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ほらふきのイデア  作者: カナマナマ
第 0章 『血と水』
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0-5 勝者の交渉

今までの攻防ではっきり分かった。

この男の実力は確かに見事だが俺に勝ってる程度ではない。

俺が全力を尽くせば負けることはない。


と思っていたスケントだった。

しかし、今目の前にいる男が吐き出す圧迫感はB級のものではない。

汗が流れる。


「じゃあ、そろそろ攻守交代の時間だ」


俺の手に魔法弾を作り出す。

白色の、魔力だけを凝らして作る攻撃魔法の基礎。

通常の魔法弾よりすこし大きが、これくらいなら特別なほどではない。


「さあ、これをどうすればいいかな。」


魔法弾が俺の手から発射される。

さっきのように魔法弾をはじき返そうとするスケント。

姿勢を整える。

スケントの拳と魔法弾がぶつかる。


魔法弾が止まった。

しかし、スケントの表情が固くなっていく。


大きさはかまわないと思った。

このくらいの大きさの魔法弾は何度も見てきた。

魔法弾が強かったところで、どんなに強いんだ。

こんなものなんか…


という考えは錯覚だった。

重い。

先のどの攻撃よりも。


「ちぇっ…なめるな!」


手首を回して力の向きを変えようとする。

結局、魔法弾の軌道がゆがんで天井に向かう。

そしてその力に耐えたスケントが後ろに押し出される。


天井に向けた魔法弾が天井に届く直前に指を弾く。

それとともに爆発が起こる。


「何だと?!」


黒い疾風とナセルに驚く。

単純な魔法弾がこの威力を出すのは見たことがない。

他の魔法よりもはるかに強い威力。

油断したとはいえ、A級の男が完璧に手に負えない基礎的な魔法。


いや、油断もない。

常識的に、魔法弾を全力で止めようとする者は1人もいない。


「ほら、続けていくぞ。」


先ほどのような魔法弾が数十個が俺の頭上に出て、スケントをねらって飛び立つ。

防ぐのが得策ではないと判断したのか、速く走りながら避けるスケント。

その一方で着実に俺との距離を縮めてくる。

ある程度の距離を縮めると、すぐスキルを使う。


マンモス·マッチ(大象怒步)


体重をかけた強力な歩法のスキル。

地面にひびが入り、足元がひどく揺れる。

これに対して俺も身体中心が揺れる。


その瞬間を逃さず、直ちに俺に向かって飛び込む。

歩法スキルを使った足を軸に走った速度は想像を絶する。

常人なら反応できない速度。


だがすでにスケントに向けて、俺の手は広がっていた。

そして強力な斥力が発生し,スケントをたたきつける。


「俺は男好きじゃないんだ。

そんなに激しく飛びかかるのは我慢してくれよ。」


スケントがすぐ起きる。

ダメージは大きくない。

スケントが走ってきた速力と斥力が相殺され、本来の威力を出すことはできなかった。


「これで1対1だから次の攻撃で1点取った方が勝ちということにするか?」


言い換えれば、次の攻撃で終わらせるということ。

挑発に何も言わないスケント。


自分をみくびっている。

しかし、今の攻撃で確実に分かった。

この男は自分を見下すことができる程の力を持っている。

魔法弾がこれだけ力を持っているなんて見たこともない。

『マンモスマッチ』がこんなに完璧に塞がったことはなかった。


「さあ、それでは早く終わらせよう。

A級だから無詠唱魔法で一発に倒すのは無理だろうな。」


エレクトリカ・クラ(超電雷)リザー()


俺の手に電気が集まる。

スケントはただそれだけなのに恐怖に怯えている。


手に集まった程度の小さな電界。

距離も十分に遠くにある。

にもかかわらず、髪の毛が逆立っている。

あの小さい電界の力を推量することができる。


あれに当たると死ぬ。


「さあ、最後だからあんたも全力を尽くしてみろよ。

さもないと大変なことになるかもしれないぞ?」


電場を作ったまま攻撃をせず、待ってる。

スケントがすべてをかけた攻撃を準備する。

あれは防御してはいけない。

防御できるものではない。

攻めで正面から迎え撃つのしか方法がない。


グスタフ·フィスト(崩擊拳)


現在スケントできる最大最強のスキル。

ダイヤすら砕くことのできる崩拳。

このスキルを使って、勝てなかったことは今までいない。

これなら何とか…


「準備できた?じゃあ、俺が3を数えようか?」


「3」


「2」


「1」

と一緒にスケルトが飛び込んだ。


正攻法では勝てない。

自分だとしても雷より速くはない。

先に攻撃するしかない。

卑怯なのは構わない。

死ぬよりはましだ。


俺からの反応はない。

このままでは攻撃は成功する。


こぶしが触れる。


闘技場全体にガラスが割れるような音が響き渡る。

崩拳は直撃した。

そして。


魔法の防壁は散散になった。


「やあ、怖かったぞ。

無詠唱では俺が作れる限り最大に厚く作ったものなのに、これを壊すなんて。

防御魔法も詠唱魔法を使わなければならないところだったな。」


最強の一撃であるにもかかわらず、さっきのように押しつけることも不可能だった。

そして手にはまだ…


「しばらく寝てろ。」


そして轟音が鳴って、雷がスケントの体を突き通って、そのまま進み、壁を壊す。

建物全体がしばらく揺れる。


「何とかここが崩れない線でよく調節したな。よかった。

これくらいなら防音魔法も耐えてくれたんだろうな?」


そしてスケントの身が崩れる。


「リーダー?!」


他の疾風メンバーたちが飛びかかろうとする。


「止まれ!まだ生きているこいつを殺したくないなら!」


すぐ魔法弾を作ってスケントをねらう。

これを見て黒い疾風のメンバーたちがその場に止まる。


「さあ、交渉を初めようか。」


俺の声に再び皆の目が俺に集まる。


「今この人、心臓が止まった。

強靭な男だから一般人よりはもう少し長く持ち堪えるけど…

5分以内に治療しないと後遺症から始まって、10分以内に死亡するだろう。

それにやけどまで。」


俺の話に疾風のメンバーたちが動揺する。


「最初のお前たちの動きを見て分かった。

魔法系のやつはいないみたいだな。

多分、今こいつを回復させることができる人はお前たちの中にはいないよな?


交渉はこれだ。

ここにあるオフィリアは聖職者だ。

お前たちのリーダーを生かすのができる。


こいつを生かしてやるから素直に負けを認めてこれ以上俺たちを邪魔するな。

受け入れるなら俺たちもお前たちにこれ以上干渉しない。

お前たちはあいつに雇われてまじめに働いただけだから。

汚いことだったけどさ…


受け入れないなら、こいつは死ぬし、お前らの安全も保障できない。

さあ、時間はあまりないぞ?早く決めてくれ。」


笑いながら脅迫の言葉を言う。

俺の言葉におびえたように疾風のメンバーたちが後ずさりする。


「何してるんだ!金を貰ったら仕事をやれ!こいつらを捕まえ!」


ナセルがこれを見て大声を出すが、


「お金も生きていてこそ使えるんだ。どういうことか分かるよな?」


さらに凄まじい脅迫が続く。


疾風のメンバーたちが悩んでいる。

大体どのような考えなのかは見える。


残りの奴らもA級だといったけ。

十分な実力者だ。

拒絶の場合は4人で襲いかかって、仲間たちのうちの1人を確実に人質に取るつもりだろう。

今の状況では最も効果的な方法だ。

そしてそう決心したように、仲間に向かって歩るく。

でも···


「おいおい、やめろよ。言葉だけでは聞き取れないんだぞ?」


今まで立ったまま居眠りしていたルメナが前に出る。

居眠りしながらも全部聞いたようだ。


「こうやって見せてやらないと…な!」


魔力を放出するルメナ。

強力な衝撃波が発生する。

魔法を使ったわけでもない。魔法を使うための単純な準備動作。

それだけでも攻撃になってしまう。

俺が戦った時に使った魔力とは比べ物にならない魔力量。


「どう?あえて戦いたいなら、私が全部相手にしてやるよ。」


いくら魔法系列がなくてもこの程度の魔法量なら、どれだけ強いかはA級なら分からないはずがない。

いつしか皆の束縛も絶えている。

近づいてきた足取りが後ずさりに変わる。


「あいつら、一体なんだ!?なんであんなばけものが!?」

「誰があんな奴らを人質にとろうと言ったんだ!?」

「俺じゃない。」

「ばかめ! 聞こえてるじゃないか!」


「先に質問したのは私たちなのに。受け入れるの?じゃないと私と戦いたい?」


「アドバイスすると、こいつ、性格が本当に悪いんだ。早く決めるほうがいいよ。」


「本当に私の性格通り、お前から叱る前に黙れよ、クリス。」


リーダーに圧倒的に勝った男。

その男を飛び越えた魔力を放つ女。

勝ち目がない。


今、ルメナの力に戦意が完全に折れた。

さっきのロブレンという男が剣を俺の方に投げる。


「降伏する…リーダーを治療してくれ。」


「てめえら!」


怒るナセルを無視してオフィーリアに言う。


「オフィーリア、頼むよ。」


オフィーリアが直ちにスケントに杖を差し伸べる。


カドゥケウス(脫業再生術)


オフィーリアの魔法とともに焼けた跡が消え、息が引き返して来る。

体の端が少しずつ動き出す。


「ふうぅ…」


「リーダー、大丈夫か!?」


「今呼吸するのを見たじゃないか。

多分俺と戦いする前よりもっと元気になったはずよ。」


「何だと?」


「今の回復魔法のおかげで持っていた細かいな体の問題も全部解決したというわけさ。

疲労とか、関節炎とか。」


「そんなことができるんだと?!」


「それができるのがオフィーリアなんだ。」


「褒めすぎです。恥ずかしいですね。」


スケントをメンバーたちに投げる。

死ぬ寸前だった人に対する扱いではないが、今ではそうではない。


「リーダー!気がついたか?!」


「うぅ···俺って生きてるのか?なんだか、体が軽いんだが…

死んで魂になればこんなことになるのか…?」


疾風のメンバーたちが喜び半分、あきれた半分が込められた表情をする。


「さて、それではお前たちも約束を守ってくれ?」


俺の言葉に疾風のメンバーたちがナセルを見る。

ナセルはたいへん緊張した顔で叫ぶ。


「おまえたちの団長もまた取り戻したじゃないか!邪魔物はもうないだろ!

もう捕まえなくてもいいから殺せ!報酬は普段の10倍にあげるから!」


「さっき言ったことをまた言ってあげようか?お金も命が…」


ロブレンという男が俺に聞く。


「本当に追撃しないのか…?」


「治療してあげてはまた倒す悪趣味はない。」


「…これまでありがとうございました。ナセルさん。

この時間から契約を終了します。」


疾風のメンバーたちがスケントを連れて、ナセルから背を向ける。

自分に逆らった兵器に叫ぶ。


「笑わせんな、食虫どもめ!

こんなにしろと今まで高いお金をかけて雇ったと思っているのか?!」


「きっといつでも発つことができる条件で、各件数手当てとして受け取る契約だったじゃないですか。」


「こんな状況で雇い主を捨てたらお前たちを雇う奴らがいるのかと!?」


「何と言っても終わりだ!

あんな奴とけんかするのはいくらもらっても割が合わない!」


黒い疾風のメンバーたちが,スケントを背負ってナセルから背を向ける。


「待てろ! 戻れ!20倍、20倍だ!20倍をあげるから早く!」


せっぱ詰まるナセルに向かって振り向きもしないで地下を去る。

黒い疾風は去った。

そして残されたものはナセルと、A級を圧倒する実力を持つ謎の集団。


あくまで親切で優しい口調で


「俺たちだけ残ったね」


「ウアアアア!」


「さあ、おとなしくついてこい。」


脅迫を始める。

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