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ほらふきのイデア  作者: カナマナマ
第 三章 『愛する君だから』
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3-10 眠れない夜

入るとすでに王は出ていて、演説をしているようだ。

王様は50代ぐらいの男性で、平凡そうな男だ。


「最近聖戦が止まっているが、まもなく再開して神の意をこの世に知らせるのだ!

だから現3つの戦争に援軍を投入することに決めた。

ラネルカーには中央軍4団長セルジオを!

レフェルタには聖騎士副団長アルベルトを!

ヘネシーには王室近衛隊を率いて我が息子フェルナンドを!」


人々が喚声を上げる。

「アルデンを偉大に! 神の名をために!」


「情けない…」

オフィーリアが軽蔑したように話す。


「そこはオフィーリアじゃないか? こっちへ来たらよい!」

王がオフィーリアを発見して呼ぶ。


「あなたはじっとしていてください。」

俺を置き去りにしてしまうオフィーリア。


「聖女!銀雪姫!勇者!

なんの祝福された存在なんだろう!まさに女神の降臨!」


「過賞のお言葉。」


「こういう存在がアルデンにあるのはまさに神の意思!

今は止まっているが、オフィーリアこそこの世に神の教理を広く知らせる神の使者であり天使だ!」


それは、オフィーリアに戦場に出ろということか。

もう一度怒りが込み上げる。


「この隠遁祭が終わるとすぐに出陣する。

さぁ、勝利のために、神様のためにグラスを持つのだ!」


人々がグラスを持つ。

「乾杯!」


オフィーリアが帰ってくる。


「お疲れ様でした。」


「本当に疲れますね。休みたい。」


「こちらへ。」


椅子とテーブルを持ってきて席を作る。

そしてホールを埋める音楽がさらに力を添える。


「これから本格的に舞踏会が始まります。あなたはパートナーがいないんですか?」


「護衛が先じゃないですか。そして見たいのがありますので。」


「?」


「オフィーリア様もご覧になったら、面白がると思います。」


しばらくすると音楽が変わり、踊りにぴったりの曲が演奏される。

それに合わせてペアを決めた男女が、ホールの中央に集まってくる。


「あそこに出ますね。」


「…ニコラ?その横はその…ルメナさん?」


「鑑賞しましょうか。」


音楽が本格的に始まり,人々はダンスをする。

これに合わせてルメナとニコラの踊りも始まる。


♪ ♬


上手じゃん。

率直に言って心配もあったが、ルメナが思ったよりよくリードしている。

というか、力でニコラを振り回すという感じもあるけど。


「こうですか?」


「そうじゃなくて足をこうやって。」


「こうですか?」


「このアホ!」


「ああ、すみません!」


「ちょっと待って、足踏んでしまったじゃん!」


人々が二人を見て笑う。

ダンスは上手だが言葉はしょうがないね。


それでもどうにかダンス一曲をすべて終え、人々が拍手をおくってくれる。

ニコラとルメナがこちらへやって来る。


「お姉さん、ご覧になりましたか?」


「うん、素敵だったよ。」


「ルメナさんのおかげです。

普通の人々より本当に上手ですよ。」


「もちろん。踊ってきた時間が違うから。」



「お前、ダンスどこで習ったんだ?」


「200年前にはよく踊ってたよ。ただやってみると上手になった。」


「そうなんだ。」


思えばまだ200年前のルメナのことは詳しく聞いていない。

本人が言うのをはばかっているから。

…ゆっくり待ってあげよう。


「姉上も一曲踊られるのはいかがですか?」


「いや…私は…パートナーもいないし…」


「パートナー…ハインズさんはどうですか?」


「…え?私ですか?!」


「お嫌いですか?」


「いや、そうじゃないんですけど…

オフィーリア様の方が…」


「私も今日は少し…疲れたりもするし。」


「じゃあ明日だね。 楽しみにしてるよ、ハインズ。」


ルメナ、てめえ。

これで確実になった。

あいつは作戦は忘れたまま遊んでいるんだ。


「…明日踊りましょうか?」

オフィーリアが勧めるって?


「それが…あの」

その瞬間、再び目が合った。


「よろしくお願いします。」


「それでは今日はこの辺で失礼いたします。また明日。」

オフィーリアが先に会場から出る。


どうしてこうなったんだ…

ぼんやりしていると、ルメナが俺の背中を叩く。


「よくやってみろ。」

そしてニコラを連れて逃げてしまう。


オフィーリアの雪を見た瞬間、とうてい断ることができなかった。

その目は何かを知っているという目ではなく、何かを頼んで哀願した目だと感じた。


それにしても俺、ダンスは全くだめだけど…

悔しいけど、ルメナに学ぶな方かいいか。

ルメナの方へ行く。



午前0時を知らせる鐘が鳴って帰る人たちがかなりいる。

パーティーそのものは日が昇るまでだというが、そうしている人は酔っぱらいばかりだろう。


「私たちもそろそろ帰りましょう。」




「今日はありがとうございました。」

帰りの馬車でニコラが頭を下げてあいさつする。


「頭を下げるまでは。」


「いえ、これくらいはしないと。」


「別に何もしていなかったんですが。」


「こんなに楽しんだのは初めてでした。

人々の関心からも自由であったし、初めてダンスをして拍手も受けたし、何よりも姉上がいらっしゃったのが嬉しかったです。」


「楽しんでくださったそうでよかったですね。」


「…これから舞踏会はあと2日間開かれますが、もしかして今日楽しまれたのだから行かれるおつもりでしょうか?」


ニコラは心配そうに問う。

本当に感情を隠せない子だ。


「約束があるからそれは無理でしょう。残りの2日も護衛で出ます。」


「…よろしくお願いします!」


そうやって屋敷に戻ると、ニコラは眠っている。

ニコラを部屋まで連れてあげて自分の部屋に戻る。




……


………



オフィーリアは俺を愛していた。

そして今もそうだ。


勇士パーティーの時から全然感じなかったわけではない。

いつも俺にだけくっついていたったから。


しかし、ただ同じ魔法系列だから、からかいやすい性格だから、と自分がそれを否定した。

それを認めて戦うと、チームワークを崩してしまうという合理的な判断で。

愛する人がいるならその人をもっと守って大切にするしかない。

そうなるとチームワークは崩れてしまう。

魔王はチームワークなしに倒せる相手ではない。

実際にもそうだったし。


結局、俺は自分自身を欺いていたのだ。

だからわざわざ無礼なことを言ってからかうようなことを言った。

しかし、オフィーリアはだまされなかった。

なぜなら、行動まで騙すことはできなかったから。


そのため、まだオフィーリアはその指輪をはめている。

まだ俺を忘れることができないままに。


「俺はどのように責任を負わなければならないんだ…」


そんな思いで眠ってしまう。



日はいつものように再び昇る。

隠遁祭4日目


ルメナのところへ先に行く。


「昨日言った通りに頼むよ。」


「ふふん。まかせろよ。」


10時を少し回った時間。

ニコラがルメナの部屋にやって来る。


「ルメナ…さん?!」


驚いてしまうニコラ。

ルメナの部屋では


「ほら、ダンスは柔軟性!ストレッチ訓練だ、訓練!」


「クアアアッ!お前、これ効果がないなら絶対に殺してやるよ!」


脚をくじかれたまま、ものすごい表情をしている俺。

この上なく幸せそうな表情で、俺の脚を曲げているルメナがいる。


「…失礼しました。」


「ちょっと!何か誤解したんじゃない?!待て!」


ここまでダンスを習おうとする理由は、ルメナが言った言葉がもう一度浮かんでくるからだ。

何でもいいから一つでもやってみろ。

それならひとまず今日のダンスから解決しよう。

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