんたの家だった俺の家には来ないでくれ?」


今まで持ち堪えていた恐怖と怒りを抑えきれずにナセルが叫ぶ。


「いったいお前らは正体か何だ!

どうして私にこんなことをした理由が何だ!」


「まあ…そのくらいは精算を誠実にしてくれた賞で言ってあげようか。」


そして冒険家ブローチを取り出して見せる。

ナセルの息が止まる。


「これは…」


「紫色の玉のブローチ。Z級の証明。

これが偽造ではないということはA級を圧倒したことで証明できたよな?

最初に見せてやったB級ブローチは偽装のためのスペア。」


普通の冒険者、強者の頂点なら,人々はSだと言う。

なぜなら、その上の等級であるZは、夢であり神話の領域。

人間が到達できない場所と認識されている真の頂点。


「俺たちのパ-ティ-の名は 『リッチ&(黄金の)リッチ(死神)』。

お前ような、金と権力の魔力に飲まれて人の道を踏み外した奴らを断罪するために集まったZ級パーティーだ。

まあ、一人はZ級じゃないけどさ。

一番強いのはあいつなのに。」


「私もなりたくないからなりなかったのじゃないんだよ。」

ルメナは不満を込めて話す。


「そして二つ目の質問は俺に聞く必要がある?」

そして優しく、しかし確かな皮肉を込めて言う。



「全部てめえのせいじゃねか。」



話を終えてナセルに向かって指を伸ばす。

ナセルの呼吸が荒くなる。

顔色も悪い。


「最後に忠告してあげるぞ。

命が惜しければ今日失ったことに対する欲心は捨てろ。

さもないと本当に死ぬかもしれないから。」


ナセルがよろける。


「俺たちはこれからここを立ち去る。残りの選択はお前の分。」


ナセルが座り込む。


……



気絶したな。

魂が抜けたようにその場に座り込んでいるナセル。

彼を残して屋敷に再びワープする。


さっきナセルの部屋を思って,そこにワープした。

そして金庫に再び向き合う。


「ブリン、これ開けられる?」


「ちょっと待ってろ。」


まもなく金庫が開く。

内側には手形と各種の文書がある。

これを全部取りまとめる。


そして次は倉庫の方。

倉庫に向かう。

ワープの原理上,倉庫の中にワープすることはできない。

自分のワープする位置について知っておかなくてはならない。


「隠れ魔法を使おう。」


体が瞬く間に透明になり、倉庫を探し求める。

すぐ倉庫を見つけた。

警備兵がドアへ行く通路を見張っている。

その前を行き過ぎるが、誰も気づかない。

静かにドアを開けて入ったら、宝の山が広がっている。


「100億くらいじゃないんだ…」


「いくら持っていくつもりなの?」

エリゼが問う。


「ざっと見ても150億はあるだろうね。 半分だけ持って行こう。」


収納魔法の空間を開けると、宝物が吸い込まれる。

正確に倉庫の半分が空いてしまった後、空間が閉まる。


もう本当に残った仕事は一つだけ。

わざと収納されないようにした物がある。


「これだけの魔水晶なら十分だよな?」


これを直ちに水の魔水晶に変える。

隠れ魔法を維持したまま箱を持ってオアシスへ向かう。


「さあ、注ぎ込んで」


水原に魔水晶を注ぎ込む。

これでおしまいだ。


問題の発端となったオアシスの枯渇。

この程度の魔水晶を使えば枯渇を防ぐことができるだろう。


伸びをして隠れ魔法を解除する。

そして、ワープで外に出る。


「帰ろう。」

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