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ほらふきのイデア  作者: カナマナマ
第 三章 『愛する君だから』
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3-5 傲慢な男




翌朝が明けた。

まだ背中がひりひりする。

まさかおれの部屋にワープして、潜伏していて背中にドロップキックを飛ばすとは。


素早く洗い、服装を着替える。

いずれにせよ、隠遁祭が終わるまではニコラの護衛だ。

表の仕事もちゃんとしておいたほうがいい。

今日は仮面も忘れずに。


「おい、起きろ。ニコラのところへ行く時間よ。」


?!?!


「ルメナが俺より先に起きて準備も終わった?!」


「まだなら私先に行くよ。」


「…本当にショタコン?それとも、ただニコラだからああなのかな…?」


ニコラの部屋に行ったが、ニコラはいない。

部屋の近くの侍女に聞いてみる。


「ニコラ様はどこに?」


「初めてみ方々ですが、どういうことで?」


「ああ、昨日からニコラ様の護衛を任されたハインズとルメナです。」


「ああ、話は聞きました。裏庭に行ってみてください。」


屋敷の裏庭で木刀を振り回すニコラ。

アルベルトが一緒か。


「ああ、お二人おいでですね。」


「集中しろ。」


瞬く間にニコラを追い詰めるアルベルト。

まともに戦うこともできないまま、ニコラが倒れる。


「精神を集中して戦え。

そうでなければまともなスキルは使えない。」


「…はい!」


練習方式は悪くなさそうだ。

あいつの性格ならやたらに殴りながら教えそうだが。

しばらくして練習を終えたようだ。


「お二人お待たせしました。」


「みごとです。こんな早朝から」


「褒めすぎです。」


アルベルトがこちらを向いている。

何だよ。


「そこの男、名前は何て言ってたっけ?」


「ハインズと呼んでください。」


「ハインズ、ちょっと来てみろ。」


アルベルトのところへ行く。

嫌な予感がする。


「一応ネビュラ家の護衛になったから、うちの家の名を汚すようなことは許せないんだ。」


「知っています。」


「考えてみたらお前たちの実力を保証したのがあの弱いニコラだろ?

どうも疑心暗鬼になってさ。」


「…そうですか?」


「俺と一度、対戦してみよう。」


「兄上!何言ってるんですか?!」


「…構いません。」


「ハインズさん?!」


叫ぶニコラをルメナが後ろに引く。


「ルメナさんも止めてください。

兄はS級の冒険家の資格も持っています。

ハインズさんがE級の実力ではないということは知っていますが、S級との戦いは無理です。」


「心配しないで。見てろよ。」


俺とアルベルトが距離を置いて立つ。



「俺を倒せというような不可能な課題じゃないから、緊張はほぐして。

俺の一撃を阻止すれば、それで合格だ。」


「わかりました。いつでもいらしてください。」


「姿勢を取れ。」


「構いません。」


「…なめるのか?」


「そんなはずが。単に私の防御は身構える必要がないだけです。」


「そうか。」


言葉が終わった瞬間、剣が刺さる。

そして、アルベルトの後ろに遅れて突風が吹く。

風より速い一撃。

俺は押し流されて地面を転がしている。


「ハインズさん!」


ニコラが叫ぶ。

しかし、アルベルトは複雑な表情で話す。


「おい、起きろ。魔法の防壁で防いだの全部知ってるから。」


「ばれたんですか?」


その言葉にすぐ立ち上がる。

今しがたの攻撃を受けたとは思えないほど元気だ。


「ふう、これで試験はパスですか?」


「力の調節をしたとしてもそれを防ぐなんて。結構やるな。」


「アルベルト様こそすごいです。」


「それを防ぎ傷一つない。B級くらいにはなるか。」


「まだE級ですが。」


「何?!」


「数日前に冒険者になって等級はそうです。」


「ちぇっ、そういうことか。じゃあ、俺は行ってみるから。」


アルベルトが姿を消し、ニコラが走ってくる。


「ハインズさん、大丈夫ですか?」


「ええ、なんとか。」


「それを防ぐなんて、本当にすごいです!」


「まあ、地面に打ち込まれてこんなに汚れてはいたのですが。」


「ああ、一度お風呂入ってきてください。」


風呂場に来た。

地面を転がったが体には傷一つない。


「演技も大変だな。傷一つくらいは出せた方がよかったかな。」


簡単に体を洗ってくると、ルメナがニコラを教えている。

なにやってるんだ…


「お前、何してるんだ?」


「授業。ニコラ、呼吸が悪い。もう体力が限界ようだね。今日はここまで。」


「お前は魔術師で、ニコラは剣士じゃねか。何を教えてあげるんだ?」


「剣士の中でも聖剣士だから私が教えてやることがないわけではない。」


「優しすぎて涙が出そうだな。」


「お前こそあの兄という奴を配慮してやって何を言ってるのよ。」


「思いやりではなく面倒なものを片付けただけだ。

ああいうタイプは、自分より強くても、自分より弱くても認めないタイプよ。」


ニコラが近づいてくる。

今の話をきいたようだ。


「実はあれほどではなかったのですが、あの日以来、もっとああいう傾向が強くなりました。」


「あの日?」


「入ってから話しましょう。」


またオフィーリアのプレゼントを買うため外出準備をする。

そうしながらニコラが昔の話を聞かせてくれる。


「実は私が12歳のとき、兄上が私を入隊させようとしたことがありました。護衛を禁止したのと同じ理由です。」


「12歳を受け入れてくれる軍隊がどこにある?」


「兄上はその時すでに聖騎士団の副官でした。その程度は裁量で可能でした。」


「失敗したみたいね。こうしているのを見ると。」


「その件に怒った姉上が我慢できずに兄上を倒してしまったんです。

正確には決闘で姉上は防御ばかりしましたが、その防御を兄上は一度も破ることができなかったんです。」


「…腹が立ったオフィーリアならよくわかる。」


「何とおっしゃいましたか?」


「いや、話し続けてください。」



「とにかくあの時以来入隊はなかったことになり、兄上の訓練も少し強度が低くなりました。

以前は下手をすると殴られたりもしました。

でもその日以降、人に言いがかりをつけて横柄な態度を見せるのがもっとひどくなりました。」


この会話を通じてある程度確信ができた。

オフィーリアが戦争に乗り出した原因の大きな部分にアルベルトが関与しているようだ。

長男の自分より能力があって皆に愛される妹が憎いだろう。

そして嫉妬しているのだろう。


そんな妹をいじめるのが目的か。

それとも他の狙いがあるのか。


一応あいつのことは保留しておこうか。

証拠になるようなものがもう少し必要だ。

まずはこれだ。


「それでは出発しましょうか。」



プレゼントを買うのは記念日だから買うのではない。

ただオフィリアが舞踏会で際たつように、喜んでくれるプレゼントをしてあげたいという。

そういうプレゼントは多いんじゃないかな?


市場に出る。

喊声が出るほど多くの店が立ち並んでいる。


「これ今日中にプレゼント買えるんでしょうか?」


「頑張ってみましょう。」


「買いたいものは昨日と同じように香水?」


「いいえ、もっといいものがあるかもしれないから探してみましょう。」


市場の奥に入る。

昨日よりも祭りの熱気がよく感じられる。


お祭りにありそうなガチャとか、よく見えない食べ物とか、昼から飲んでもだれも文句を言わない。

仮面をつけるだけでなんでも許されるお祭りだから。


「それではプレゼントを探してみましょうか?」


先に行った所は服屋。

ドレス、ワンピース、ベール、あれこれ。

でも服のサイズがよくわからなくて却下!


次に入ったのは化粧品店。

化粧水、おしろい、口紅など。

しかしオフィーリアが化粧を嫌いなので却下!


3番目に入ったところは装身具屋。

ネックレス、指輪、ブローチなど。

だがこういうのはもう家にあふれてるから却下!


結局、3ヵ所を回っても贈り物を見つけることができないまま、遅い昼食を食べる。


「プレゼントって難しいね。」


「私もピンとこない…」


「私も今回はいいことが思い出せません…」


「香水、また買おうか?」


「今までプレゼント見つけた時間がもったいなくてそうはしたくない。」


プレゼントか…

考えてみると、以前オフィーリアにプレゼントをしたことがあった。

あの時が多分オフィーリアの誕生日だったから。

あの時、プレゼントしたのは…


「注文したものが来た!」


「おとなしく食べろ。ニコラもいるのに。」


まあ、いいか。

たぶんそんな誕生日プレゼントはあいつも忘れたんだろう。


昼食後にも「プレゼント探し」は進展がない。

結局、ルメナが先に放棄宣言のようなことを言う。


「どうせ聖女様みたいな人でしょ?

何をプレゼントしようと喜んでくれるから、あそこの石でも拾ってあげよう!」


「うるさい!石頭!石だと言っても買って包装してあげないと!」


「結局石じゃねかよ?!」


今は精神がおかしくなるのを感じる。

どうしても決めなきゃ…


「汗をかきすぎて体もベタベタですね。とりあえず少し休みましょうか?」


「…それだ!」


ルメナとニコラが知りたがっている。

結局、買ったのはみかんの香りの入浴剤。


オフィーリアはいつも機会さえあればお風呂に入ろうとしていたのを思い出す。

いつも俺に一緒にお風呂に入ろうといたずらして大変だった記憶も一緒にある。

そのせいでエリゼとレイナが誤解してめちゃくちゃ殴られたのも…


「とこれならプレゼントにぴったりでしょ?」


「たしか姉上はお風呂がお好きだし、舞踏会に行く前にお風呂は入りますからすぐ使うだろうし、誠意のないものでもないですね。」


「やるじゃない。」


「ありがとうございます、クリスさん!」


「ハハ…ハア、歸りましょう。」


そのようにして疲れた体を引きずって屋敷に帰る。

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