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ほらふきのイデア  作者: カナマナマ
第 五章
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5-1 小競り合い

「クリスさん、何か見えますか?」


「いや、さすがセフィエル最大の樹海だな。

端が見えねよ。」


エルドリームへの道。

丘で休憩を取っている。


誰がエルフの土地ではないかと思ったか、行く手には広大な樹海が広がっている。

そのため、引き続き経路の確認を行いながら進んでいる。

今日で3日目だから、あと2日ぐらいかな。


幸いなこと、交易路がつながっているため、たびたび人々に遭遇しているということだ。

そのおかげで、エルドリームから戻ってくる人々の話も聞くことができた。


「せムスの雰囲気が殺伐としてきたぞ。

最近強硬派が増えたというか、理由はよく分からないが。」


「首都のグリエルには傍観しているらしいよ。

一体どういうつもりなのか…」


「人間に対する被害も少しずつ増えている。

そのうち大変なことが起こると思う。」


当事者たちに聞くのは確かに実感ができた。

そしてさらに悩みは深まった。


まず、エリーゼを探す。

そして会って話を交わしてみる。

ここまではいい。

それならエリーゼの答え次第で分岐点が分かれる。


今、予想できることは3つ。


まず人間の側に立つ場合。

この場合がまだ楽な状況だと思う。

人間が人間のために

名分としては完璧だ。


次はエルフの側に立った場合。

まあ、テラから得た情報からすれば、可能性は少ないだろう。

しかし、もしそうだとしたら、今度は何も言わずエルドリームを離れるつもりだ。

でも、いつかは···。


そして、今のように中立を貫く。

おそらくこう言うだろうとすでに確信している。

エリーゼはそんなやつだから.


しかし、上の状況と関係なく私たちに会うなら、人間とエルフの葛藤はあなたたちには関係ないと冷酷に言って私たちの助けを断るだろう。


本音はそうじゃないはずなのに…


そう考えながら、オフィーリアとルメナを見つめる。

昼食を食べながらおしゃべりをしている二人。


本心と違って、50年の孤独を受け入れて、俺には自由を与えようとしたルメナ。

本音と違って、自分が他の人々の鎖をすべて背負おうとしたオフィーリア。


今度も同じことをするだけだ。

無理やりにでも鎖を打ち砕く。

それだけだ。

せめていつでも自分が選べるように…


そうして午後も道を歩き続けたし、キャンプ地を決めて、寝る。

エルドリームに向かって4日目になる日。


幸運にもセムスに向かう商人の馬車に乗った。

ひょっとしたら今日中にセムスに到着するかもしれないな。


「運がいいね。」



なんて言ったら、運が尽きるってニコラと会ったときも言ったじゃない、このバカが…

絶賛裏でモンスターに追いかけられています★


エリーゼに会うまでおとなしくいたいけど仕方ないね。

助けてくれた人を知らん振りするわけにもいかない。


「馬車を止めましょう。

私たちがどうにかしてみます。」


「もう少し行けばいい!心配するな!」


「何か信じるところでもあるんですか?」


「後で!今は集中させてくれ!」


あんなにまで言ったら一応見ようか。

と安心するには追撃が激しい。


今追いかけてきているモンスターは『スタブ・ファング(餓鬼狼)』の群れ。

しぶといことは誰にも負けないやつらだ。

ただ待っているわけにはいかないので、魔力弾でも撃って牽制しようか?


「ルメナ、魔力弾を…」


「いい子だね、こっちに来て…」

クフフ、あいつらを全部ポイントに換算したら…」


また始まったな。

放っておけばまた『オスプリンガー』のような魔法を使うかもしれないので、オフィーリアにルメナをつかませ、魔力弾を飛ばして牽制する。


スタブファングたちの速度が落ちる。

しかし、追い上げを止めない。


魔法弾を飛ばして時間を稼ぐ。

しかし、これも限界がある。

俺ではなく馬車を引く馬の体力が。

そしてスタブファングの体力と持久力は馬より優れている。


「どれくらいもっと行けばいいんですか?!」


「…おかしいな?!確かにここまで来たら見えなければならんぞ?!」


「それは作戦が狂ったと見なしていいんでしょうか?」


「もうすこし待って!あれと戦おうとするのは無謀すぎるじゃなねか!」


一体何んなのであんなに頼るんだ?

とかく、これ以上は困る。


「心配してくれるのはありがたいけど、やはりこれ以上は困るんだな。

ルメナ、頼むよ。」


「よし!ポイント、私が行くぞ!」


案の定、盛大な魔法を準備するルメナ。

それでもこれ以上怒られるのは嫌なのか、威力はどうやってコントロールする。


「さあ、それじゃ行きま…!」


ルメナの魔法がキャスティングされる直前に異変が起きた。

先頭を追いかけていたスタブ・ファングが魔法にかかって倒れる。

ルメナの魔法ではない。


続いて、あらゆる武器と魔法がスタブ・ファングを攻撃する。

瞬く間に半分のスタブファングが死に、残り半分は逃げる。

商人が誰かと会話する声が聞こえる。


「ふぅ、以前よりもっと奥に腰を下ろしたな。

何かあったんだ?」


「数日前にセムスで騒ぎがあってました。

そのせいで、念のため私たちももう少し内側で警備をしています。」


馬車を降りる。

そして、そこに人々がいる。

ただ、耳の変わった人々が多く混ざっている。


「あぁ、お連れ様があってましたか。」


「あの人たちも魔法使いのようだ。

おかげで、ここまで無事に届いたぞ。」


エルフと人間はそれぞれ武装している。

しかし差別や紛争の気配はない。


「とにかくしばらくは気をつけてください。

当分の間、私たちはここだけで勤務しているので。」


「心配、ありがとう。

あとでセムスに戻ったらうちにこいや。

今日のお礼をしたいんだ。」


そして馬車がすぐに再び出発する。

いろいろと気になることが増えた。


「あの方々は?」


「セムスの衛兵たちさ。エルフたちは城を建てないから、こうやって拠点を作って警備してるんだ。」


「衛兵なら私たちに対する検問を進めるべきではないですか?」


「俺はよく顔を出すからそうだとして…

君たちは今エルドリームの状況のためにそうしたのだろう。

最近、強硬派との戦いのせいでエルドリームを離れる人が増えているんだ。

それに対する反発の一環として人間に対する検問を完全にやめた。」


「そうなると犯罪者みたいな人が入ってくるかもしれないんですよ?」


「現在のエルドリームで人間がそんなことをしたら強硬派たちに四肢が裂かれる。」


これを好きになるべきかどうか…

何はともあれ, 運がよかったと思おう。

今回は言葉では出さないで…


「ところで、ルメナはどうしてこうしているの?」


まるで氷魔法に直撃したかのように微動だにせず伏せているルメナ。

暗いオーラが漂う。


「さっきからポイントという言葉だけを繰り返しています。

精神系魔法をかけて治癒しましょうか?」


「ほっといて。こいつは世の中のことが全部自分の思い通りにならないということにちょっと気付く必要がある。」



衛兵がいるということは、近くに共同体がいるということだ。

木柵が見え始め、木柵を越えて、おびただしい大きさの村が広がる。


「ようこそ、セムスへ。」

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