5-8 困難な提案
「会ったことがあるって?私はあなたみたいな人は記憶にないわ。
こんなに濃い印象を持った人を忘れたはずがない。」
「あの時は私が骨身の様だったから。それに、よい出会いでもなかったね。」
「骨って、何を…」
「うーん、それについてはクリスを通じて聞いてくれ。
私が言っては信じないようだから。」
エリーゼが俺を見ている。
まずはそこからだろうか。
どうか落ち着いたまま聞いてほしい。
「それがさ…」
ドッカン@!!!
「いや、かつては魔王だったけど、今は大丈夫だって?!
それよりルメナ、テメーのことだろ!何をそんなに爆笑してるんだ?」
「お前は一体何を考えているのよ!?魔王と手を組んだって?
その言葉はまさか君も魔族が…」
「その逆だよ。あいつが人間に戻ったんだ。元は人間だったやつだって。」
「いくらそうだとしても魔王だなんて…
っていうか、魔王がどうして君を助けてあげたの?
君だけでなく、私たち皆を殺そうとしたやつだったでしょ?」
「それも説明すればすごく長くなるそうだけど…」
無言でスキルを準備するエリーゼ。
無言の脅迫があまりにも恐ろしい。
素直に全部説明するしかない。
...
...
「ってことさ。」
「う~ん…」
不満そうな顔で出てルメナを交互に見る。
しかし、少なくとも殺意と敵意は完全に消えた。
「お前も本当にすごい人生を生きるんだな。
どうやって君の人生の何倍を生きてきた私よりもめちゃくちゃな日々を生きてんの...」
「それでも足りなくて、それ以上で派手に生きることを考えている。」
「どういうこと?」
「まあ、家のインテリア作業みたいなもんだよ。ただそのスケールが世界級ってだけさ。
世界の醜い面をなくす仕事をしている。」
「はぁ?!」
「こう言ったらどうしてここに来たのか分かる?
単純に久しぶりに友達に会いたくて来たのだけではない。」
「……君、まさか?」
「そのまさかよ。」
エリーゼの表情はルメナの話を聞いた時よりも硬くなった。
予想通りの反応だ。
「君がエルドリームの問題に介入するという話?
それがどういう意味なのか知らないの?」
「誰よりもよく知っている。もしかするとお前よりも。」
「なら私の言うことも分かるよね?!
その考えはやめなさい!
君が割り込めば問題だけもっと複雑になる有様よ!」
「じゃ逆に聞かってみるよ。
お前には何かいい方法がある?
もしあったら聞いてみようかな?
それが可能性のある方法なら、未練なくエルドリームを離れるよ。」
エリーゼの言葉は止まった。
そんなことがあったらとっくに試してみたはずだ。
しかし退くつもりもない。
「そう言う君はいい考えがあるというの?
じゃあはなしてくれるかしら?」
「その前にあらかじめ一つだけ約束してくれ。
俺の作戦を聞くなら必ず協力してくれ。」
「はぁ?どういうことよ?
良い作戦なら当然そうするが、馬鹿みたいな作戦なら却下するのが当たり前でしょ?」
「この作戦は君にとっては心的にかなり苦しい方法かもしれないってことよ。
ああ、血の流れる方法ではない。
ただ、誰かには大きな被害が出るかもしれないけど。」
「今、そんな作戦を信じてくれというの…?」
「言えることは、君のために俺はもちろんのこと、オフィーリアまで来たんだ。
また、君がこう言うだろうと予想したので、作戦の完成度は心血を注いだ。
いったん君が受け入れさえすれば、もうエルドリームにおける葛藤は見えなくなると約束するよ。」
「···ちょっと考えるね。
最初からあまりにも突然すぎて考える時間が必要だ。」
エリーゼは顔を包み込む。
そのままで俺に問う。
「君が苦しいかもしれないと言ったでしょね?
それがどれだけ辛いの?」
「そうだね。心的な苦痛だからお前次第だ。
俺としては言えることがない。」
「信頼できない…」
エリーゼ悩み続けた。
結局決心したように顔から手を引く。
「こんな風に何十年も過ごすよりいっそのことすっきり処理した方がいい。
よし、協力してあげるわ。」
「よく考えたよ。」
「くだらないやり方なら許さない。
で、お前の作戦っていうのは?」
「怒るな?
グリエルを破壊するつもりよ。」
「…君が言ったグリエルが僕が思うグリエルなの?」
「そう、エルドリームの都であるグリエル。」
「クリス…!」
「ちょっと待って!とりあえず作戦を最後まで聞いて!」
作戦を説明する.
くしゃっとしていたエリーゼの顔に戸惑いが出てきた.
ルメーナとオフィーリアも同じだ。
「無謀な作戦という考えは同じだけど、少なくともバカげた作戦でもないね。
確かに可能性のある作戦よ。」
「こいつの作戦って、だいたいこんな感じなんだ。」
「…魔王。」
「おい、もう引退したんだよ。
そして今から君を助けてくれる人なんだから、少しは優しくなればどう?」
あの二人の関係改善も新しい変数だな。
作戦の決行前までは親しくなるようにしたい。
「ところでエリーゼ、本当に大丈夫よな?
お前に言った以上、俺ももうやめるつもりはない。
故郷をお前自ら破壊することなんだ。」
「拒否感がないわけではないけど。言ったでしょね、どうせ今の状況がもっと大変なんだから。
君を信じてみるしかない。」
思ったより淡々と受け入れてくれた。
このために悩んでいた私がむしろ馬鹿のように感じられる。
あとで状況が変わるかもしれないけど、エリーゼも我々の意見を受け入れた。
それではこれからどうすれば良いか...
「ルメナ。さっき村でどう対応した?」
「いくら私だとしてもその程度の力の激突を完璧に隠すのは無理だ。
だから、お前たち2人の姿だけを見せないように、夜空の幻影を作ったんだ。
衝撃波の中で維持するのに苦労したぞ?」
「今すぐは大丈夫だろうが、この後が問題だね。
強硬派の動きが心配だ。」
「どういうことですか?」
「ぼくは二の次にして、けんかをした者がエリーゼだということはすぐに知られることになる。
力の激突が隠せなかったら、みんなそれを全部見て聞いたってことじゃない?
そんな怪物のような頑張れる存在がエルドリーム、それもこのセムスでいたとしたら?」
「そのくらいの力を持っているのはエリゼさんしかいないということですね…。」
「多分数日中にここに対する措置が取られるだろう。
その前に作戦の下準備を終わらせておかなければならない。
今夜中に終える。」
「一日でその準備を全部?!不可能だよ!」
「今俺たちがやろうとしていることも不可能だと思われていたことなんだ、エリーゼ。
それに比べると、この程度は呼吸するのと同じくらい簡単なことだから、」
一旦決まったら今すぐ始める。
時間を無駄に使ってはいけない。
「エリゼ、明日までは別に行動しよう。
明日日が暮れたら、グリエル方面の東で待っていてくれ。
その時まではバレない自信あるよね?」
「君たちが私のためにこんなにまでしてくれるのに、私だけじっとしてろと言うの?」
「力でもちゃんと蓄えておいて。どうせ今頭もよく動かないんじゃない?
それでは明日会おう。」
「クリス!ちょっと待って…!」
瞬く間に目の前から3人が消え、エリーゼだけがぽつんと残った。
一人になるとまた頭が複雑になる。
今何が起こったんだ…
しばらくの間、今起こったことを一つずつ整理する。
クリスが戻ってからエルドリームの、私の不幸を終わらせようとしている。
今までこらえていた涙があふれ出る。
「そうなんだ、帰ってきてくれたんだね…」
セフィエルに戻る間、毎日のように悪夢を見た。
守れなかったという無力感、絶望、虚しさが盛り込まれた夢を…。
しかし、今日夢よりもっと夢のようなことが起きた。
そして夢はまた別の夢のようなことをプレゼントしようとしている。
「君だという証拠がもう一つ出たね。
あの時と全然変わってないわ、その性格は。」
クリスは自分が助けてあげられなかったが,喜んで自分を助けようとしている。
勇士パーティーの時からいつもそんな人だった。
「おかえり、クリス。」
いつぶりだろう。
こんなに明るく笑ったことは。




