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ほらふきのイデア  作者: カナマナマ
第 三章 『愛する君だから』
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3-3 隠遁祭



シュベルテナの関門の高さがマエス領主の城に匹敵する高さだ。


「こんなに高くする必要があるの?

巨人族でも住んでいるのかな。」


「見栄だよ、見栄。」


当然というか検問がある。

戦争中だから…


人が多くて列がかなり長い。

果してルメナの忍耐心が堪えてくれるか?

どうか堪えてくれ、ルメナ…


30分後になって俺たちの番が来た。


「くうっ…」


「我慢してくれてありがとう。」


検問自体はかなり容易に進んだ。

アルデンと現在関係のないベリルス國で作られた冒険者ブローチという点もあり、E級というものも作用しただろう。

小魚を気にする必要はないから。


「私がE級ってことが気に入る日が来るとは。」


ルメナは少し気分がよくなった。

よかった。


少し通行税を払って関門を越えて入る。

そして初めて見るとてつもない大きさの都市が広がっている。


「俺の母国とは比べ物にならないな。」


人生でこれほど広かったところを見たのはルメナと戦ったところぐらいか。

ただ、そこもシュベルテナに比べると小さい方だと感じられる。


中に入ると仮面をかぶっている人たちが溢れている。

たまにはかぶっていない人たちもいるが、それぞれ事情があるだろう。


「俺たちも取り出そう。」


仮面をかぶって進む。

誰も俺たちを特に気にしない。

こんな粗末な偽装ではあるが、効果は確実だ。


「とりあえず今日は君に合わせて行くよ。

だから残った日程の間には怒さないで。」


「あれは何だ?!初めて見る料理方式だね!

200年の間にできた方法?それともここの固有の秘法?」


「聞いてる?」


どうせ今日はこうするしかない。

オフィーリアは大国の大貴族の令嬢であり、世界を救った勇士。

普通に考えれば、人生で一度見ることすら容易ではない。

なんとか接近する方法を探さなければならない。


お金は惜しみなく使おう。

ハモンドに与えて残った5千万リデム。

この金ならなんとか道を作ることができるだろう。


「まずはルメナに集中しようか。ルメ…ナ…?」


いない。

どこにも。

呼んでも返事はない。


「…」


ヘント村の時も迷子になったことを何とか見つけた。

村だからそんなに広くもなく、人も多くはなかったから。

だが、ここは…


「泣きたい…」


迷子になったのはルメナの方なのに、どうして俺が涙が出るのかな。

いったんこの人波からあいつを探し出すしかない。




2時間ほど走り回った後、ある店の前でルメナを発見する。


「はぁ…はぁ…」


「何だ、恥ずかしい店でも行ってきた?」


「殴る力もない…」


「とりあえず私が見つけた情報から言ってあげればいい?」


???

ルメナが先に情報収集をしてくれた?


「…」


「何だよ、何で泣くのよ?!」


「立派に育ってくれたね…」


「死ね!」


ほっぺたから軽快な音が聞こえる。

ぴりぴりした頬をこすりながら人通りの少ない所に行く。



「オフィーリアという子、 名字はネビュラ。

家は王宮と一般住宅街の間のようでさ。」


「名前の方は知っていたけど家はそういうところだったな。」


「そして最近はまったく対外的な活動はなかったそうよ?」


「いつ頃からなかった?」


「2~3カ月くらいだって。」


「最後に活動したのは何事だったんだ?」


「ラネルカとの戦争以外にも他の戦場にも行き休戦状態につくったみたいよ。」


「…」


「それに対して市民たちは喜んでいる様子だけど、権力者たちの目には不便かもしれないね。」


「だからといってむやみに触れては本人たちにやられるぞ。」


「言った通りよ。

そのオフィーリアという子、人気が半端ない。

本当の神よりも崇拝されてる感じだったんだから。」



「それで接近する方法は?

もしかしていい情報ある?」


「大変そう。貴族たちはみんな舞踏会の準備で忙しいと言っていた。

そっちの関連でなければ接近することは難しいだと思う。」


「あえてネビュラ家の方じゃなくてもいい。

他の貴族たちのコネで会うことも考えてみるべきよ。」


「だから、そんな奴らが全部あの舞踏会の準備中なんだってば。」


「結局、その舞踏会に出席することが目標になったな。」


「お金でどうにかならないかな?

貴族専用のパーティーとかではないよね?」


「もっと調べないと。」


少なくとも明日までには情報を得て計画が立てられたらと思う。

仮面が許される期間の5日。

その5日が過ぎれば活動しにくくなる。

いろいろなことを考えながら歩いていると、人々のざわめきが感じられる。


「何だよ。公演でもやるのかな。」


「行ってみようか。」


騒乱の中心に進む。

そしてそこでは戦いが起こっていた。


「謝ったじゃないですか…」


「謝ったって、すべて大丈夫だと思うのか?

女だからといって勘弁してあげる考えはないぞ!」


「ひいっ…」


険しい男とルメナよりやや背が高く、短髪の、仮面をかぶった女の子がけんかしている。

女の方は衣服を見たところで貴族か。


「手伝おうか?」


「一応剣を持ってるでしょ?

自分で解決できるならそれがいい。」


ひとまず保留か。

そして戦いが始まる。


男は棒を持っていて、女は剣を持って戦っている。

武器がぶつかる。


「もう許していただけませんか…?」


「笑わせるな!

人の体に変な臭いの水をかけて、ただで済ますことができると思うのか?」


「故意じゃなくてミスでした…

そして、その水は香水です。」


「黙れ!」


「ふええ…」


2人が攻撃を交わしている。

と見えたが、次第に男性だけが攻撃をしており、女性は防御だけしている。

二人の実力自体は似たり寄ったりなのにどうしてああなんだろう。


二人とも実力だけを見れば、D級の上ぐらいの力を持っている。

あんまりに差はない。

そして、男子の方が力は優勢だが、女子の方がスピードは良い。


「わざともてあそぶのではないだろうね?」


「そんな実力の差じゃないだろ。」


実力が似ていても、男性の方が力と体力がある。

あのように防御しながら戦いが長引くほど有利なのは男の方だ。


「防御以外はできないのか!」


「いや…そうじゃなくて…」


「まさか貴様!衛兵が来るまで時間を稼ぐつもりか?!」


「ひい…バレた…」


そっちだったかよ…

まあ、それも戦略だ。


「臆病者め!すぐ倒してやる!」


距離を置いてすぐ鬪志を集める男。

スキルを使おうとする。

女の方は震えているばかりだ。

棒が女を殴りつける瞬間。


「はい。ここまで。」


ルメナが出た。

棒はルメナの頭上で止まった。

2本の指の間に棒を挟んだふうに防いだルメナ。


「この辺にしておけ。君たちのせいで騒ぎが起こって祭りも楽しめねじゃない。」


「お前は何だ?!消えろ!」


「さぁさぁ、興奮しないで。」

俺も割りこむ。


「こんなところにいたらどうするんですか、お嬢さん。

後は私たちに任せてください。」


「うん?あなたさん達は誰…?」


「静かに」


ルメナが女の子を引きずって通り抜ける。

俺は男に金貨を一枚取り出してあげる。


「これなら補償になるでしょうか?」


「…とっくにこうしたなら俺もここまではしなかった。」


「すみませんでした。」


男はおとなしく引き下がる。

すばやく人込みをくぐり抜けて、ルメナが走っていた方向に走る。


「ここだ。」


「そこか。」


路地にルメナと女の子がいる。


「うまく解決したよ。けがはないよね?」


「ありがとうございました…

ところで、どなたですか?」


「気にするな、おじょうさん。

ただ手伝いたいからそうしたんだから。」


「あの…あの…」


「気にするなってば。」


「そうじゃなくて… 私は男なんですが…?」



…………



?!?!?!?!



「あぁ…ごめんね。男だったな。」


「大丈夫です…そんな誤解するのはよく見るから。」


「…本当に男?」


「何ですか、本当って?! いくら恩人であっても!」

ルメナの言葉にかなり腹が立ったようだ。


「ところで貴族の御曹司に見えるけど、どうしてそんな所で一人で歩いてるの?

舞踏会の準備が真っ最中…」


「その舞踏会の準備のために姉上にプレゼントする香水を買ったんだけど…大変ですね。」


「...」


「あのう、私の言うこと聞いていますか?」


「ああ…ごめん。」


この子が貴族なら、頼んで、なんとか舞踏会に参加できるんじゃないかな。

どうすれば…


「とにかく恩人の方々をこうやってそのまま帰すのは家門の恥です。

どうか私の家に来てください。

返礼をしたいんです。」


「…まあ、そこまで言うならさ。」


最近こんなに仕事がうまく行ってもいい?

幸運というものがこんなにうまくくっついてもいい?


「じゃあ、案内してくれる?

もしプレゼントまた買いたい?

私たちは構わないから率直に言ってくれよ。」


「いいえ、それは明日また外出して買うことにします。

恩人に対する礼儀ではないですから。」


ルメナが体をぶるぶる震わせる。

まるでぴりっとした感覚を感じるように。


「どうすればいいの。 私、この子がとても気に入ったよ。」


「ショタコン…?」

やはり拳が飛んでくる。


「それでは一応私の家に行きましょう。」


「じゃ、行く前に名前言っておこうか。

俺はク…ハインズでこいつはルメナ。」


「ご挨拶させていただきます、ハインズさん。そしてルメナさん。私は…」


さっき俺に幸運がついていると言っちゃったよな。

そして、普通そういうことを考えたり、切り出したりすると、その瞬間、幸運は吹っ飛んでしまう。


「ニコラ·ネビュラ、ネビュラ家の次男です。

どうぞよろしくお願いします。」

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