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ほらふきのイデア  作者: カナマナマ
第 三章 『愛する君だから』
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3-12 挑発

ルメナだけを呼び出して、人通りのない所に行く。

ルメナが先に話を切り出す。


「で、舞踏会に行くのはやめる?

追いかけていくつもりじゃない?」


「アルベルトが舞踏会に出るなら行ってみるべきだ。

直接に聞いてみないと。」


「もし来ないなら?」


「それなら昨日アルベルトが羅列した名前のやつらに接近してみるつもりだ。

たぶんオフィーリアとの結婚を狙う奴らだ。つまりアルベルトの助力者。」


「結局舞踏会に行くんだね。」


今、オフィーリアを探しても、勝手に割りこむことはできない。

どんなことなのかはっきり分からない以上、余計に負担をかけるだけだ。


「とにかく屋敷へ帰ろう。」



とりあえず早く屋敷に戻る。

メイドさんが驚いたように尋ねる。


「あれ?今日オフィーリア様と一緒にお帰りになる予定だったんじゃないですか?」

それはつまりオフィーリアは家に帰ってこなかったということ。


「アルベルト様は?」


「アルベルト様も今日、家にお帰りになりませんでした。」


それならたぶん今頃、オフィーリアはアルベルトを探しているだろう。

わざとアルベルトの方からオフィーリアを避けることもできるが…

それで済むといいんだが。

予感がよくない。


「とりあえず舞踏会場に向かおう。早めに準備を。」


すぐ王宮に向かう。

王宮に到着するまでにも気持ちが落ち着かない。

それに人はなんでこんなに多いんだ?

ニコラに聞いてみる。


「なんか昨日より人が多くないですか?」


「たぶん姉上が昨日いらっしゃったのが影響があると思います。

昨日舞踏会に出る前まではずっと修道院にだけいらっしゃったんですから。」


「…あの人たちは結局、今日は無駄足だな。」


ホールの前に着いたが、時間はまだ残っている。

考えを整理できる貴重な時間だ。


一応、アルベルトが来る可能性は半々。

手紙の内容が何なのか分からないが対面を望んでいたかも知れないし。

もちろん、オフィーリアの表情から見て、決して何ともない内容ではない。

脅迫の可能性が高い。

最悪の場合にはオフィーリアと実際に戦闘中かもしれない。


逆に来る場合は、自分の助力者たちとの会議。

手紙の内容はオフィリアが結婚を断れないようにする内容。

そして、それをその候補群と話しするだろう。

逆に断られた場合には、次の作戦を議論するために、ここにくる。


来なくても残り3人から情報を聞く。

昨日の情報のおかげで、どんな奴らが助力者なのかは把握しておいた。

アルベルトがいなければ、接近して情報を盗むのは簡単だ。


どんな場合でも話を聞く。

それだけなのに。


俺は怒りを堪えることができるか…


「ルメナ、一つお願いしてもいい…?」


「なに?」


「もし俺が理性を失いそうになったら、気絶させる覚悟で俺をぶっ飛ばせ。」


「そんな頼みならいくらでも聞いてやるよ。死なない程度にだけ飛ばしてあげる。」


「お前にこんなお願いをするなんて、バカみたいね。」


いつの間にか鐘が鳴る。

6時がなって入場が始まる。

まだアルベルトと求婚者の方は見当たらない。


昨日のように入って、まもなくニコラの方に人々が押し寄せる。

昨日と同じパターンだが、違うところがあるとしたら、昨日よりもっと多くの人たちだということ。

女性は昨日のようにパートナーの頼みの方だが、男性は違う。

一様にオフィーリアについて質問している。

ニコラに頼む。


「申し訳ありませんが、今日はほかの人たちとはできるだけ接触しないでください。」


「知っています。」


昨日は確か8時に来たから、今日もその頃だと思った。

予想は外れた。

時計は7時を指している時に誰かが来た。


「フェルナンド様!」


…アルベルトじゃないんだ。

でもあいつが来たというのは、他のやつらもそろそろ来る頃か。


この予想は間違っていなかった。

続いてセルジオという奴が来た。


そして、ついにアベルという男と一緒にアルベルトが入ってくる。


結局来た?

うわべから見て争いの跡は見えない。

むしろ表情から余裕さえ感じられる。

オフィーリアとは会わなかったのか。


なら、あいつが来た理由は何だ?

オフィーリアに対する脅迫がうまく通じて、それを知らせに来たのだろうか。

それとも通じなかったから次の作戦を議論しようとしているのだろうか。


…我慢しよう。

このまま走っていって胸ぐらをつかんで聞くことはできない。


「ニコラ様、お願いしてもよろしいですか?」



当然あの四人には人々が寄り集まった。

しかし、少しずつお互いの距離が縮まっていく。

そしてついにその4人が会うことになった。


待つ。

まだ人々が集まっているので本論は話さないだろう。

しばらくして人々が退く気配が見える。

今だ。


「ニコラ様、ご用意してください。」


「…わかりました。」


ついに彼4人だけが残った。

話が始まるのを見てニコラが動き出すと,俺もついて行く。


「兄上、いらっしゃいましたね。」


「ニコラか。」

「久しぶりだね、ニコラ。」

「背が高くなった?」

「お変わりないか?」


これからが始まりだ。


「さっき姉上が兄上の手紙を見てどこかに行ってたんですが、もしかして何の手紙でしたか?」


ニコラの口を借りて俺が言いたいことを質問する。

この言葉にアルベルトは不気味な笑みを浮かべる。

そして隠そうとする様子もなく話す。


「そうだな、たぶん明日にはこの中の一人が君の義兄になるぞ。」


「それはどういう…」


「オフィリアが手紙を読んですぐ聖騎士団にやってきた。

少し騒がしかったが、すぐに静かになって去ってたな。」


「兄上、まさか本当に…」


「明日になればわかるはずだから楽しみにしていろ。」



「そんなにお嫌いな結婚を急になさるなんて。

皆さんが脅迫でもしたようですね。」


思わず出てしまった。

この言葉にアルベルトが不満を表わしている。

だが、一度暴走した口は止まらない。


「…言葉に気をつけろ。番犬なんかが。」


「ここにいらっしゃる他の方々もおそらく助けてあげたり、すくなくともご存知なはずでしょう。」


「なんでそう思うんだ?」

フェルナンドという男が聞く。


「オフィーリア様を愛するのではなく、オフィーリア様がもたらす利益を愛する方々ですから。」


「てめえ!」


アルベルトが飛び掛ろうとするのをフェルナンドが阻止する。

そして俺に問いかけてくる。


「何のことか説明してほしいんだけど?私たちはただオフィーリア樣のことを愛するだけだ。

そんな美しい女に惚れないのがおかしいじゃない?」


「それも理由ですが美しい女は多いです。あえてオフィーリア様である理由なら、3人とも違うと思いますが。」


「では聞いてもらおうか?」



「まずセルジオ様とおっしゃいましたか?

若くして中央軍の第4軍を任されたが、家門の力がそれほど強くはなかったですね。

元商人で金の力で貴族の地位を得た家柄。

もちろん経験の問題もあるでしょうが、そのため、現在進級に困難がある状態。


聖女で大貴族の一人娘。そのような女性と結婚するなら、総司令官も狙えるようになるでしょう。

もしかするとそれを越える位置も。



フェルナンド様は第二王子ですよね?

王の才能に恵まれているという方。

ところで第一王子様がそんなに有能な方ではなかったですね。

だからといって無能でもないが。


多分我慢できないでしょう。

そんな人が自分を抜いて王位を継ぐということが。


だが自分の能力だけでは長男という条件に勝てない状態。

このような状況で国一の人気と尊敬を一身に受けている女性との結婚。

そうなると民は次の王として誰を支持してくれるでしょうか。

多分次男という不利を埋めることができる程度は十分だと思います。



アベル様はこの中では一番年上ですね。26歳ですから。

特に悪いところはないですね。

能力もいいし、家柄もいいし、経歴もあるし。

しかし、特立な点もありませんね。


そのせい、自分よりも若い3人が自分より高い位置に上がるのを見ていくのしかできませんでした。

けれど、とても自分の力だけでは、他の人に追いつくことができません。

これを端的に見せてくれたのが昨日の演説。

自分だけが出征を命令されることができなかったんです。


だからこそ結婚しようというわけでしょう。

自分が乗り越えられないなら、最強の武器を自分が持って乗り越えるという考えで。


私の話は終わりですが、もし間違いなことがありますか?」




四人とも俺の話を聞いて顔色を変えている。


「…誰がそんな話をでっち上げたんだ?」


「昨日の貴族たちが話していることを盗み聞きして推理したのですが。」


「命がもったいないなら今の話は頭の中で消した方がいいぞ。」


これに対してアベルが俺を脅迫する。

これをセルジオが防ぐ。


「ほっとけって。番犬なんかに何ができるんだ?どうせ明日には決まるのに。」

「それはそうだな。」


4人で俺を笑う。

こうなった以上、どうやってオフィーリアを脅したかは聞くことができないな。

でも後悔はない。


「…最後にアルベルト様に一つだけ聞きたいです。」


「何だ?」


「妹に嫉妬して人を引き入れて弟を売り飛ばす行動、恥ずかしくないですか?

家門のためでもない汚い臆病者ですね。」


その瞬間、手を剣に持っていくが、他の男たちが防ぐ。



「明日までは我慢しろ。訳もなくここで問題を起こしたら明日に支障がある。」


「…テメは必ず俺が殺してやる。」


「楽しみにしておきます。」


その場から立ち去る。

自分でも、こんなに簡単に足が動くものだとは思わなかった。


「…昨日一日の間に流れてる話だけでそこまで分かったんですか?」

ニコラの質問に一応答えてあげる。


「貴族というのは、たいていああいう者ですから。過去にたくさん経験したのでよく知っています。」


「いったいどんな過去を…」


「それは後で。」


いつの間にかルメナもそばに来ている。

いつものようにからかっているような表情だが、全然そんなふうに感じられない。


「結局お前を気絶させるのは次の機会かよ。

残念だね、あと一歩だったのに。」


「どういう意味だ?」


「その手。」


手を見つめればすでに拳が握られていた。

この時になって手を広げるとするが、まるで固まってしまったようには広がらない。


「たぶんあの剣が君の首を狙ったら、君も我慢できなくなったよね。」


「…」


「もうオフィーリアに直接聞いてみるしかないんじゃない?どうする?」


「とりあえず屋敷に戻ろう。早く探すしかない。」

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