5-7 誤解
今の攻撃を完璧に仕留めたオフィーリア。
怒った顔で俺の方へ飛んでくる。
「何やってんですか?!エリーゼさんを助けに来て、喧嘩ばかりしているって!」
「いや、俺は正当防衛だ!先に攻撃したのはエリーゼの方だって!
それに俺の言うことも全然聞こうとしないし!」
「え?エリーゼさんがですか?」
エリーゼを見るオフィーリア。
首を傾げている。
「本当にあなたは何もしていないでしょう?」
「俺がルメナでもないのに、そこまで信用がなかった…?」
「少なくともルメナさんは今ちゃんと仕事していますからね。
下で私の代わりに、防御態勢を整えているんです。
そして、あなた方だと気づかれないようにする作業もしていますし。」
「分かったから君がエリーゼを何とかしてくれ!これ以上喧嘩したら涙が出そうだ!」
「かしこまりました。待ってください。
まずは地に降りましょう。」
オフィーリアは俺をつかんでワープした。
これを見て、エリーゼもすぐにワープで俺たちに近づいてきた。
エリーゼに近づくオフィーリア。
エリーゼの方からもオフィーリアを攻撃する気配はない。
「先ほどの攻撃を完全に消滅させるほどの防御魔法…
本当にオフィーリアなの?」
「お久しぶりです、エリーゼさん!
ところで本当って?私以外にも他のオフィーリアがありますか?」
「ううっ、ちょっと待って!本当なら知ってるよね?
私と最後に別れる時、君に言ってあげたことば。」
「もちろん覚えてますよ。『私が言うには変だけど、人生は短いから、痛みも短く感じられるよ。』ですよね?」
「…本当にオフィーリアなの?
ということは今までえ戦ったやつは…」
「1年ぶりですけど、歓迎式が激しすぎますよ。
クリスさんが本当に会いたかったようですね。」
「…本当にクリスなんだと?!こいつが?!」
何か錯覚の沼から抜け出したようだ。
今なら近寄っても大丈夫…よな?
「まったく、いったい何の勘違いをしたんだ?
冗談じゃなかったぞ、今のは。」
「…本物だ?」
「そもそもよ、お前とここまで打ち合いできるやつがこの世にありふれてると思う?
前勇者パ-ティの射手さん?」
「バカな!そんなはずがない! 君はあの時!
だって、生きていたらどうして今まで?!」
「それは話が長くなるから後で話そう。
まずは一体何の誤解をしたのかから聞いてみようか。」
「……まずお前が本物なのか、それから証明して。
あなたも私の質問に答えてみなさい。」
「いくらでも。」
「勇者パーティーが出征して初夜に起ったことを知っている?」
「ププッ!エリーゼさん、それは?!」
「オフィーリアが夜中にトイレに行っては、勘違いして俺のテントに入ったこと?
そして、自分の家であるかのように瞬く間に下着姿になったことは…
忘れたくても忘れられない。」
「ほかの質問も多いのに、なぜあの時のことなんですか?!」
恥ずかしがるオフィーリアを放っておいて、エリーゼの答えを待つ。
エリーゼはうつむいたまま震えている。
そして小さな動きがあった。
「そう、感動して泣くのも無理じゃな…クペェッ!」
「テメエエエエエー!
生きていったら早く帰って来るので、どこをほっつき歩いて今やっと現われるた?!」
「ちょっとちょっと、それは事情があって!
それより俺だと分かったからこれからは言葉にしても…あうぅぅっ…」
「そう、好きなように言え!
私はお前を思いっきり殴ってやるから!」
「ちょっと待って、それは事情があって!
それより私だと分かったからこれからは言葉にしても...」
「うん、好きなように言って!
私はお前を思いっきり握るから!」
「うっ、これ本当にヤバい!
オフィーリア、見ないでちょっと助けて!」
「私も正直それについては不満があったんですよ。
私の分までお願いします、エリーゼさん。」
「ええっ!ちょっと、マジでヤバい…うあああ!」
めちゃくちゃに殴られた。
顔がはれあがってよく見えない。
これじゃ話もちゃんとできるかな…
「このバカ!いったいどこから何をしてきたんだ?!」
「生きて帰ってきたんだよね。それだけだよ。」
「死んだと思っていた奴が生きて帰ってくるなんて…
ははっ、夢でも見るのかしら?」
呆れた笑いだが、確かに喜びのこもった笑い。
これを見ながら、オフィーリアは優しくて困った笑みを浮かべている。
さっきからずっと周りのことに気を使っている。
「うーん、あのう、感動的な再会中に申し訳ありませんが、今人々の耳目がこちらに集まっています。ルメナさんがなんとかされてますが、とりあえず他の場所に移ってからでもいいですか?」
いつの間にか人々があちこちを歩き回っている。
俺たちがいる所にもすぐ誰かが来るだろう。
これは良くないね。
テレポートを使って森のどこかに転移した。
「そう、もう気が済んだったら、誤解した理由から言ってくれる?
正直こうしている最中にも矢を立てるのではないかと怖いって。」
エリーゼが俺とオフィーリアの顔を交互に見る。
そして再び口を開く。
「君を追いかけ者だと思ったわ。」
「追撃者?」
「君たちもここまで来たら、エルドリームの事情はだいたい知っているという意味だろう?
それなら私の事情も分かると思うわ。
強硬派が引き続き私を追撃しているのは気づいていたよ。
最近になって露骨なほど執拗に追いかけている。
だから最近はできるだけ人との接触を避けて過ごしてきたよ。
私が本心で身を隠したら、いらだった強硬派があらゆるばかげたことをし始めたわ。
そうすれば私が姿を現わすと思ったらしい。
いざそんなことは私の怒りだけかきたてるようなものだったけどよ。
とにかく、すごく怒っている状態でイライラする奴が苦いめを味わったという知らせを聞いたよ。
確認が必要な状況だったの。
なのに、すごい監視魔法を広げてあったんだ。
この時からが勘違いが始まったのよ。
自作自演を演じて私を引き出そうとする魂胆だと疑ってしまった。
たった一人で作れる感知範囲じゃないと思ったから。
でも、さっき君の探知に当たった瞬間、一人の魔法だということに気付いたわ。
瞬間危機を感じてそんな魔法を使ってしまったの。
そして君を見た瞬間幻想だと思ってしまった。
そして、怒りが私を包んでしまった。
確かにお前は死んだと思っていたから...
だから私の前にいるのは君じゃないと思ったよ。
私の一番痛い記憶の中の一つを刺激して責め立てようとする陰謀だと思ったの。
「今になって考えると、私の記憶を読んだ強硬派がいるはずがないから、あなたの幻想を作るのも無理だし、あなたの言う通りに私と戦えるのもおかしい。
本当に君だという証拠がいっぱいだね。
クリス,ごめんね。」
そうだったんだ。
私を魔法に姿を変えた強硬派のエルフと勘違いしたというのか。
疑いをはさむに足りる。
ここに来る直前に俺がやられたから。
「まあ、結局誰もけがしなかったから大丈夫じゃない?」
「いや、さっき私がうっかりそんな威力のスキルを使ってしまって町が…。」
「それなら心配すんな。怪物が守ってくれてたから。」
「怪物?君、オフィーリアに以前のように殴られたいの?」
「オフィーリア以外にもう一人いるんだよ。」
そして、話が終わるやいなや、誰かが転移した。
赤い髪に赤い目の女の子。
「はぁ、遠くまで来たな。喧嘩しないでいるのは、一応問題は解決したということでしょう?」
「誰…?」
エリーゼは本能的に危険を感じ,弓を手にした。
この反応に赤い女はくすくす笑う。
「私の力を感じられる人ならこんな反応が当たり前かな。
一応、君とも二度目の出会いだが、もう一度挨拶しようぜ。
ルメナ·エルナスだよ。よろしくね。」




