2-4 やっかいな事は不意にやってくる
ギルドに戻り、マスターに報告する。
「そういうことです。」
「まずいな。何より気にかかることがある。」
「何でしょうか?」
「ゴードンのやつは俺たちもよく知ってる。
冒険者であり、その中でも強いほうだから。
ところであいつは錬金術とはまったく無縁なやつだ。」
「ということは…」
「他の誰かが背後にいるとみるのが正しいだろう。」
「黒幕か…」
本当にきりがない。
このままじゃルメナがやめると言ってもおかしくないな。
「それでさ、君たちは錬金術が得意だと受付から聞いた。
もしかしてその薬の成分を調べてもらえるかな?費用と報酬は追加するから。」
「どうせ任された仕事、そうしましょう。」
「ありがとう。まずこれはアイアンリザードの素材に調査の報酬まで上乗せして9万リデムだ。
E級の昇給には時間がかかるから少し待ってくれ。」
「それではまた来ます。」
「頼むよ。」
案の定、ギルドの建物を出るやいなや、ルメナはまた文句を言った。
「こっちのセリフだ。早く終わらせて遊びたいのはこっちなのよ。」
「お金も結構あるからいい宿をとろう。どうせ広い部屋が必要だから。」
まずはルメナからなだめるのが先だ。
ギルドの近くの大きな旅館に泊まる。
「二人部屋が3000リデムだなんて…昨日の2倍も超えるね。」
でもルメナは広い部屋のおかげで気分が良くなったようだ。
ベッドの上でごろごろしている。
「もう日が暮れたね。早く終わらせてご飯食べに行こうよ。」
収納空間を開いて道具を取り出す。
「少しずつ分けて調べてみようか。」
「1時間以内に終わらせてやるぞ。」
…5分もかからなかった。
二人とも頭の痛いのを見たように、目を手で覆っている。
「本当めちゃくちゃに作ったものじゃないの・これ。」
「まさか本当にレイジストックだとは。製造過程の半分は経たかよ。」
レイジストックは身体強化剤の一種で、身体内のアドレナリンの分泌を適当に促進させて身体能力を高める薬だ。
しかし、これは同じ薬と呼んでもいいのかと思うほど疑わしい。
「レイジストックの元の色はオレンジなのに。
この薬の副作用や効き目に色まで考えると、ローピン唐辛子でも入れたみたいだな。」
「お前もそう思う?ロピン唐辛子なら色も藍色だし、強心剤にもなるから。」
「正体は分かったから少し飲んでみようか。」
自分で半分くらい飲んでみる。
すぐに心臓の鼓動が速くなる。
「副作用もわかった。効果が極端すぎる。
心臓に負担のかからない適正ラインがあるが、そのラインをはるかに超えた。
だから、人々が倒れたんだ。」
「お前は大丈夫なの?」
「このくらいで倒れたら俺に負けたお前の顔が問題だろ?」
「無駄なことは付け加えるな。
とにかく、このような情けないレイジストックなら、すぐに中和剤も作ることができる。」
「材料は…さっきの闇市の店に行ってみようか。」
「決めたらさっそく行こうよ。行きながらご飯も買って食べよ。」
適当に食事を済ませ、闇市に再び行く。
闇市らしいというか、昼よりもっと多くの人が集まっている。
さっきの店に入る。
「私、また来ました。」
「え?本当にまた来たな。」
「買いたいものがあるんですが、そんな危険な薬を売らない信頼できる店はここしかないんですよ。」
「褒めたからって割引はしてくれないぞ。」
「このメモに書かれたのを全部ください。」
「…これを全部?!」
「お願いします。」
「少々お待ちください!10%割引してあげます!」
こんな店長の姿にちょっとやそっとではあわてないルメナが慌てた顔をしている。
ある意味では道理を悟った顔のようでも見える。
「…お前が言ったお金の魔力って何かわかる気がする。」
「これからたくさん見ることになるよ。」
おびただしいスピードでカウンターに積もる材料。
勘定をすませて、荷物を背負って出る。
「それでお金はいくら使った?」
「4万5千リデムぐらいか。」
「…」
「足踏むな。ギルドで費用をくれると言ったじゃねか。」
「わかったからそれは収納しろよ。そんな大きいものを持ち歩くつもり?」
人の目の届かない所に行って収納する。
「じゃあ、行ってみようか。」
「お前ら。」
振り向けば、顔慣れの男がいる。
さっきのゴードンという男だ。
「こんなところで何をしているんだ?」
「そうですね。散歩でしょうかね?」
「部下から聞いたぞ。 薬材をいっぱい買ったんだと。」
「見間違えたんじゃないですか?今私がそんなものを持っているんですか?」
「とぼけるな。 店主に確認したから。」
信義がないとは言えない。
あんな奴らに逆らうのは難しいだろう。
「お前ら何だ。
俺から薬を買おうというんじゃなかったかい?」
「気が変わりました。」
「なぜだ?」
ルメナが割り込む。
「そんなデタラメをお金を払って買えって?
むしろ私がお金をもらって引き受けても足りないよ。」
ルメナの言葉に怒ったように部下たちが飛びかかろうとするが、ゴードンが阻止する。
「ふーん、ちょっと調べたみたいだな。ちょっと倒れたらどうだ?
その代わり、最強の力と最高の気持ちを手にすることができるのに!」
「ならあんただけたくさん飲んで。」
「生意気なことばかり言うんだな。これだけでも大変な罪だが。」
男たちが俺たちを取り囲む。
ルメナはばかげたように男たちを冷やかす。
「何だ、これは。
男娼でも運営していたの?そんなことなら遠慮するよ。
一様に不細工で私の好みじゃない。」
「その程度のお金を一度に使えたら手持ちのお金が相当だろう。」
「結局お金か。」
「金さえ出せば許してやる。」
男たちが近づいてくる。
そしてゴードンの次の一言。
「だが女はただでは行かせない。
その荒い口を俺が直接調教してあげるぜ。」
…かわいそうなやつ。
「今回は止めないから思いっきり暴れ。」
そして男たちが飛び掛って、そのまま凍っていく。
俺は転移の準備でもしてみようか。
「…私の口がそんなに気に入らなかったの?
ならどんな音も聞こえないようにしてやるよ!」
「何?!」
あっという間に吹雪が吹きつけ、雪に触れたところが凍っていく。
ゴードンの体は一瞬にして凍える。
「はははっ、選んでみろよ!
カチカチに凍りたい?それとも凍傷で耳を切りたい?」
このくらいにしておこう…
『テレポート』
そして宿舎に。
確か凍らせる方だったルメナが、逆に凍りついたように立っている。
「…お前! 止めないって言ったでしょ!」
「だから全部凍らせてしまうまで待ってくれたじゃない。」
「黙れ!すぐにまたワープしてあいつらを…」
「やめろ。もう大さわぎだなったはずよ。あんなざこにそんなに気にするな。」
「…飲んでくるよ。このままでは怒りが収まらない。」
「思い切り飲め。」
ルメナが出かけて、俺は中和剤を作る準備をする。
これくらいは簡単だ。
…
…
完成だ。
やはり簡単に仕上げた。
その時、ルメナが戻ってくる。
「よく飲んできた…」
さっきよりもっと怒っているようだ。
むやみに触ったら俺が死ぬかも…
「どうしたの?」
「あるやつがちびっ子は飲みにくるんじゃないって言ってるだろ!
大人だと言っても信じてくれないし!
でもからかうんじゃなくて、本当に心配してそう言ったのよ!
だから、あいつが悪い意味で言ったわけじゃないから怒るのも大変だし!」
そんな点では以外によく我慢するんだなと思う。
悪意のない相手には絶対害を及ぼさない。
「寝るよ。起こさないで。」
これ以上は触らないようにしよう。
次の日。
朝から早く作った中和剤を作ってギルドに行く。
「薬の成分調査だけ依頼したのに治療剤まで作ったなんて。」
「簡単なことでした。そしてこの紙に製法も書いておきました。
錬金術師じゃない一般人でもできるレシピですから心配はいりませんよ。
値段は1本で100リデムなら十分です。」
「わかった。これらの薬はうちのギルドで責任を持って普及する。
そしてE級ブローチは4日あとでもらいに来るように。報酬もその時一緒にあげるから。」
ひとまず、このように仕事が終わった。
それでも昨日あんなに事故を起こしたから静かに過ごさなければならないが…
こいつが黙っているわけがない。
「4日間何をしながら過ごすのがいいかな?」
「簡単なクエストでも受けてみようか?おれたちなら許可してくれるかも。」
「では南と東でできるクエストでお願い。」
「待ってろよ。」
簡単なクエストを受けた2人。
視点を少し変えて2ヵ所に行ってみよう。
ここはある鍛冶屋の前。
「お前みたいな弱がアイアンリザードのうろこを手に入れたって? どこで盗んだんだ!」
「だから、もらったものって言ったじゃないか!?」
「どんな人がこんな貴重なものをただで?このやろ、最後まで噓か!」
ベリーと他の冒険家が争っている。
2人とも剣を使う。
互角に見えたが見えたが、すぐベリーの体に剣が刺さる。
「くうっ。」
「クハハッ。D級のてめえがC級の俺に勝つのができると思うのか?」
他のパーティーのメンバーたちはC級の仲間のせいで、介入できずにいる。
もう一度ベリーの身を切る剣。
「カアッ…」
「諦めて、うろこをおれによこせ。そしたら勘弁してあげるから。」
「黙れ…」
そして、甲冑を完全に破る攻撃が続く。
「なら死んでしまえ、泥棒め!」
「ベリーさん!」
C級が退く。
「ふん、あいつはもう死ぬんだ。身のほども知らないからそうなるんだよ。」
「ベリーさん、これを…」
「回復ポーションか。 それでどうなる傷じゃねんだよ。」
「…」
「ふぅん、ばかなまねを。ポーションだけ一つ捨てたああああっ!」
声を張り上げるC級。
「お前、どうやって立ち上がるんだ?!」
「私も驚いている…」
「これまさかハイポーションってことじゃない?」
「アホかよ?!そんなはずがねだろ。価格も価格だが、見ることもまれな物だ。
そんなものをだだであげただと?」
一様に驚いているうちにC級が気を取り直す。
「くうぅ…生き返ったからってお前が俺に勝てると思うのか!」
走り込むC級冒険者。
「あいつをやっつけろ。」
そして誰かによって倒される。
「弱いな。」
「あなたは誰…」
驚いたお腹の前に他の男が近寄ってくる。
「困っているように見えたので俺の用心棒に頼んだんだ。 大丈夫か?」
「はい。おかげさまで。」
「ところで驚いたぞ。
そんなポーションを持っていたなんて。」
「私もただでもらったものです。」
「ほぉ、そんなのをタダでくれるなんて、一体どんな方が?」
そしてもう一つの場所。
ここはマエス城。
「役に立たないやつだ。それでも暗黒街のボスというのか。」
「申し訳ありません。そんなに強いやつらだとは…」
「B級に相当する冒険者より強い奴がここにどれだけいるとそんな言い訳だ!?」
「容赦を…」
「退りぞけ!
アッシュ!まず、あいつらを捕まえてこい。
兵士は必要なだけ連れて行ってもよい。」
「情報ではギルドでも問題を起こしたようです。それを理由にします。」
「そろそろ帰ろう、ルメナ。」
簡単な運搬クエストを終えて帰る道。
「うぅ…疲れた。」
「汗を流すことが多かったよな。」
そうやって今日も、 夜ご飯についての討論中に兵士がおれたちを取り囲む。
「…何のことですか?」
「お前たちを不法戦闘の疑いで逮捕する。」
「…ルメナ、ムカつくだろうけど今度は我慢してくれ。」
「分かった。」
「私たちがそうだったという証拠は?」
「ついて来たら教えてやる。おとなしくついて来い。」
「そうしましょう。」
「ついて行くの?」
「心配しないで。考えがある。」
兵士たちが縄を持って近づいてくるので妙な圧迫感を込めて言う。
「縛らないでください。けんかは嫌いですから。
そして夕ご飯も用意してください。私じゃなくてこいつが問題ですから。」
そのように衛兵たちの後をついてマエスの中央。
城主の城に行く。




