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ほらふきのイデア  作者: カナマナマ
第 三章 『愛する君だから』
39/90

3-4 ネビュラ邸

「…どうするつもりよ?」


ルメナが聞く。

ニコラに付いてネビュラ家に向かっている。

つまりオフィーリアの家。

過去に弟と兄がいるとは聞ったが、それがこの子だとは…


「どうしよう…?」


「私が問ったじゃん!質問に質問で答えるな!」


「お二人さん、大丈夫ですか?」


ニコラがいるから静かに話すしかない。


「このままオフィーリアと会うのは心の準備というか…

とにかく、頭の中が整理できないんだけど。」


「そもそもあの子には正体がばれてもいいの?

問題が起きないと確信できる?」


「いや…」


「それじゃ本当にどうすればいいのよ…

このまま逃げようか?」


「そうしたいけど、このチャンスを逃せば、他のチャンスはないという予感がする。

…臨機応変だ。心の準備をして行こうぜ。」


「やばいね…」


ニコラは俺たちの雰囲気が尋常でないと思ったか、声をかけてくる。


「お二人はどんな間柄ですか?」


「冒険者の仲間」


「そうですか。先ほど私を救ってくださったのもそうですし、相当な実力を持っていらっしゃるようですね。」


「何をそのくらいで。」


「私も強くなればいいのに。」


「大貴族なら強くなくても護衛をいっぱい連れ回せばいいんじゃない?

ここに来る前にみたあるあほうがそうしたんだよ。」


「ルメナ、まだマエスのことを気にしていたか?」


「ハハ…私もそうしたいですが、兄上から護衛を連れ歩くことを禁止されました。」


「?」


「さっき私の戦いをご覧になったでしょう。

実力も普通で臆病なので、ろくに戦えない様子を。」


「そうかな?実力もその年でその程度ならすごいだし、臆病なら最初から戦わないよ。」


「お言葉はありがたいのですが、戦ったのはもっぱら兄上が怖くてそうしたのです。

もし逃げ出したら家門の恥だと思われるので。」


「どうして?」


「私の家は代々アルデンの主要職を務めてきた、名門だと呼ばれます。

父上も今は引退しましたが総務大臣で、兄上は今聖騎士団の副団長で…」


「姉上は勇士だ。」


「そうです。兄上はこんな私が気に入らないのか、自立心を育てろと言われ、私は護衛を禁止されました。」


「ひどいな。自分でも副団長ぐらいなら、あらゆる人を連れているはずなのにさ。矛盾だな。」


「仕方ないです。それがネビュラという名前の宿命ですから。」


かなり暗い面を背負った子だ。

歪んでいなかったのが不思議だと思うくらい。


「お姉さんはどう?」


「小さいごろに母が亡くなってから私に母の役割まで果たしてくださった優しい方です。」


「だからお父さんとお兄さんのプレゼントは買わず、お姉さんのプレゼントだけ買ったんだろうね。」


「はは、お二人には内緒にしてください。」


「そんな姉さんも護衛をつけるなって言った?」


「いいえ。その件でお兄上と大喧嘩になりました。」


「そうなんだ。」


「でも姉上のためにも私が自分で護衛をつけていないのもあるんです。

早く一人前を果たしたいですから。」


「頑張れよ。」


「お二人の実力の話をしていたのに、別の話になりましたね。

もし冒険者のレベルは?」


「ふたりともE」


「Eですって?嘘つかないで下さい。」


「実力とは別に冒険者になったばかりでさ。」


「そうですか。すぐに昇級しますよ、きっと。」


そう話しながら屋敷に向かう。

この子がオフィーリアの弟であることが確かに感じられる。

言葉の優しさとか、雰囲気とか。

何より目が似ている。

オフィーリアのような水色の瞳で、その瞳の中に雲はない。

そして、ある屋敷の正門に到着する。



「ここが全部…」


「はい、ネビュラ邸でございます。」


とてつもない大きさの屋敷が建っている。

すでに庭の大きさからして尋常でない。


「どうぞ。」


「…クリス。私たちが2億をそのまま持って来たらこの家、購買できるかな?」


「…無理だろう。」


そして庭園に沿って入る。

間もなく屋敷に着く。

心臓が揺れ動く。

ここにオフィーリアが…


屋敷に入る。

メイドたちが駆けつけてくる。


「ご家族は?」


「当主様とアルベルト様はまだお帰りになっておりませんし、オフィーリア様も現在留守にしております。」


オフィーリアが家にいないって?

なんか緊張がなくなった。


「そうですか。こちらのお二人さんは私の恩人です。

お二人方に部屋を貸してあげてください。」


「おまかせください。」


「よろしくお願いします。」


そしてお互いがそれぞれ部屋を貰って入る。

大貴族たとしてもこのくらいとは。

過去に貴族の家を訪れたことは多いがここは慣れない。

そわそわしながら部屋で待つとまもなくニコラがやってくる。


「父上と兄上が帰ってきました。行きましょう。」


寝ていたルメナを起こして応接室に向かう。

本当にすごい神経だ…


「オフィーリアさんもお帰りになった?」


「いいえ、姉上はまだ。」


「そうか。」


「そして申し訳ありませんが人たちの前では敬語を使ってください。

父上と兄上はそんな点で気難しくて…」


「…わかりました。ルメナ、お前も今度だけは譲歩しろよ。」


「かわいいニコラちゃんのためならしょうがないね。」


そして応接間に着く。

中から入ってこいという声が聞こえる。


門を開けて入ると、二人の男がいる。

俺たちと違って仮面をかぶってはいない。


「お会いできて嬉しいぞ。わしの名はルイス·ネビュラ。」


「アルベルト·ネビュラだ。」


「はじめまして。

私はハインズ、こちらはルメナと呼んでいただければよいです。」


「うちの息子のせいで迷惑をかけてしまったな。」


「大丈夫です。大したことでもなかったんです。」


「ニコラ、情けなく何してんだ。

ネビュラの名前を汚そうとするのか?」


アルベルトがニコラを叱る。

さっきけんかした時よりもっとひどく身震いしている。


「もうしわけありません、兄上。」


「そういうなら終わりか?

そんなに弱くてはネビュラの名前をつかることができる?

これからもっと鍛鍊しろ。」


「かしこまりました。」


厳格というか。

それとも自分の名前が汚れるのが嫌なのか。


「情けない弟のせいで苦労したな。

補償が必要なら言ってみろ。

できることなら聞いてあげるから。」


そして、俺を見た瞬間、ニコラを叱った理由は後者だということが分かった。

同じ色の目だが、この男の目には雲がある。

澄んだ目ではない。


「それでは舞踏会に出席したいのですが。」


ルメナが言い出す。


「仮面舞踏会か。変わったものが欲しがる奴らだな。」


「可能でしょうか?」


「今度の舞踏会は戦争のためスパイの危険性があって、一応貴族だけが参加できる席だから。

正式に招待されて入るのは難しい。」


「そうですか?」


ルメナががっかりしたようだ。

こいつ、まさか舞踏会に行こうとする目的を忘れたのではないよな…

ここからは俺が出ようが。


「ならニコラ様の護衛として入るのは大丈夫でしょうか?」


「あいつから護衛の話を聞いてなかった?」


「聞いたんですが、あんない貴族たちが集まる席で、小さいお子さんが護衛もなしに歩いているというのは、人々の目にはどのように映されるでしょうか?」


「…ずいぶん頭がいいな。

ニコラが実力もあると言ったから構わないか。」


「ニコラ様は大丈夫でしょうか?」


「私は大丈夫です。」


「ではよろしくお願いします。」


そのようにして部屋を出てニコラの部屋に行く。



「仮面舞踏会の参加って。

そんなものを望んでいたんですね。」


「期待が大きいです。

今もこのように仮面をかぶっているじゃないですか。」


「そうですか、フフッ。

もしかして素顔を見せていただけますか?」


「そうしたら神様が私を発見して天罰を下すでしょうね。

素顔は祭りが終わった後お見せします。」



「そうですか。楽しみにしておきます。

それでは王室仮面舞踏会について簡単に説明いたします。


仮面舞踏会は祭りの3日目から5日目の夕方ごとに開かれます。

入場条件は私がいるのでご心配しなくてもいいです。


仮面舞踏会の入場は午後6時からで、終了は常に陛下が宣言しますので、それまで楽しんでいただければいいです。

…ただし、想像しているものとは多少違うと思います。


舞踏会にはシュベルテナはもちろん、地方の貴族たちまでわざわざやって来ます。

そのため互いの勢力争いや競争もあります。

私がネビュラなのでけんかを仕掛けてくる人はいないんですけど、私と親しくなりたいと思う貴族たちはいつも溢れているので…

申し訳ございませんが、私がお願いすれば、何とか助けていただけますようお願いいたします。


詳しいことは後で聞いてください。

それでは楽に休んでください。」


説明を聞いて俺たちの部屋に向かう。


「むしろ悪くない。

舞踏会の雰囲気がそうなら、情報を抜き取るのがもっと簡単だ。」


「お前は遊ぶことも少しは考えなさいよ。

舞踏会でそんなことばかりしたら疑われるよ。」


オフィーリアと会える機会が来たが、舞踏会に参加しようとする理由は2つだ。

第一に、アルデンの情勢が分かれば、周辺国の情勢まである程度知ることができる。

つまり情報を得るためだ。


そしてオフィーリアを戦争に立たせた原因。

それを探すためには舞踏会に行かなければならない。


食事は各自の部屋にメイドが持ってくる。

ルメナと言いたいこともあるので、そっちの部屋に行ったら、ニコラがいる。


「拉致した…?」


「この子が来たんだ。」


「あの…」


??


「顔が…」


あー

ルメナの部屋に行くなのでうっかりした。


「…」


「…そんな顔でしたね。」


すぐにニコラのところへ。

笑顔で。


「誰にも言わないでください?」


「ひいい!圧迫感が…!」


「答えは?」


「絶対!誰にも!」


「よしよし。」


二人が座ったテーブルに俺も座る。


「なぜ来たのですか?人々の目につくように。」


「やれやれ、ハインズ。子供をそんなに叱ると悪い大人だよ。」


「私がただ話をしたくて来たのです。」


「はぁ、すきにして。

…つか、お前はなんで仮面ぬいているんだ?」


「私の部屋だから。私もニコラがくるとは思はなかったんだ。」


「ノックしたんじゃない?また被る時間はあったでしょ?」


「やめろよ。どうせばれたじゃん。

ニコラが言わないんだといってるじゃんよ。」


俺としてはニコラに頼むよりほかはない。


「本当にお願いします。

私たちの顔については誰にも言わないでください。

その理由は隠遁祭が終われば話ししますから。」


「嫌がるなことをするのは、やってはいけないことですよね。

ネビュラの名誉にかけてお約束します。」


たしか、誰かに言える子じゃないよね。

この心配はもう止しにしよう。

むしろ顔を見せてあげたので信頼を得たと思ってみよう。

そうやって話していると、ずいぶん時間が経っている。


「そろそろお帰りください。

大貴族がこんな乱暴な女と一緒に寝ると、変な噂が立つので。」


「...お前はニコラが離れた後、ちょっと私と話そうよ。」


「そうですね。そろそろ帰ります。」


「ところでオフィーリア様、まだお戻りになっていらっしゃらなかったでしょうか。」


「この時間までにお戻りにならなかったら、たぶん修道院でおられるでしょう。」


「修道院?」


「その話をするのはもう遅いから明日話しましょう。」


ニコラと一緒に俺も出る。

出るときにルメナに舌を出すのを忘れない。


「逃げるなんて、くううう…」

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