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ほらふきのイデア  作者: カナマナマ
第 四章『冒険者はいつも面倒の連続』
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4-9 濡れ衣



俺はちょっとした人たちの集まる所にうわさをばらまいてきた。

他の旅館とか、飲み屋とか。

旅館の戻ったらルメナとオフィーリアも戻っていた。


「お疲れ様。」


「クリスさんも。」


「 ヤア~思ったより楽しかったね。」


そうか、よかったな。おもしろかったって。

…え?

面白かった…?


「私が行ったところが貧民街の片隅だったようで、ごろつきたちがあふれていたよ。

お金を少しあげたら、すぐ私を姉上と呼ぶんでさ。」


「事故を起こしたんじゃねよな?」


「…そうね。」


絶対あったな、これ。

ルメナの頬をつねる。


「早く言え!」


「最初はお金で懐柔しようとしたのに、バカな連中が私から奪おうとするんじゃない!

それで一発食わせてくれておとなしくなるようにした!

正当防衛だったよ!だからやめて!」


「暴走して、大騒動を起こしたんじゃないよな?」


「一番与し易い奴らを選んでそうしたのよ。

それくらいは夕方の食事後の運動にもならないよ。

そして、お金で口止めもちゃんとしておいたし。」


…問題はならないと思う。

さっき俺があげたお金は20万リデム。

その金なら、町のチンピラを操るには十分だ。

ボスに勝ったのだから、食ってかかることは考えないだろうし…


「思ったよりずっとよくしてくれたね。」


「お前、時々忘れてるようだけど、私が天才と呼ばれてきたことを忘れた?」


ルメナはこの辺にして…

次はオフィーリアか?


「私は…」


「いや、言わなくていいよ。

オフィーリアなら何とかうまくやってくれただろう。」


「えっ?!」


「さあ、みんなお疲れさま。じゃ、寝ようか?」


「こ…この…」


「うん?オフィーリア?」


「このバカ!」


「クエッ!」


杖の先端で俺の腹を突くオフィーリア。

それからすねたように部屋に入ってしまう。


「俺...何か悪いことでもした…?

今度は本当にどうして殴られたのか分からないけど…?」


「女心もろくに知らないくせに、どうやって毎回、そんなに心理戦は成功させるのか分からないわけね…」


「そういうお前は理由を知ってる?」


「ぱっと見ても『頑張ったから褒めてください』と言うつもりだったのに、お前みたいな鈍感な奴に気付くわけがないよね。」


「…お前はどうして分かる?」


「女だから。」


「言だけ女で、やることは…」


「今刺されたところ、もう一度刺されたいの?」


それは遠慮したいから無視して、オフィーリアをなだめよう。



「入ってもいい?」


「…なんでしょうか?」


「えっと…やっぱり聞いておくのがいいと思ってさ…

どうやったのか聞かせてくれる?」


「お入りください。」


まだほおを膨らませているオフィーリア。

そんなに腹立つことだったかよ…


「じゃあ、言ってくれる…?」


「行ってきたのは鍛冶屋と魔法商店。

私との戦闘で、剣が折れてしまったんですから。

でも、そんな幻影魔法を使うなら、魔法使いの可能性も排除できません。


剣術者系クラスなら武器の手入れのために、逆に魔法系なら魔法商店に。

たぶん、どちらは整備のために立ち寄るんでしょう。

なら、わざとそんなところに噂を広めたほうが耳に届きやすいでしょう。」


それはなかなかの考えだ。

うわさを広めるには旅館やギルドの建物などがいいのですが、そんな怪しいやつが人の集まりにずっといるとは思わない。

また多数の人を通じた噂はルメナがしておいたから。

それなら、数は少なくても妥当な理由がありそうな所にうわさを広める。


「広め方はものを一つずつ買いながら、私が観衆だったみたいに言っていました。

たまに本当の観衆だった人たちもいたけど、あの人たちにはただ噂通りに話してくれたし。」


「やっぱりよくやってくれたじゃないか。聞く必要なかった。」


「‥‥本当にそれで終わりですか?」


「はいはい、よくしてくれました~」


頭をなでなでしてやる。


「最初からこうだったらよかったじゃないですか…」


「信じてくれたことが不満だった?」


「そんなものは男たちだけで通用するものです。」


「うんうん、俺が悪かった。次からはちゃんと褒めてあげるから。」


「…えへへ」


「気持ちが抜けたら、もう寝ようぜ。

明日にでも、えさに食いつくかもしれないから。」


「おやすみなさい。」


「おやすみ。」


女心って分かりにくいな…



---------------------------------------------------



明くる日になって、ある噂が立ち回る。


「聞いたか?あの噂?」

「本当なら俺たちがやってみようか?」

「待って、そんなことをしたやつだ。普通のやつだと思う?」


「うるさい…」


テラはフードをまとって姿を消したまま、街中を歩いている。

通りが妙にうるさいが、自分が気にすることではない。


鍛冶屋は向こうか…

昨日の戦闘で、剣がかなり傷んでいた。

鍛冶屋を訪れるしかない。


昨日のことなら、いったいあの女は何だったんだろう。

実力もあったが、それ以上のプレッシャーがあった。

昨日の勝利もまぐれ当たりだった。

剣もいない状態で、もうちょっとやったら…


…気にするのはやめよう。

そんなことに気を使う余裕はない。

鍛冶屋をさがして入る。


「いらっしゃいませ。」


「刀を手入れしたいですが。」


「刀を…?まさか…

いや、違うだろうな」


「何か問題でも?」


「あんたも知ってるよな?アルデンの大事件。

その犯人がここに現れたといううわさが昨日から出回り始めたよ。

そしてあの犯人が昨日冒険者試験に現れたそうだ。

昨日優勝した男が有力容疑者だと見られている。

名前が確かにテラだっけ?」


?!

評点を失うところだった。

心を落ち着かせて落ち着いて聞いてみる。


「その人という根拠は?」


「昨日、F級とは思えない凄まじい実力を見せてくれたんだって?

そんな実力者がF級なら怪しいだろう。

うわさによると身分をだますために冒険者の資格を発給してもらおうという考えみたい。

あえてここまで来て偽造した理由は早くE級になるため。

F級では動きに制約があるから。」


「…それならE級資格だけ扱って去ったんでしょう。

あえて優勝までして、目立つ必要がありますか?」


「詳しいことはわからないが推測はあるよな。

わざわざリスクのない場で力を見せ、脅したという推測。

もう一つはE級よりはD級の方がどうしても疑われなくなるだろうから。

E級も十分に新参だけど、D級からは新参という言葉は聞かなくなるから。」


あぶない。

なんでこんな噂が…


「にいさんも気をつけろって。そんな化け物みたいなやつに会わないように。」


「さっきは私を疑ったようでしたけど?」


「まあ、剣もそうだし、人相と服装が似てはいるんだけど。

こんな噂が広がったのに歩き回らなければならないのか。

それに、そんな金を持っているんだったら、こんなボロボロな所じゃなくて、飲み屋でお嬢さんたちとお酒を飲みながら遊んでいるんだろう。」


「楽天的ですね…

剣の修理はやめます。

新しいものを買います。」


「うん、大丈夫?」


「そんな奴がいるなら早く身を守るべきですから。」


「その通りだな。一つ選んでみろ。」


適当な剣を一つ買ってすぐ抜け出す。

出るや否や舌打ちをする。


「しくじった。プライドを掲げるものではなかった。」


とんでもないうわさだ。

アルデンはいままで いったこともないし、いってみたくもない。

重要なことをする中でこんなことが起こるとは。


俺に気づかなかったのは単純な幸運だ。

少しでも疑い深い人だったら、自分であることがばれた。


こんな状況で仕事を進めるのは不可能だ。

可能な方法は二つ。

うわさが収まるまで待ったり、でなければうわさのもとをさがして壊すか。


うわさの蓋然性が足りない。

自然に広まったうわさにはもっともらしい理由がたくさんある.

しかし、この噂は単にF級試験で強さを見せたことに起因する。


これだけでは蓋然性がたりない。

F級でも確かに実力のある奴らがいたし、あの女はなおさらだった。

ところが、あえて自分だけが噂の的になった。

このような場合はほとんど一つの結論だけが残る。


だれかが悪意を持って自分に狙いをつけてうわさをまき散らした。


誰が?

昨日のことを除けば目に見えることは全くしなかった。

ということは、昨日の試験と関連した人である可能性が高い。


一応俺のせいで賭けに敗れた人。

お金を失った恨みにそうすることもある。


しかし、その程度の恨みで、ここまで事を進めることができるだろうか。

可能性は低いが、だからといって最初からないわけではない。


もう一人は俺に敗れた人。

敗北の恨みから俺にこんなことをする。


しかし、全員に圧倒的な実力で勝利した。

人はそれほど圧倒的な力を前にしてば反旗を翻すことができない。

ただし、一人は例外だ。


あの女…

最も可能性が高い人はやはりそちらだ。


今すぐ調査を始めたいが、慎重でなければならない。

ややもすればすべてが駄目になる。


とりあえず貧民街の方に隠れるか…

そこなら隠れるところも多いし、もしもの場合、武力を使っても大丈夫だろう。

テラがフードをさらにかぶって足を運ぶ。

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