2-3 新人冒険者(経歴あり)
そうしてベリーのパーティーと別れて向かった所は冒険者ギルド。
「ここはどうして?」
「身分偽造」
「え?」
「とりあえず入れ。入ると分かるよ。」
まず入る前にアイアンリザードのうろこを取り出そうか?
ギルドの建物はかなり大きい。
道を探すのも容易ではない。
受付は…あそこか。
「失礼します。」
「はい、どのようにお手伝いしましょうか。」
「冒険者に登録したいです。」
「隣の方はつれですか?」
「はい、こっちもお願いします。」
「それでは書類を作成してください。」
書類をもらってルメナにもあげたが、どうしたらいいのか分からなくて紙ばかり眺めている。
「名前は適当に変えておけ。
全部変える必要はない。
ある程度の正体についての噂が立つのは仕方ないだろうから。」
「適当な名前が思い浮かばないんだけど…」
「少なくても苗字くらいは変えておけ。」
先に作成を終え、受付の人に書類を渡す。
「このように作成すればいいですか?」
「確認します。
名前:クリス·ハインズ
職業は魔術師に、得意は元素魔法と錬金術…?
「異常があるんですか?」
「いえ…錬金術は初めて見たので。戸惑いしました。」
「そうですか。他のところは異常ないですか?」
「…問題ありません。それでは次の方。」
ルメナが書類を手渡す。
何かすごくぎっしり書いておいたみたいだけど。
「これは……落書き?」
「待ちくたびれて描いてみたよ。」
デコピンを打つ。
「その程度にしておけ。」
「名前:ルメナ·セルシア 職業はマジシャンに特技が…また錬金術ですか?」
「問題ないといったでよ。早くしてくれ。」
「他に異常はなく、かなり若い方ですね。 14歳でしたら。」
…あ?
「異常ないよね?じゃ頼むよ。」
「まってみろ。」
「なんだ?」
「お前14歳だなんて。何をしたんだ?」
「お前こそ何を言ってるんだ。なら「200歳超えました」と書こうか?」
「それは別にして、お前は14歳じゃないだろ…!歴史書に書いているのによるとそれよりもっと…」
「こんなつまらないことでけちをつけるなって。君の頭だけ痛いのよ。
この体で成人だと言っても誰が信じるのよ。
そして14歳というのが、 間違いことだけではないって。
過去に試してみた錬金術の副作用だったのか、成長が早く止まった。
それで身体年齢は確かにそのくらいなはずよ。」
アルスマグナについてはまだ詳しくは知らないので通り過ぎたのに、それが本当の体だったな…
こういうのは俺が諦める方が早い。
「はい、手数料さえ払えばすぐブローチをお支払いします。」
二人分の一千リデムを払う。
思ったより高いな。
「これがF級のブローチです。そしてギルドの証明書も。」
マエスギルドの紋章の形に黒い玉がちりばめられている。
「お二人ともF級ですので頑張って基礎訓練修了してください。」
「基礎訓練?」
ルメナは知らないのか。
俺が説明してあげた方がいいよな。
「F級は全くの素人だから、それでも冒険者としての役割を果たせるようにギルドで基礎訓練を受けなければならない。
そして試験にパスすればE級に昇格し、正式に冒険者として認められる。」
「そんな面倒なことをなぜするの?
上位クエストや戦利品で実績を上げばいいじゃん。」
「F級がそういうものを持ってくれば買ってきたか盗んだり不正な行為で持ってきたのだと思われる。
そもそもF級は見習いだから、上位冒険者との同行なしでは上位クエストを受けることもできない」
「うわぁ!面倒くさい!」
この時、ある冒険者たちが俺たちの方にやってくる。
さっきから俺たちを見守っているのは知っていたが、どういう用件だ。
怒り心頭のルメナの側に近寄る群れ。
およそ6人ものの群れがルメナを取り巻く。
「ねえ君、冒険者になった?」
「俺たちといっしょに行くのはどう?すぐE級になるよ。」
「今になってF級なあんな奴より俺たちの方がましだ。」
なんぱか…
どこかでたくさん見たような展開だな…
きれいな女を誘おうとするやつらはどこにでもいる。
そして、それを助けるヒーロー登場!
あら、かっこいい!愛しています!
だろうが。
「あの女はそういう系じゃない。」
そして周りに暴風が吹きつける。
周りの男たちを吹き飛ばす。
「消えろ、もやしめ!気分悪いなのに絡み付くな!」
そして男たちを一発ずつぶん殴っている。
ルメナを止める人は誰もいない。
男たちをあざ笑うばかり。
なら特に心配はしなくてもいいかな。
「結局実力発揮してしまったな。」
それは今がチャンスでもあるということだ。
ヘント村から持ってきたアイアンリザードのうろこを取り出す。
「あの、受付の人、これ買い取ってもらえるんですか?」
「これは…F級がどうやって…?」
「あんなヤツがいるので。」
ルメナはまだ男たちを殴っている。
受付の人が納得したような顔をする。
「売ることができるでしょうか?」
「…少々お待ちください。」
間もなく案内員が戻ってくる。
「こちらに入ってください。」
「ルメナ、行こうよ。」
「もう一度私の目に見えればぶっ壊してやるぞ!いいか!」
「多分、気絶して聞けなかったと思うけど。」
建物の奥まで入る。
奥の部屋に中年の男性がいる。
「アイアンリザードはC級上位かB級くらいじゃないと勝てないのに、君たちがこれを持ってきたって?」
「そうですが。」
「うん…」
「ねえ、マスター。 その他にも…」
「D級パーティーが全滅…?」
「すみません?」
「君たち、どこで修練でもしたのか?」
「いろいろなところで。」
「独学」
呆れる男の表情が絶品だ。
「6人に勝つて、さらにアイアンリザードに勝つデュオか。
確かにF級ではないな。
…人材も少ないから。
君たちクエスト一つもらうつもりはないか?
成功すればすぐE級昇級を認める。」
「聞いてみましょう。」
「最近貧民村に麻薬の噂があるので、それを調べてほしいんだけど。」
「マスター、それは?!」
「君たちの実力がFやEくらいではないのを分かって頼むんだ。」
「よし。退屈な訓練よりはましだろうね。」
ルメナがひとりですぐ承諾してしまう。
「待ってろ。 すぐ調べてくるから。」
そしてすぐに出て行ってしまう。
俺も仕方なく簡単な説明だけ聞いて、すぐついて行く。
「そのお金はしばらく預かってください。」
「それでやることは?」
「まずは適当なローブから探そう。今のローブでは、目立つから。」
近くの露店で平凡なローブを買う。
「これで昨日もらったお金は全部使ったな。」
「クエスト成功すれば報酬も上乗せしてくれるよね。投資だと思え。」
「貧民街の位置は北門の方らしいぞ。 ドレンテ方向の関門が西側だから向こうだ。」
「ワープですぐ移動しようか?」
「いや、どこで情報を得るか分からないから歩いて移動しよう。」
北に足を運ぶ。
「思ったより豊かに暮らしているようだね。貧民街があるというのが驚くべきだよ。」
「どこにでも持っていない人たちはいる。 王都にもあるはずなのにこんな所くらいは。」
特に目につくものは見当たらない。
そしてある程度歩くと異質な感覚が感じられる。
「ここからが貧民街か。」
古い建物と汚い道端。
人々の雰囲気も違う。
かなり広い敷地にルメナが面倒くさそうに言う。
「思ったより広そうだね。」
「貧民街といっても貧民の住む区域だけではない。
普通、このようなところに闇市や売春街が建てられるもんだ。」
「では別々に行動しようか?」
「いや、まずは闇市場だ。 麻薬が流通したら確かにそこだ。」
内側に市場が形成されている。
貧民街だが、ここだけは確かに人の活気が感じられる。
「一般市場の中に闇市場が潜んでいる形だろうな。」
「よく知ってるね。お前が犯人じゃないの?」
「錬金術の材料を手に入れるには闇市ほどのところがないから。よく利用したよ。」
「それでどこが闇市場なの?」
「ついて来い。こんなところの情報はそこだ。」
入ったところは飲み屋。
「銀貨3つだけかしてくれ。」
「あげたのをまた奪うの?!本当にもう全部使ってしまった?」
でも素直にお金を出してくれる。
主人に見える男のところへ行く。
「…情報が必要なんだけど。」
「お酒でも注文した後に声をかけるとかしろ。」
つっけんどんな返事に銀貨を見せてあげる。
「闇市場への出入り方法。」
「…ここから左に6軒目の家の裏に地下通路。 入る暗号はモグラだ。」
知らせてくれた所へ行く。
「ここだな。」
少し下がれば2人の人が見える。
「ここは立ち入り禁止だ。他の所に行け。」
「モグラ」
「…入れ」
もう少し下へ行くとうるさい音が聞こえてくる。
奥にはたくさんの店舗が並んでいる。
さすがモグラの巣穴みたいなところだ。
「とりあえず薬材を扱うところに行ってみよう。」
「麻薬だから薬局? 単純な考えだね。」
「薬局で売ればいいし、売らなくても、君の言う通りに考えて、あほたちが薬局を訪れるんだ。それなら嫌でも情報が集まっているだろう。」
いろいろな店がある。
モンスターの珍しい素材もあり、賭博場もあるようだ。
そして。
「さて、競売は5日後。お金をきちんと準備しておいてぐださい。」
「何の競売だ?」
普通こんな所で競売までして売ってるのは一つだけ。
「奴隷競売だ。いやなことだ。」
「かわいそうだね。」
「とりあえず今は俺たちの仕事をしなきゃ。」
しばらくして乾かした薬草がかかっている店を見つける。
「失礼します。」
「見まわして下さい。」
「少し特別な物があると聞いて来ました。危険でもありますが。」
「ちぇっ、今日だけで何回目だ! そんなの俺は売らないんだ!」
「確か闇市場で売れる薬だと聞いたんですが。」
「闇市といってもそんな危険なもの、俺は売りたくない。
こんな所で商売しているけど、それは商道徳ではない。」
「ならどこで手に入れることができるのか…」
「やめろ。命を惜しめ。ゴードンの連中とは絡むな。」
「ゴードンですか。ありがとうございます。」
「忠告はしたぞ。」
「また来ます。」
店を出るやいなや退屈を感じ始めたルメーナが腹を立てる。
「こうだから私たちに任せたんだな、 あのおじさん。きりがないね。」
「説明も聞かずに走り去ったお前が言うことはないよ。」
そして人々に聞いて、みつけたゴードンのアジト。
看板はいないが、「犯罪の巣窟です」と書いてあるような汚い建物だ。
「何だ、お前ら。」
「いいものがあると聞いたので見に来たんですが。」
「入ろ。」
中に入ると数人の男が立っていて一人だけが座っている。
「いらっしゃい。ゴードンだ。物が見たいんだと?」
「そうですが。」
「持って来い。」
誰かが箱を持ってくる。
中に入っているのは藍色の薬。
「これ本当に最高だぜ。買っても後悔はしない。」
「効果は?」
「何だ、それも知らずに来た?」
「ただうわさが興味深くて訪ねてきたんです。」
「強化剤の一種だ。飲めば経験したことのない最高の気分と力を得る。」
強化剤の種類なのか。
しかし、それだけなら麻薬とは呼ばれない。
「副作用は?」
「まあ小さな問題があるけど運だ。心配するなって。」
「値段はいくらですか。」
「一本2000リデム」
「そうですか。お金を用意してまた来てもいいですか?」
「もちろん。薬は十分あるから心配するな。」
ゴードンのアジトから出る。
ルメナがすぐに不満を吐き出す。
「薬を手に入れようと入ったんじゃないの。 一本くらいは持って来なければ…」
怒ろうとするルメナに薬瓶を見せる。
「さっき中身を見るときに一つすり替えた。」
「…魔法使いじゃなくてシーフだね、シーフ。」
「とりあえず帰ろう。この薬を分析してみないと。」
そして再び地上に上がって帰り道。
変な声が聞こえる。
「子供の泣き声みたいな?」
「行ってみようか?」
音がしたところには倒れている女性とその女性の手をつないで泣く小さな女の子がいる。
「なんで泣いてるの?」
「お母さんが…お母さんが…」
まずは早く回復の呪文をかける。
そしてポーションを取り出して子供にあげる。
「一応生命力はある程度回復したようで…
もしまたこんなことがあったらすぐにこの薬を飲めさせろ。」
「どうしてこうなったんだ?」
子供が言う。
「お母さんが飲み物を飲んでたら、急に恐ろしく変わって…
逃げてたら、お母さんが急に倒れて。」
「飲み物だって?どんな?」
「何か藍色の変な飲み物。最近他のおばさんたちも飲んでいるようだよ。」
「もしかしてあの飲み物飲んでたおばさんたちの中で倒れた人いるの?」
「2人くらい見たよ。」
ポケットのガラス瓶をまた取り出す。
「思ったより危険な物みたいな、これ。」
「人がその飲み物を飲もうとすると、絶対奪ったあとで捨てなさい。」
「とりあえずギルドに戻ろう。
報告もして、お金も引き出そう。」




