3-15 探索戦
「ここからもうこんな状況か。」
すでに王宮に向かう道から停滞が始まった。
しられたビッグイベントのため、シュベルテナにいる全ての貴族が集結する中だ。
それだけでなく、平民たちも目につく。
恐らく貴族たちの依頼で仕事をしているのだろう。
「6時以内に入れますでしょうか?」
ニコラが心配そうに問う。
「俺たちの時間が問題じゃない。アルベルトの連中らがいつ来るかが問題だ。
でもそれが大きな問題にはならないだろう。単に作戦成功率がやや差がある程度?」
「どれくらいですか?」
「早く来たら99%、遅く来たら98%」
「...自信が溢れていますね。」
「自信ではなく、絶対通じる作戦を立てただけだ。」
少しずつ馬車が進み、正確に6時の鐘が鳴ると舞踏会場に着く。
入りながらルメナとも、も一度作戦を検討する。
「いつもより余裕がなかったけどいいように来たね。」
「あいつらはまだ、こなかったみたいだな。
その準備をしてくるには時間がかなりかかるだろう。」
「秘密が漏れた場合はないだろうね?」
「違うと確信している。それだけの根拠はあるから。」
「お前は本当に最高の悪党だよ。」
「ほめ言葉ありがとう。」
舞踏会場に入るのにもいつもより長い時間がかかった。
もう舞踏会場は満員だ。
そして他の時よりも早く、貴族たちが接近する。
「お噂を聞きました、ニコラ様。オフィーリア様のご婚約おめでとうございます。」
「オフィーリア様にどんな方だという話を聞きませんでしたか?」
「オフィリア様はご一緒においでにならなかったでしょうか?」
困っているニコラをルメナが取り出してくる。
貴族たちにルメナが小悪魔の笑みを浮かべながら話す。
「今夜最高のショーがあるから楽しみにしていてください。」
そして、すぐに人のいない所に行く。
「人が多すぎて目がグルグルよ。」
「貴族だけじゃなくて今日はプレゼントを持ってきた侍從たちもいるはずだから。」
「こうでなくてもお前のせいで疲れてるのに人までこうなんだから吐きそう。始まったら呼んでくれよ。」
俺も時間が残っているので、武道会場を一度見回ってくる。
先より、足を踏み入れることさえままならないほど人々が押し寄せている。
「なるほど、悪くないそうに集まったようだな。」
「予想通りですか?」
「まあ、そうだな。貴族が考え方はうんざりするほどよく知っているって。」
そしたらそろそろ来るころなのに。
アルベルト一味も遅く来ることはできない。
なぜなら俺がそうするしかないように作ったから。
言葉が終わるや否やセルジオが入ってくる。
疲れて見えるが活力があるように見える。
自分がオフィーリアを得るという自信を持っているように。
そして、その自信ほど俺の笑顔が大きくなる。
外でも騒ぎが起きたようだ。
作戦はうまく進めている。
こいつがきたら、他の奴らも順に来るだろう。
続いてフェルナンドが登場する。
これと共にセルジオは外に出ようとする。
フェルナンドが少し変数ではあるが…
少し心配事があったがすぐ安心する。
フェルナンドの自信満々な表情。
悪くない。
最後にアベルが到着した。
二人とは違って少し毒気に満ちた顔だ。
絶対負けないという意志が明らかな顔だ。
あの顔もそれなりにおもしろい。
「よし。うまくいているようだな。」
まもなくアルベルトも来るだろう。
案の定、アルベルトが到着する。
いままで奴らとは違う、勝利者が作る表情だ。
すぐに求婚者グループに行く。
「今日一人だけが選ばれるけど、それは俺のせいじゃないから。どうかこれからもいい関係をお願いするよ」
「それは心配するな。」
「オフィリアを離れて君たちだけでも最高のコネクションだから。」
「俺たちの未来のために祝杯を。」
酒を飲んでながらお祝いをしている四人。
そこに俺が近付く。
俺を見て表情がこわばったが、すぐにあざ笑う表情に変わる。
「楽しそうですね。」
「来たな、番犬。ニコラはどこに置いてお前一人だ?」
「もう一人が守っているのでご安心を。」
4人の顔をゆっくりと見回す。
今の表情はもう見られないだろう。
「お仲がよさそうですね」
「当然だ。血より濃い男たちの友情で結ばれているんだから。」
アルベルトの言につい笑ってしまう。
「何が面白いんだ?」
「あなたの血はただの石を煮込んだ出汁よりも薄いようですが。
妹を売り飛ばした人間が「血」云々するなんて、本当におかしいですね。」
「....」
「そんな血より濃いならどんなにすごいことでしょうか。立派な友情ですね。」
「...今日婚約式が終わったら必ずお前を殺してやる。
もしオフィリアやニコラが君を保護してくれると信じているなら錯覚だ。
オフィーリアはもう俺の手の中にいて、ニコラなんかがてめえを守ってやると思うか?」
ほかの奴らも一言ずつ口を添える。
「今でも逃げたほうがいいよ。」
「私も一緒に殺しに行くかもな。」
「こんなアホは初めて見た。」
本当に安心になる。
これから処理すべきゴミが、救いようのないゴミで。
「今日12時に3人のうち1人が選ばれるというのは聞きました。
祝賀ショーを行いますのでご期待ください。」
そして彼らから離れる。
次の作戦をやっておかないと。
ニコラとルメナのところへ行く。
「俺が言ったとおりにはしておいた?」
「ある程度はしておいた。もうだんだん広がっていくよ。」
「よし、じゃ一度点検してこようか。」
舞踏会場から3人がしばらく姿を消すが、この混雑した舞踏会でそれを気づいた人はいなかった。
---------------------
そして、そんな中、8時ごろだろうか。
馬車が一つたどり着いた。
馬車から出る人はオフィーリア。
会場が沸き立つ。
「オフィーリア様だ!」
「ご結婚おめでとうございます!」
「ご主人はお決めですか?」
すべての声を無視して舞踏会場に進む。
その前をアルベルト一味が阻む。
「来たな、妹よ。」
「黙ってください、ゴミ。」
「おっと、こわいなぁ。そうすれじゃ結婚して夫に可愛がられないぞ?」
「あなたに可愛がられたいという思いも、主人に可愛がられたいという思いも全然ありません。」
「もうお兄樣と呼ぶのもやめたか。」
そしてオフィーリアをからかうように笑う。
「まあ、かまわないか。
とにかく、もしへんなかんがえをしているならやめろ。
まっかなウエディングドレスを着たい気持ちがないなら。
賢くて優しいな君なら、どういう意味か理解できるだろう?」
オフィリアが背を向けると、残り3人は非常に丁重な態度を維持している。
「今夜楽しみにしていただいてください。」
「突然だったですが、オフィーリア様らしいというか。」
「やっぱり私が惚れた女性らしいですね。」
「...?」
「それでは今夜をお楽しみしてください。」
これ以上彼らと一緒にいたくなくて抜け出したが、言葉の中で気にかかることがある。
フェルナンドが言った言葉の中で。
「突然だなんて… 何が?」
今日は何もせずに無気力に時間を棒に振った。
悲しむ以外は何もしなかった。
むしろ私があの男たちのせいで、こんな羽目になったのに。
何が突然だというんだ?
「…今さら考えても始まらないね。」
4時間後にすべてが終わる。
逃れられない足かせがはめられる。
気が付けば、貴族たちが周りに集まってくる。
どんな目的かは明らかだ。
おぞましい人たち…
「姉上は用意することが多いので、おっしゃりたいことは私を通してください。」
いつの間にかニコラがそばに来ている。
「ニコラ…」
「本当におめでとうございます、姉上。」
「?」
この子は何を言ってるんだ?
私の心情を一番よく分かっている子が。
「お楽しみにしてください。」
「…?!
君、まさかここで何をしでかすつもり?」
「そうですね。」
「やめなさい。 そんなことになったらあの人たちが黙っていないよ。」
「ご心配なことは起こりません。心配しないでください。」
「姉上のために持ってきたプレゼントは私と私の護衛に預けてください。
もちろん必ず覚えておきます。」
そして他の貴族を統制する。
そして貴族たちの贈り物を1ヶ所に集めている。
「…あの子はいったい何を。」
一体どんな考えなんだろう。
もし乱暴でもして婚約を止めようとするなら止めなければならない。
その報復としてどんなことをするか知っているから。
しかし、そのような気配は見えない。
そもそもこのような場所で婚約を防ぐような大騒ぎを起こすことからあの子には無理だ。
…心配はやめることにする。
いざとなったら私が直接前に出ることにして。
これからは気を引き締めるしかない。
そうして時計の針は9時を指していて鐘が鳴る。
これから残った時間は3時間。
次の鐘が鳴るとき、すべてが終わる。




