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ほらふきのイデア  作者: カナマナマ
第 一章 「魔王と裏切りと復活と復讐」
23/90

1-13 運命の日

10月23日

ルメナに呼ばれて家の外に出た。


「何んだ? 俺も準備するべきものがあるのによ。」


「今日は儀式場について全部教えてあげるつもりよ。」


「ついに…」


「ついて来いなさい。」


儀式場について行く。

時々来てみたが、確かに変わった点が多い。

ものすごい量の魔水晶の数とか、 大きくなった魔法陣とか。


「ぼーっとしていないで早く来いよ。」


そして魔法陣の中央へ行く。


「ここの準備は終わった?」


「そう。もう決戦の日を待つだけ。」


「それでは説明を聞いてみようか。」



「まず、アルスマグナは大きな魔力を使うのは知ってるよね?」


「そのことはもう言わなくてもいい。」


「ではそういう魔力を制御するのはどうかな?」」


「難しいだろうな…」


「この儀式場の役割は魔力を補充するためではなく、ひたすら魔力を安定的に制御するための場所よ。

とりあえず魔法陣を使って全体的な制御を任せる。

魔水晶は無駄にすり抜ける魔力をつかまえて返す役目。

この中央には当日に杖をさして魔力を込める。

他にもここ全体に魔力制御をためのオブジェが散らばっているけど、それは気にしなくてもいいよ。」



ここまでは俺もある程度知っている話だ。

本当に言いたいことがあるはず。


「魔力補助を始めたら何も気にせずに魔力を死なない程度まで上げろ。」


「死なない程度か。優しいんだな。」


「そんなはずが。全部私だけのためよ。


儀式はまず、魔法陣の中央に行く。

一応互いに手を取り合う。

その後は『ディアブロズレンディング』を使う。

そして私が取り戻したい私の体を想像する。

時間がどのくらいかかるかは分からないけど、長くはかからない。

そして私が合図したら魔力補助を始めればいいんだ。」


説明だけでは簡単なことに聞こえる。

しかし天才であるこいつが俺の力まで借りても壮語できない作業だ。


「そうやって私の体を作ったら終わり。質問ある?


「ない。お前のことだろ。

お前がよく知ればいいんだ。今までの説明で十分だ。」


「そうかな…」


そしてルメナが背を向ける。

何か意気消沈した雰囲気だ。

こいつがこうするのは初めて見るな。


「実は謝ることがある。」


「今までまずいご飯食べさせてきた話なら謝らなくてもいいよ。」


「違うよ、バカ。そして最近はうでが良くなったじゃん。」


「そうできるのが卵焼きとサラダくらいじゃない?」


「お前は本当に私が体を取り戻したら覚悟しろよ。」


「それで謝ることは?」



「本当はもう少し早く儀式場に連れてくるのが正しかったよ。

アルスマグナではなくても、他の魔法でも調律しておく必要があるから。」


「ところで何で今まで呼ばなかったんだ?」


「君を信じなかったから。」


「…俺がそうなることをした?」


「全然。ただ私がおまえを信じられなかったんだ。

もし全てを知ってしまったら逃げてしまわないかという…

それでこれ以上延ばせない時間になってからお前を呼んだんだよ。


このような大きな作業を前にして、怖がるのは当然のことだから。

それにディアブロスレンディングを使う以上、自分も危険な仕事であることは決まっている。」


「...」


「容赦は求めないよ。間違ったことには非難されるのが気楽だから。

私がリッチになったわけが裏切りのせいだったのは言ったよね?」


「覚えてるよ。」


「そのせいかな…

私はお前が信じても大丈夫なやつだということを、お前が目覚めたその日から分かっていたよ。

しかし、今までそれができなかったんだ。」


「何で今まで言わないで今になって言うんだよ?

最後まで隠せばいいのに。」


「君を騙している私がずっと嫌だったの。

ただ衝動的に言っているのよ。」


そして言う。

「…ごめんね。」


ルメナに近づく。

「殴たいなら殴れ。

気分が悪くなるのも当然よ。」


そして。

ルメナを通り過ぎて魔法陣の中央に行く。


「時間ないといっただろ? 早く来い。」


「…私の話聞いたの?」


「何も言わないで来いよ。」

そして、その場に座る。


「信じられないやつなら最初から生かして同業もしなかったんだ。

君は俺を信じられなかったのではなく、自分を信じられなかっただけさ。

だからすまないと思わないでお前自身を慰めてあげろ。


大丈夫だと。

こいつは絶対私を裏切らないんだと。」


ルメナがしばらくじっとしていたら、俺の方に飛んでくる。


「…二度とそんな恥ずかしいことは言うな。」


「お前が恥ずかしいふるまいをしないなら。」


小さく笑う声が聞えた。

そして手を取り合う。







決戦の日までの時間はあっという間に過ぎる。

毎日調整して回復薬を作って飲む1週間。


そして最後の一日前の日。


「今日はそのまま休め。コンディション調節ってわけよ。」


とはいえ、一日中息苦しい気分だ。

ルメナと話をしてみようかと思ったが、当事者のあいつは俺より緊張しているんだろうな。

余計な負担をかけないようにしよう。


ルメナも結局、おれが寝床につくまで一言もしゃべらず、本当に寝る前に言い出す。


「明日よろしくね。」


「まかせろよ。」




月が暮れて、決戦の日は昇る。

ルメナはもう出て家にいない。

メモだけが残っている。


「心の準備ができたら来るようにして。」


いつもの朝のように洗ったあとに簡単に食べる。

ルーティンみたいな感じで。


魔力を点検し、役に立ちそうなポーションを飲む。

そして日差しを浴びながら心を落ち着かせる。

時間はもう正午をずいぶん過ぎている。


よし、行ってみようか。

そして、儀式場に向かう。


「来たね」

ルメナはすでに中央に立っている。


「準備は終わったよ。

残ったのは君が魔力供給さえうまくしてくれれば成功ってこと。」


ということは設定ももう終わらせたってこと。

つまり残ったパズルのピースは俺一人だけ。


ゆっくりルメナに近づくが今になって緊張になる。

一番大事なことなのを知りながらも、ルメナのために聞いてこなかった。


この儀式に失敗するとどうなるか。


知らなければならないことだがルメナの前では失敗という言葉を引き出すことができなかった。

そんな俺の目つきを読んだようなルメナ。


「失敗なんて想像すんな。アルスマグナは想像を具現する魔法よ。

そんなことも影響があるかもしれない。」


「お前の体を作るのよ。少しは緊張しろよ。」


「だからお前は緊張するなっていってるのよ。

もし失敗したら恨みはするけど、責任は問わないから。

だから頑張ってくれ。」


そして魔法陣の中央に俺を連れて行く。

俺の手を握ったルメナの手に震えはない。

ルメナは覚悟を決めた。

これを知った瞬間、俺の体からも震えが消える。



「では始めてみよう。」


何かを取り出す。

爪と髪の毛のような雑多なものが入っているガラス瓶だ。


「私の過去の身体の一部。

私の身体を練成するにはこれよりよいものがない。」


ガラス瓶を握った両手をつかむ。


「心の準備ができたら言え。待ってあげるから。」


「心の準備ができていないなら来ることもなかった。」


「ハハッ、頼もしいね。では始めよう。」



『ディアブロズレンディング』



2人が同時にディアブロズレンディングを発動する。

続いて魔力を流し合う。


「これからは魔力だけに集中しろ。人体錬成は私がするから。」


そしてしばらく目を閉じるルメナ。

それから急に言う。


「行くよ。」


その言とともに魔力を最大に流す。

ルメナがこれに合わせて詠唱する。



アルスマグナ(万物錬成)



それとともに魔法陣が輝いて、俺たちの頭の上に人の形が作られる。

これがアルスマグナ…


直接見るのは初めてだ。

その光に目を奪われてしまったが、銀色に輝く形を見てまた魔力を流す。


銀色の形は次第に人の形になっていく。

成功か?

と思ったが。



しかし、ルメナの表情は良くない。

理由は分かっている。


今,俺がするのは魔力補助で魔力融合ではない。

今日までずっと練習してきたが、結局一度も魔力融合には成功しなかった。

こんな俺の考えを読んだようにルメナが言う。


「続けろ!今まで失敗したのは構わない!

今日だけ成功すれば全部成功なんだ!」


また魔力補助に集中する。

しかし、時間が経っても変化はない。

魔力が消えていくだけ。

焦る気持ちを引き締めつける。

すると、ルメナが口を開いた。


「もし魔力に限界が来たらためらわずに抜けなさいよ。

いつかまたチャンスは来る。

しかし、死ねば終わりよ。」


「そんなことは失敗するそうになったら言え。俺は諦めなかった。」


「そうなると思って言ってるのよ。」


そして魔法陣が描かれた地面が割れる。

それとともに銀色の形も形を失っていく。

慌てる俺のと違ってルメナは平穏な、いや、あきらめ顔だ。


「もうすぐ限界だ。

これ以上はしてもむだよ。手を放して。」


「もう言うな。 半年ぶりだ。

また半年待とうというのかよ?」


「50年よ、次は。」


なに?


「今日の準備だけに30年がかけた。

この人形の肉体なら、前よりもっと時間がかかるだろう。

君に会う前から準備はずっとしてきたから半年だったんだ。


50年...

果たして俺がその年まで生きられるのかという疑問さえ感じる時間。


「50年なんて…そんな時間をまた?!」


「200年間こうだったのよ。

50年くらいは大丈夫。」


「何言ってるんだ!」


魔法陣の割れ目が半分くらい来た。

銀色の形体も魔法陣ほど光を失っていく。


「この仕事が終わったら人間界の家に帰れ。」


「言うな!約束しただろ!」


「私のためにここまでしてくれた人を50年間捕まえるほどには人が悪くないよ。」


そして、俺の手から抜け出そうとする感覚が感じられる。




「君との半年、正直いって、楽しかったよ。

ありがとう。」




そして俺は抜け出た手をまた握って魔力を流す。




「何を?!」


「悪いけど約束を破るわけにはいかないんだ。」


「放せ!これ以上魔力を使うと命が危ない!」


「俺が死に未練を持った理由が、守れなかった約束があったからだぞ!

なのに約束を守れるように手伝ってくれた人との約束を守れないなんて!

情けないことじゃない?!」


「このアホが!もう放すこともできない!」


「望む通りだ!」


そして、さっきとは比べ物にならないほどの魔力が抜け出る。


「うおおお!」


叫ぶが、手はより強く握る。

そしてディアブロズレンディングを最大に出力する。

痛みが感じられるが気にしない。

口から血が流れるが気にしない。


単なる約束だけでここまでするなんて。

ギャンブルは好みではない。

合理的じゃないから。


だけど。

そういうのは気にしないほどに、正直に言って俺も楽しかった。


村と同じくらい。

塾と同じくらい。

領地と同じくらい。

パーティーと同じくらい。

俺もルメナとの半年が楽しかった。


料理もできなくてプライドが高くて怒ると人の弱点を叩くやつを失いたくない。

こいつを孤独にしたくない。



もう一度奇跡を願って、ネックレスが輝いて、そして奇跡は起きる。


オフィーリアの時のような黄金色の光が出て、おれとルメナを包む。



「これは…」


「魔力融合…」


ルメナも驚いている。

だが、目に見える変化は明確だ。

魔法陣の亀裂は止まり、銀色の形は再び姿を取り戻している。


「行くぞ!」


俺の叫びとともにルメナは魔力を放つ。

そして銀色の形が卵の皮のように割れていく。


「失敗か?!」


「違う!成功だ! 全部壊せば終わりよ!」


だんだん割れていく銀色の形体。

割れた部分で人の肌と同じ色が見える。

そして割れた瞬間、光が世の中を包み込んで…



俺の目の前は真っ暗になった。


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