表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ほらふきのイデア  作者: カナマナマ
第 四章『冒険者はいつも面倒の連続』
62/90

4-5 池のサメ

「身なりからすれば聖職者か。決闘に有利なクラスではないね。」

「聖職者はあくまでパーティーのサポータだから。」

「それにこんなけんかは一度もしたことなさそうな女だなんて、勝負決まったな。」


周りの観衆が気ままに騒ぐ。

賭け事をかけた人は可哀想だな…


「女の方へ。」


「あんた本当のギャンブラーだな。あの女にかけるなんて。」


「それでは、両側用意!」


相手は短刀を両手に持っている。

たぶんシーフ系だろう。


「はじめ!」


迷いなく、相手が飛びかかってくる。

オフィーリアはその場にじっと立っているだけだ。


オフィーリアの腕を狙う相手。

短刀を振りかざすが、あまりにも当たり前のように塞がれた。


「うう! くずめ!」

「女を相手に先制攻撃か!」


観衆が今度も勝手に揶揄している。

攻撃した当事者は驚いて気を失うところだったのに。

反動で倒れるところだったのをやっとバランスを取った。


「なんだ、それ?どうやって防いだんだ?」


「ただの魔法の防壁なんですけど…」


「ふざけんな!その程度の魔法防壁ができるんだと?!」


今オフィーリアが作った魔法の防壁はオフィーリア基準では基本中の基本なものだ。

まるで呼吸するように。

ただ、その基準の基本がC級魔法使いのレベルだということだけど。


「あ!これよりもっといい加減にすべきかな?」


「何に?!なめてんのかよ?!」


「いえ、そうじゃなくて…」


「じゃ、これも食い止めてみろ!」


口ではそう言ったものの、F級の見習い。

まともなスキルも、魔法も使わないまま気合いだけでオフィーリアに攻撃を仕掛ける。

もちろん、それで防御を取り壊すことはできない。


「うーん、今まで防いだらそろそろ大丈夫でしょうね?

ごめんなさい。」


そして相手に杖を向けるオフィーリア。

それとともに衝撃波が起こる。

たった一度で競技場の外に押し出されてしまう相手。

場内が静まり返る。


「勝者、オフィーリア!」


そして、勝利宣言とともに場内が熱くなる。


「すごいな、お嬢さん!」

「ちくしょう、あの女にかけるのがよかった!」


観衆の歓呼の声が響くが、それとは別にオフィーリアは呆然と立っている。


「2~3回の攻撃で勝つということを忘れました…」


一度ぐらいは大丈夫だろう。

オピリアの相手、動きは悪くなかった。

おそらくオフィーリアが相手でなかったら今日E級になっていたはずだ。

ただ、今の圧倒的な実力差とF級の昇級試合という要素が合わされば、あの男が弱すぎて負けたと勝手に勘違いしてくれるんだろう。

実際、観客席では歓呼の間に揶揄の声も混じっている。

悪いことをやってしまったな。


オフィーリアは再び選手控え室に入る。

出直すにはしばらくかかりそうだな。


その後もトーナメントは続く。

オフィーリアの試合以来3試合が経過した。



「‥‥すべて失った。」


3試合の実力差は互角。

なら本当のギャンブルをするしかないが、その結果は…


「3戦3敗なんて、やっぱりギャンブルは俺には合わない。」


そして1回戦の最後の試合。


「コックス・シンクvsテラ・クロム」


今回の勝負はかけないことにした。

運ばかり消耗している感じだ。


「はじめ!」


試合の始まり。

そしてたったの一手だった。

コックスという男は倒れていた。


「‥‥試合終了!勝者はテラ!」


観衆がざわめく。

何が起こったのかまともに見たのはこの中では俺だけか。


コックスが飛びかかるとすぐカウンター。

攻撃をかわした後、正に首筋をねらって、剣の取っ手で殴った。


正確な回避と正確な攻撃。

そして余裕まで。

決勝対陣が決まったな。


たった一度の攻撃で終わった試合なので、正確な実力を予測することはできなかったが、F級に止まっているべきの男ではないのは確かだ。

何の理由で、今になってF級の試験を…


「ではさっそく2回戦を始めます!」


早いね。

体力と持久力も試験の要素ということか。

第1戦の勝者たちが上がってくる。


「今回は場外ルールがありません。

本気の実力を発揮してください。」


1回戦の勝者と2回戦の勝者が出る。

さっきの実力を見たので誰が勝者かは分かっている。

また稼ってみようか。


「おじさん、2番試合の勝者に1000リデム。」


勝負を見ると案の定、5分後に勝負がついた。


「お疲れ様でした!

応援してくれたみなさんもありがとう!」


勝った方は俺がかけた方。

魔法使いの女性だ。


観衆の方を見ると歓呼が大きい。

女王蜂でもなるのかよ…

ならば、なぜF級でいたのか、その理由が予想になる。

まあ、俺の知ることじゃね。


次の試合はオフィーリアの番。

大いなる歓声がとどろく。

観衆全体が歓呼している。


人気満点だな。

外見と共に、さっき見せてくれた実力まで。

あっという間にスターになった。


当の本人は全く気にしていないけど。

静かに相手を見ながら何かを呟いている。

口の動きを読んでみると…


「防御10回以上して攻撃3回…防御が10回以上で、攻撃が3回…」


全試合をまだ気にしていたようだ。

誠実すぎるのも問題だ。


「両選手、前へ!はじめ!」


先のオフィーリアの戦闘を見たからか。

容易に飛びかかってこない相手。

オフィーリアが当惑したようだ。


「あれ…?このままじゃ…

あの…攻撃しないんですか?」


「さっき全部見た!そう言いながらカウンターを食べさせようとしてるんじゃねか!

俺が逆にそうしてやる!かかってみろ!」


「どうしよう…」


攻略法は簡単だが、あの真面目な子には思い浮かばないだろうか。

ああしていて本当の実力を見せたら大変だ。

今度一度だけ手伝ってあげようか。


テレパシー(心伝音)


「獲物がわなに来ないなら、えさを追加しなくちゃ。」


「クリ…」


「しっ…テレパシーだから聞くだけに。

ただ杖で殴って攻撃しろ。

物理攻撃力のバフは使わずに。

そうしたら向こうから勝手に勘違いして飛びかかってくるはずよ。

こういうときは逆に考えてみることもやってみるのさ。」


相手は盾を使う剣士。

防御中心の戦法であり、自信があるはずだ。


「‥‥じゃ、こっちから行きます!」


オフィーリアが相手に飛びかかる。


…可愛い。

すねた子が親に駄々をこねる感じというか。

毎回『エイ!エイ!』と気合いを入れて、盾を打つオフィーリア。


「せいぜいこれだったか?!」


オフィーリアを見下し始める。

盾でオフィーリアの攻撃を押しのける。


「ちくしょう! いらなくびびったじゃねか!」


直ちに攻撃態勢に転換する。

オフィーリアは当然、再び防御すればそれで済む。

先ほど言ったのが効果があるようだ。

自ら少しずつ後ろに下がって、まるで攻撃に押し出されるように見えている。


「もらった!」


「このくらいなら大丈夫でしょう?」


そしてオフィーリアが相手を杖で押しのける。

身体強化魔法を使ってたら終わらせるつもりだな。


「やっぱり実力を隠していたのか?!」

こいつ、よくもだました…」


しかし、何かをする前に倒れてしまう。

倒れる相手に杖をねらって、杖でとどめをしたように演出するオフィーリア。



「…勝者はオフィーリア!」


ややあっけない勝負に勝利宣言が遅れたが、宣言とともに再び歓声が響く。


「すごいな、あの姉さん!」

「魔法使いじゃなかったか?武術もなかなかだね。」

「E級おめでとう!」

「俺たちのパーティーに入るよう誘ってみよう!」


今、オフィーリアが使った魔法は睡眠魔法。

そのまま寝かせてしまったのだ。

人の目には気絶に見えるが…

オフィーリアが観客席に腰を曲げ、私の方に一度目を向けた後、控え室に入る。


「今の目、約束を守らないなら殺すという目だった…!」


お祝いパーティーをするべきか、それともプレゼントをあげるべきか。

アルデンヌでの悪夢がもう一度再現されようとしている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ